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未来を描く月影

第18話 - 第17話　新しい日常

2025年04月04日

#れんあい

那賀酸（ながさん）

第１７話「新しい日常」

蒼と美月の結婚から数か月が経ち、新しい日常が静かに始まっていた。二人で過ごす生活は、これまでの独り暮らしとは全く異なる喜びや挑戦に満ちていた。

朝は蒼がいつも少し早く起き、美月のために朝食を用意することから始まる。キッチンから漂う卵焼きの香りに誘われて起きてきた美月は、彼の優しさに感謝しながら席に着く。「本当にマメだよね、蒼。」そう言いながら、美月は微笑む。「君が頑張っているから、これくらい当然だよ。」蒼は照れくさそうに返事をしながら、コーヒーを淹れる手を止めなかった。

二人での生活は、些細なことでも新鮮で、時に小さな笑いをもたらした。買い物に行くたびに、「今日はこれを作ろう」と新しい料理に挑戦したり、休日には近所を散歩しながら将来について語り合ったり。未来ノートにも、「毎月1回、一緒に料理を研究する」という新しい目標が書き加えられた。

しかし、新しい生活が順調に進む一方で、二人はお互いの癖や生活リズムの違いに戸惑いを覚える瞬間もあった。美月は整理整頓が好きだったが、蒼は少しだけ散らかしがちな性格で、その小さなズレが時折小さな衝突を引き起こした。

「蒼、この書類、なんでテーブルに置きっぱなしなの？」「ごめん、美月。でも、あとで片付けるつもりだったんだ。」「あとでっていつも言うけど、すぐやってほしいんだよね。」

二人はこうしたすれ違いを経験しながらも、すぐに話し合い、互いに歩み寄ることで解決していった。「お互い、最初から完璧に分かり合うのは難しいよね。でも、一緒に乗り越えていこう。」美月のその言葉に、蒼は安心したように微笑んだ。

また、新婚生活の中では、二人がそれぞれの夢や目標に向き合う時間も大切にされた。美月は新しい福祉センターの仕事にやりがいを感じており、日々利用者の笑顔に元気をもらっていた。一方で蒼は職場で新たなプロジェクトに挑戦しており、忙しい中でも少しずつ成果を上げていた。

そんな中、夜に二人で過ごす時間が二人の癒しのひとときとなっていた。蒼は美月に仕事の話を聞きながら、「お疲れさま」と優しく言葉をかけ、美月も蒼の挑戦を応援する言葉を惜しまなかった。

そしてある夜、二人は未来ノートを再び開き、結婚生活で見つけた新しい目標を書き足した。「一緒に成長し続ける。小さなズレも話し合って解決する。」「お互いの夢を応援し合う。」

そのノートには、二人の希望と決意がたくさん詰まっていた。そして彼らは、新しい日常の中で少しずつ夢を叶えていくことを、楽しみに思っていた。