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シユキ
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不 眠 症 。
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眠い人
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やばかった……読了したわ。最初は「アイスとかわいいお店の女の子」って甘い雰囲気から始まったのに、のどちゃんの「ミサちゃんのこと好きだよ」って告白のシーンで一気に空気変わったな。それから病気の真相が明らかになって、ネックレスに血が込められてたって伏線回収にはマジでやられた。最後にミサが「大好きだよ、愛してる」って言って、のどちゃんと同じ道を選ぶ決意をするシーン、胸が締め付けられた。切ないけど、愛の形が重すぎて泣ける……。
私の名前は氷川ミサ(ひかわ みさ)。アイスの専門店を経営していたが、今は病気が再発したため病院に入院中である。
その病気というのは、「身体液状化現象」という奇病である。この病気は体がまるでアイスのように溶けてしまう病気で、その症状の出方は個人差がある。
私の場合は、手や足がすぐに溶けてしまうという症状だ。
私は病院に入院していた。もうあのアイス屋に戻ることはできない。
それに、もう店が潰れたから……。
いや、正確にはまだ潰れていないけど、私も復帰できるほど余裕がない。
なぜ私がこのような奇病を発症したのか、そしてなぜ再発したか、最初は検討もつかなかった。けれど、あることをきっかけに、ふと思い出したことがあった。
あれは、19歳の夏の日。忘れるはずがない、私がアイス専門店を作るきっかけになった日だった。その日はとても暑かった。だから、冷たいものが食べたかった。
そう思っていた時、私はある不思議なお店を見つけたのだ。
「なにここ……かわいい……」
私は、あまりにも可愛らしい外観のお店に吸い込まれるように入っていった。
そこは、こじんまりとした可愛らしいアイスクリーム専門店だった。そして、とてもいい匂いがする。甘くて優しい香り……なんだか懐かしい感じがした。
「いらっしゃいませ!」
カウンターの中に立っていたのは、黒髪ショートヘアの女の子だった。年齢は16歳くらいだろうか? ピンク色のエプロンを着ていて、笑顔がすごく可愛い子だ。
「メニューはこちらになります」
彼女が渡してくれたメニュー表を開くと、そこには色々な種類のアイスがあった。
どれも美味しそうで目移りしてしまうほどだ。私はとりあえず定番のバニラ味を注文することにした。
しばらく待っていると、目の前に綺麗な球体のアイスが置かれた。表面がツルツルしていて、まるで宝石みたいだ。
「お待たせしました~!」
彼女がそう言って微笑む。私はその笑顔につられて自然と笑みがこぼれた。スプーンを受け取って、一口食べてみる。
「⋯!!なにこれ、すごいおいしい⋯」
「喜んでいただき光栄です!是非、他の味も食べていただければ嬉しいです」
私は2つ目に、はちみつレモン味という、珍しいアイスを頼んでみた。まるで、元々用意していたかのように、彼女はすぐ厨房からでてきた。
「こんな豪華なアイス、どうして一瞬で用意できるんだろう⋯?」
私は思わず口に出していた。すると彼女がこんなことを言ってきた。
「秘密を教えてもいいですよ、一つだけ。」
そう言うと、彼女は私の耳元にそっと近づいた。吐息がかかるほどの距離で囁かれる言葉は……甘くて切なく、それでいて優しい声色をしていた。
「それはね⋯」
ドキッとするような声で話しかけてくる彼女の唇は艶めいていて、まるで熟れた果実のような魅力を放っていた。私は思わず見惚れてしまった。
それから彼女はクスッと笑った。
「ごめんなさい、冗談です。本気にしないでくださいね?」
そう言いながら、彼女は悪戯っぽくウインクしてきた。その仕草に胸がキュンとしてしまう。
「ところで貴方、何か悩み事でもあるんですか?」
突然そんな質問をされて戸惑ったが、正直に話すことにした。
「実は私、昔からアイスをたくさん食べるのが夢だったんです。だけど、父が経営する会社の後継ぎとして育てられたから、そんな夢を持つこと自体許されませんでした⋯。私はそのせいでずっと自分を押し殺して生きてきました」
そう言うと、彼女の顔つきが変わった気がした。
「なるほど。そういうことでしたか⋯。ではこうしましょう」
彼女は私の手を取り、そしてこう言い放った。
