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雨が降る日は

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雨が降る日は

1 - 雨が降る日は

♥

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2024年09月30日

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『雨が降る日は』白赤


⚠白赤 薔薇 体調不良表現あり


🤍side


僕の恋人は低気圧に弱い。


雨が降る日の朝は、起き上がれないほどだ。


でも、そんな雨の日は


普段ツンツンしている恋人が甘えてくれる日。


りうちゃんには悪いけど、僕は雨の日が好きだった。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


朝起きると、恋人が横で唸っている。


あぁ。と思い起き上がると、案の定外は雨模様だった。


言葉も満足に発せない恋人に、少しずつ話しかける。


『りうちゃん、お薬とってくるわ。』


そう言って立ち上がろうとしたら、袖を引っ張られた。


「ま”って… 」


『どうしたの?』


「ちゅーしてからッ、」


弱々しくそう言う彼を撫で、1つ優しくキスをする。


「ん、…早く戻ってきて、」


『勿論。待っててね、すぐ戻ってくんな。』


君は安心したように頷く。


こんなに可愛い恋人を待たせられないと、僕は早足で薬と水を取りに行く。


薬と水の用意を終え、ゆっくり君に話しかける。


『りうちゃん、お薬もってきたで。』


「ん”ぐ、…ぁ、」


『起きれる?ゆっくりでええよ。』


「お”こしてぇ…、」


『じゃあ、僕の首に腕回して。』


「ん”、…んぅ、」


君を抱き抱えて、ゆっくり優しく起こす。


そのあとは、後ろにまわって君を膝に乗せる。


もう慣れたものだ、最初こそ戸惑って焦っていたけど。


『お口にお薬いれるでぇ…』


「ぁ、…」


『はい、お水。』


「んッ、んー、…」


彼は薬が効くのがかなり早く、飲んだら直ぐに眠りにつく。


そんな彼を、今度は向かい合う形で膝に乗せ、背中をゆっくり撫でる。


「んぅ…にゅぅ…」


抱きついたまま寝られるのが毎回なので、僕はもう枕元に仕事道具を用意している。


外はざぁざぁと激しい雨が降っている。


僕の耳元で聞こえる、小さな寝息に微笑む。


時々撫でてみれば、心地良さそうな声が聞こえてくる。


どのくらいだっただろうか。


ふと、耳元で空気が動いた。


「ん、ぅ…ぁ”、」


『…りうちゃん?起きた?』


「ん…起きた、」


さっきより受け答えがしっかりしている。


薬が効いたのだろう、僕は胸を撫で下ろした。


「しょーちゃん、ちゅー、」


『はいはい、ちゅーね。』


いつも通りキスをせがんでくる彼に、優しくキスを落とす。


「おなかへった、」


『ほなご飯やな。おかゆ?おうどん?』


「ん、ん〜…おうどん。」


『はいよ、起きてられる?降りる?』


「降りるけど立てない、抱っこ。」


『は〜い、掴まって〜♪』


甘えたな彼も可愛くて可愛くて、何でも言う事を聞いてしまう。


「ん〜、しょーちゃん好き、…」


『僕も好きやで〜♪』


「ごめんね、めいわくかけて、…」


ありゃ、今日はマイナスな日かな。


『いいんだよ。そんなりうちゃんが好きで一緒に居るねん。』


「ッごめんッ、ごめんねぇッ、…ひッぐ、」


雨の日の彼は、かなりマイナス思考な日がある。


普段の雨の日は大丈夫なのだが、梅雨などの雨が続く日は多い。


『大丈夫、大好きやで〜。』


「ひッぐッ、ぐすッ、う”わぁあぁんッ、」


優しく撫でると、泣き出してしまう。


『愛してるよ。大好き。』


そっと耳元にキスをして、いっそう強く抱きしめる。


「…ぐすッ…、」


『落ち着いた?』


「ん、ありゃと、…」


呂律が回らなくなっている君も可愛い。


1度泣いたら、またすぐ寝てしまう。


「大好き、ほんとうに、…」


『うん。僕も大好き。』


ご飯はまた後でかな。


聞こえる音は、また雨と君の寝息の音だけになった。


ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー


昨日と同じように目を覚ますと、気持ちよさそうに寝ている君が目に入る。


カーテンを開けると、昨日が嘘のような快晴だった。


『まッぶし…』


「ん、ぐぅ…」


『あ、りうちゃん!おはよ〜♪』


「…おはよ、」


いつもより素っ気ない返事が返ってくる。


それもそのはず。


雨の日の記憶がある君は、次の日は照れてこっちを向いてくれない。


『りうちゃ〜ん?こっち向いてやぁ〜♡』


「嫌。」


『えぇ〜…』


雨が過ぎれば、いつものツンツンりうちゃんだ。


可愛いけど、少し寂しい。まぁ恋人が苦しいのは嫌だけど。


まぁ構って貰えないのは嫌なので、バックハグでもしようかな。


『り〜うちゃんっ♪』


「う”わッ…、」


「…離れろし、///」


『照れとる?照れとるなぁ?』


『ほんま可愛ええなぁ〜♡』


「うるさいなッ、!何回も言わなくていいんだよッ、///」


『…もう苦しくない?』


晴れなら大丈夫なことも分かっているが、つい聞いてしまう。


「…大丈夫。、ありがとう。」


『…んふふふ〜♪』


君の柔らかい頬に触れると、手を振り払われてしまう。


「ご飯、作るから待ってて。」


『僕もやるで、りうちゃんと一緒に居たい♪』


「…ほんとに鬱陶しい…」


刺々しい言葉とは裏腹に、君の顔には笑顔が浮んでいた。





『雨が降る日は』


🕊 𝕖𝕟𝕕 𓂃 𓈒𓏸 💗


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