「これからもここに来て下さい。アイスを食べてくれたら、その分だけ、お話を聞かせて下さい。そうすれば、お代はいりません」
「でも、そしたらあなたが儲からなくなってしまいませんか?だからお代は⋯」
「いえ、いいんです。私は、別に金儲けしたくてやってるわけじゃないですから。あと、私の名前は白獄のどか(しらごく のどか)です。どう呼んでいただいても大丈夫ですよ」
こうして私は、彼女のお店に通うようになった。数回は、約束通り行けたのだが、ハプニングは起きた。
私は親戚の集まりにいた。そしてその日は、のどちゃん、すなわち白獄のどかちゃんのお店に行く約束をした日だった。
結局、その日は行けなかった。翌日、改めてお店に行くと、そこにのどちゃんがいた。が、それはとてものどちゃんとは思えなかった。
いつもの笑顔は消え、冷ややかで、貫くような目で、こちらに視線を向けていた。
「⋯のどちゃん、本当に、ごめんなさい!!」
「もういいよ。どうせミサちゃんだって、私を見放すんだから。」
「ち、違う、そんなつもりないのに⋯。」
「だって⋯」
のどちゃんは冷徹とも憤怒ともとれる声で言い放った。
「だって昨日、楽しみにしてたのに来なかったじゃん」
「それに関しては⋯でも、確かに、のどちゃんのことを裏切ったのは事実、反省してるの⋯」
「⋯ううん、ごめんなさい、実は、私の方こそミサちゃんを試したかったんだ。こんな風に言って、どう反応するのか知りたかったの」
のどちゃんは私の頭を撫でながら言った。
「もう怒ってないよ」
「よかった⋯」
「あと、一個だけ。ミサちゃんに伝えたいことがあるの」
「なあに?」
「私、ミサちゃんのこと好きだよ」
「えっ……?」
私は驚きで言葉が出なかった。
「えっと、どういう意味で……?」
「恋愛感情として」
私は理解ができなかった。
「え、いや……え?」
「ミサちゃんは、私の大切な人なんだ。今まで会ってきた誰よりも、特別な存在なの」
「そ、そうなんだ……」
私は混乱したまま答えた。
「えっと……私も、のどちゃんのこと、大切な友達だと思ってるよ」
「ふふ、ありがとう」
彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「でも、今はまだ、友達としてしか見れないかも……」
「うん、今はそれでいいよ。いや、ミサちゃんはそのままでもいいの。あ、そうだ!私、ミサちゃんのために用意してた物があったの!」
のどちゃんは厨房へ駆け出し、そしてすぐに帰ってきた。
「え、何?アイス?」
「うん。それと⋯。はい、これ。私とお揃いのネックレス!」
それは、私がここで初めて食べたバニラアイスのように、白くて丸い宝石があしらわれていたネックレスだった。
お揃いというのも、ある時私が、「のどちゃんのネックレス、かわいい!」と言った時、「ありがとう!これ、ミサちゃんとお揃いにしたいな〜」と言っていたのだ。
そしてアイスは、ハート型のチョコが散りばめられた、いちごのようなアイスだった。一口食べると、口に芳醇な甘みが広がる。まさに、愛のようなアイスだった。
「おいし⋯⋯」
「ありがとう。大事にしてね」
「もちろん!」
のどちゃんの瞳が、また少し潤んでいるように見えた。それは、太陽の光によってできたような、柔らかい涙だった。
「今日は、これだけ渡したかったんだ。だから、また今度来てね。話、もっと聞きたいから」
「うん、わかった」
のどちゃんと別れ、お店を後にした。帰り道、もらったネックレスを身につけてみる。のどちゃんとお揃いのネックレスは、私の胸元で微かに揺れていた。
私は心の中で誓った。のどちゃんとの約束を守るため、次は必ずここに来ようと───。
そして次の日。私は急な高熱が出てしまった。38.5度。風邪の症状ではないし、のども痛くない。ただひたすらに寒気がするだけだった。
病院で診てもらうと、医師は首を傾げながら言った。「特に異常はありませんね。おそらくストレス性の発熱でしょう。ゆっくり休んでください」
三日が過ぎた頃、熱は少し下がった。今の体温は37.2度。40.2度まで上がっていた時もあったので心底ホッとする。これなら外出しても大丈夫だと思う。
けれど、立ち上がることさえ少し苦しかった。でも、のどちゃんに会わなきゃ、またのどちゃんを困らせかねない。お店は少し遠いけれど、のどちゃんの店に行くことにした。
のどちゃんと会うと少し体が楽になった。ただ、今度は心が苦しい。
「ミサちゃん、なんで三日も来てくれなかったの?」
「⋯ごめん、突然熱が出ちゃって⋯。」
私はのどちゃんの目が見れなかった。前みたいに冷ややかな視線で貫かれるのが怖かったから。けれど、今回ののどちゃんは少し違った。
「⋯そっか。ならいいよ。今日はどのアイス食べる?」
「え?怒らないの?」
「怒る必要なんてないよ。⋯ほら、今日はどんなお話をしてくれるの?」
その温かい声に安心し、思わず涙が出そうになる。でもなんとか堪えて、笑顔を作った。そしていつものようにアイスを食べた。
食べている最中に気づくことがあった。それはのどちゃんの様子だ。なんだか元気がない。いつもより笑顔が少ない気がした。
「のどちゃん、元気ないね」
「⋯うん、ちょっとね。最近疲れてるかも」
「大変だね。私に何かできることある?」
「じゃあさ、一つだけ聞いていい?ミサちゃんにとって私は、どういう存在なのかな?」
「え?」
突然の質問に戸惑ってしまった。でも素直に答えることにする。
「そうだなぁ……。のどちゃんは私にとって、大切な人だよ。大切な人、というか、家族みたいな人、かな。⋯⋯どうしたの?突然固まっちゃって」
そう言うと、彼女は少しだけ表情を変えた。いつもより嬉しそうな顔をしている。
「ううん。なんでもないよ。やっぱり、ミサちゃんは素敵だなー、って」
その日の夜、また高熱が出た。42度を超えており意識が朦朧とする中で考えた。もしかするとこれはただの風邪ではないのではないかと……。
熱が下がった後すぐに病院に行き血液検査などをしたが、原因がわからなかった。ただ、のどちゃんの所へ行くと、元気になった。
「のどちゃんには、なんか特別なパワーがある気がするな」
「どうしたの?急にそんなこと言うなんて、何かあった?」
「いや、私がよく風邪っぽい症状になるって言ったでしょ?けど、のどちゃんの所に来ると治るの」
すると、のどちゃんは、ふふっと笑った後、こう続けた。
「そうかな?じゃあ、ずっと一緒にいれば、ミサちゃんはずっと元気でいられるかもね。⋯ほんとにずっと一緒に居たいな。」
そう話すのどちゃんは、少し寂しそうだった。その真意を探ろうと、
「そうだね!のどちゃんが元気になってくれるなら、私も嬉しいし」と返した。
すると、のどちゃんは、さらに悲しげな声で
「そっか。じゃあ、ずっと、一緒だね」と、震えた声で返された。
そこで確信した。私は、この人の役に立っていないのではないのか。私はのどちゃんのことを友達、家族のように見ていたのに、のどちゃんはそう思ってくれていないのか?
次の日、再び43度の高熱が出た。またすぐに病院へ行き診察を受ける。すると医者は深刻そうな顔をしてこう告げてきた。
「これは風邪ではありません。あなたは恐らく身体液状化現象を発症しています。治療方法はありません。ですが、進行を遅らせることはできるかもしれません」
「え……?」
「身体液状化現象とは、簡単に言えば体が溶けていく病気です」
「そんな……。嘘ですよね……?」
「残念ながら本当です」
「じゃあ、私はもう助からないんですか?」
「……申し訳ありません」
その後の記憶は曖昧だった。ただひたすら泣き叫ぶことしかできなかった。泣きすぎて頭が痛くなるほど泣いた。
そんな中、頭に浮かんできたのは、のどちゃんの事だった。
次の日。私はもう一度病院に行って、のどちゃんとの関係について正直に話し、何とかできないかお願いしてみた。しかし答えは同じだった。
次の日。もう一日だけ、のどちゃんに会うことにした。そして、全て打ち明けるつもりだった。
「のどちゃん、ごめんね」
「えっ、急にどうしたの?」
「実は私ね……。のどちゃんとお別れしなくちゃいけないの」
そう言うと、彼女は驚いて目を見開いた。そして悲しそうな顔をした。
「なんで?どうして?」
「私ね、病気にかかっちゃったの」
「どんな病気?」
「身体液状化現象って知ってる?」
彼女は首を横に振った。
「知らない」
「まあ、そうよね。私もつい最近知ったばかりだし。その病気ってね、体がどんどん溶けていく病気なの」
彼女はまた驚いたような顔をした。
「そんな……」
「うん。だからもうここには来られない。ごめんね」
彼女は何も言わずに俯いてしまった。
しばらく沈黙が続いた後、ようやく彼女が口を開いた。
「ねえ、質問があるんだけど」
「なあに?」
「ミサちゃんはさ、私と一緒にいれば元気になれるんでしょ?」
「そうだよ。のどちゃんの魔法だね」
「じゃあ、これからずっと、できるだけ長く、そばにいたいな」
少しびっくりしてしまった。のどちゃんは、私の動揺を見破るように、
「今すぐじゃなくてもいいよ。ただ、一緒に居られる時間が少ないのは、嫌だ」
「そっか⋯。うん、約束する。のどちゃんのそばにいるよ」
その日から、私は家族と連絡を取らなくなった。それに、十分、大人になっていた。後から知った事だが、その数週間後、父と母は他界し、会社はその数日後に倒産したらしい。事故だったそうだ。
その日から、のどちゃんと私の同居が始まった。のどちゃんとの同居生活は、まるで夢のように穏やかだった。
私たちが住むのは、のどちゃんのアイスクリーム店の二階にある小さな部屋だ。窓からは桜並木が見え、春になるとピンク色の花吹雪が舞い込んでくる。ベッドは一つしかないから、私たちは毎晩肩を寄せ合って眠った。
「のどちゃんのにおい……すごく落ち着く」
ある夜、寝る前にふと漏らした言葉に、のどちゃんは少し照れたように笑った。
「ミサちゃんも良い匂いだよ。桜の香りがする」
朝になると、のどちゃんは厨房でアイスクリームを作り始める。私はその音を聞きながら台所で簡単な朝食を準備する。パンケーキにシロップをかける時、ふと思う。この平和な日々は、きっと長くは続かない。
と、思っていたが、身体液状化現象の症状は、少しずつ回復していた。ある朝の事だった。
「のどちゃん、すごいよ!体が全然溶けなくなった!!」
「ふふっ、良かったね。」
「これものどちゃんの魔法のおかげだね!」
「⋯ねぇねぇミサちゃん。私は本当に魔法を使ってると思う?」
少し理解に時間が掛かった。本当に魔法だと思っているのではなく、比喩表現としての「魔法」だからだった。
私がその事をのどちゃんに話すと、ほっとした表情をしていた。
「なんでいきなりそんな質問したの?」
「⋯。いや、別に?なんでもないよ。」
それから少しして、今度はのどちゃんの体調が悪くなった。それも、私がなったものと同じ、身体液状化現象だった。
「のどちゃん、大丈夫?」
私が心配そうに声をかけると、のどちゃんは力なく笑った。
「うん⋯。ちょっと疲れちゃったみたい⋯」
それからすぐにのどちゃんは寝込んでしまった。それからさらに一週間後、症状はかなり進み、起き上がるのも困難になっていた。
「ミサちゃん⋯。私、もう長くないと思う⋯」
のどちゃんが弱々しく呟く。
「何言ってるの!のどちゃんは絶対良くなるよ!」
「……ごめんね、ミサちゃん」
「何で謝るの!?」
「だって、私、ミサちゃんを騙してたから⋯」
「え⋯?」
「ねえミサちゃん。今ミサちゃんが首につけてるそのネックレス、私の血が入ってるって事、知らなかったでしょ⋯?」
「⋯どういう事?」
戸惑いを隠せなかった。理解が追いつかない。
「そのままの意味だよ。それに、ミサちゃんがずっと言ってた、私の魔法のこと。本当に魔法だったんだよ?」
「なんで⋯なんで、そんな事したの?!私には、のどちゃんの言ってることも、のどちゃんの気持ちも、全っ然、わかんないよ⋯!」
私はつい、声を荒げてしまった。のどちゃんに哀しそうに見つめられる。胸がキュっとしてしまう。
「ごめんね、ミサちゃん。私は、ミサちゃんとずっと一緒に居たいだけだったの」
「謝らないで⋯。分かってる。もう分かったから、今ぐらい、謝らないでよ。」
のどちゃんの頬には、涙が流れていた。私の頬にも流れていた。二人して泣きながら笑った。
「そのネックレスの魔法はもう解けないの。けど、一つだけ方法があるよ」
「それは⋯何?」
「そのネックレスを外すの。」
「でも、これはのどちゃんとの大事な思い出で⋯!」
「いいの。外すだけでいい、クローゼットかどこかにしまっておいて。」
「⋯分かった、ありがとう。絶対、のどちゃんのこと、忘れないよ。」
それからしばらくして、のどちゃんは息を引き取った。原因は分からなかった。
15年後、ここには今もなおアイスクリーム専門店があった。それが私の店だ。
「はちみつレモンのアイス⋯?珍しっ。じゃあこれお願いします」
「はい!」
私はのどちゃんの事を完全に忘れていた。これもきっとのどちゃんの魔法の効果だった。
のどちゃんの事を思い出せたのは、身体液状化現象が再発し、入院が決まって、店を閉める準備をしている時だった。私はクローゼットからネックレスを取り出して、眺めていた。
「ねえ、のどちゃん、私、のどちゃんのこと、ずっと忘れてたの。でも、これが理由なら、どうしようもないよね。ごめんね。でも、私はもう覚悟を決めてるの。ごめんね⋯⋯⋯ああそうだ、最後に言わせてほしいの。のどちゃん、大好きだよ。愛してる。もしこの身が溶けて消えても、私はのどちゃんの物だよ」
私は、のどちゃんと同じ運命を辿る事に決めた。そうすればまた、天国で会えるだろうから。私は再びネックレスをつけた。
病院で、看護師さんは最初、ネックレスに戸惑いの目を向けていたが、「大切な人から貰ったんです」と伝えると、納得してくれた。
「のどちゃん、あともう少しで会えるから、もう少しでそっちに行くから、待っててね。」
のどちゃんと会えるなら。あと少しの辛抱で、大好きな人の近くに行けるなら。そう思って、私は深く永い眠りに就いた。 end