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めちゃくちゃ見るの遅くなって申し訳ないです🙏 ゑ…地球じゃない…だと… クラークさん…なんだか怪しい気もするけどどうなんだろう🤔 あと鍵が何の鍵なのか気になりますね… 私的に更新は主さんのペースで全然大丈夫です!
更新遅れてしまい大変申し訳ございません🙇🏻♀️ 約1ヶ月半ぶりの更新です…本当に申し訳ないです…
胡朱達が食堂の目の前に到着すると、既に3人が食堂の出入り口付近で待機をしていた。胡朱達は3人に軽く挨拶をし、6人揃ったところで食堂の中に入った。食堂の中にある受け付けに立っていた女性に朝食を食べに来たということと名前を告げると、女性は6人を席へと案内した。案内された先のテーブルには豪華な朝食が並んでおり、作りたてなのか湯気を立てながら待っているかのようだった。それぞれが席に座り、手を合わせて食事をとり始める。少しの間無言の食事が続いたが、その沈黙を破るように志音が口を開いた。
「今後についての話し合い……でしたよね。そういえば、胡朱さんはアルバートさんの運び込まれた病院へと向かったそうですが……彼はどのような状態でしたか?」
志音が胡朱にそう問いかける。胡朱は水を口に含み、それを飲み込んでからゆっくりと答えた。
「容態は安定していましたが、一向に目を覚ます気配がないそうです」
「やはり、あの時に受けた一撃が──」
『……それはどうかな? 私には、それだけじゃないように見えなくもないのだけれど』
翠が何かを言いかけたその時。音一つ立てず、6人の頭上にはいつの間にか白い謎の物体が浮遊していた。傍から見れば、何らかの力で浮遊している機械に見えるかもしれない。しかし、その機械は言葉を発し、コミュニケーションを取るのだ。まるで人のように。
視界の端にちらつく白を睨みつけていた幸斗が口を開いた。
「……昨日のか。何が目的だ? 俺達の仲間なんだよな。それはどうやって証明するんだ?」
『そんなにいっぺんに質問せずとも安心してほしい。きちんと1つずつ答えるさ。まずは……そうだね。自己紹介でもしようか』
『私はクラーク・グランデ。アルバートの同僚で、探偵業をしている。あぁ、君達の前に居るのは機械だが、本体は別の場所に居るよ。よろしく』
球体は機嫌が良さそうに周囲をふよふよと漂い、時折回転しながら全員の顔を見て回った。誰もが目の前の球体──クラークに対して疑問や不信感を抱いていたが、クラークはそんなことなど気にしないといった様子で、ディスプレイは笑顔のマークになっている。
それぞれがなんとも言えない表情でクラークを見ていた時、突然翠が腕を伸ばしてふよふよと漂っている球体を捕らえた。その突然の行動に誰もが驚き、先程まで笑顔だった機械のディスプレイは焦り顔に変化した。
「貴方は、自分が味方だということを僕達にどのように示すつもりですか?」
機械を押さえつけてそう問いただす翠。目の前をちらついているのがよっぽど気に食わなかったのか、押さえつけている両手の力は強く、ギリギリという嫌な音が機械から発せられていた。事情を知らない胡朱達は、何がどうしてこうなったのかももちろん知らない。その為、翠を止めるべきかどうかも分からないのだ。……ただ、胡朱達が止める前にレグが翠を止めたのだが。制されたことで翠は渋々クラークを解放し、自身も席に座りなおした。解放されたクラークはまた宙へ浮かび始めたが、心なしかふらふらしているようにも見えた。
『あぁ、怖い怖い。……まぁ、今は信じてくれなくてもいい。共に行動していくうちに、きっと全員私のことを信じてくれるようになるはずさ。私のことが気になったら、アルバートにでも聞いてみるといい』
「……そもそも、共に行動したくないのですが?」
『ははは、そんなこと言わずに! 昨日君達を助けたこと、もう忘れてしまったのかい?』
「あの……。どういった状況ですか?」
若干会話に置いていかれているように感じた胡朱は、小声でレグに説明を求めた。すると、レグは苦笑いをしつつも簡潔にクラークのことについて説明をした。融合怪物と戦っていた時に彼が現れたこと、そして何故か自分達を守ってくれたことを。その話を聞いて、胡朱は彼が悪い人間ではないのだろうなと考えた。……しかし、どうしてここに来れたのだろうか。胡朱は、その疑問を素直に口にした。
「どうしてここに来れたのですか?」
『いい質問だ! 実は、この機械は元々アルバートに持たせておいたものなんだ。モバイルバッテリーのようになることも出来るからね』
『だが、まさか旅客機が墜落するなんて……。どうにか荷物の山の中から脱出して、君達の後を追ってここまで来たんだ。ただ、この機械は同じ形状のものがもうひとつあるはず。あれが見つかれば、ここに助けを呼ぶことも可能になるはず──』
クラークは、機械について説明すると同時にさらっとえげつない情報を吐いた。あまりにも当然のことかのように話すものだから全員が一度聞き逃してしまったのだが、機械が重要な手がかりであるということを知り、思わずクラークの方を見た。最初にそのことについて聞いたのはアリスだった。
「ど、どういうことですの!? 助けを呼べるとは……」
『そのままの意味さ。もし、もうひとつの機械が故障していなくて、きちんと機能する状態なら、あそこに埋め込まれているGPSから君達の現在地を特定できるるかもしれない』
「この機械から現在地を特定することは?」
『これは必要最低限の機能だけを詰め込んで軽量化したものだから、そんな便利な機能はない。ドローンのようなものだと考えてくれると分かりやすいかもしれないね』
希望が見えたように思われたが、旅客機に詰め込まれているであろうおびただしい量の荷物を想像し、胡朱はため息をついた。そこで、胡朱達には新たな疑問が湧いてきた。
──ここはどのような場所なのだろうか? 地球のどの辺に位置しているのだろうか? その疑問を解消すべく、志音が現在会話している者達の中で唯一の現地民であるレグに問いかけた。
「ここは……どこなのですか?」
「どこって……ドゥーベ大陸ですよ。そういえば、出会った時に旅客機が墜落したと仰っていましたが……、皆様はどこからいらしたのですか?」
志音からの問いかけに答えながら、レグは疑問を口にした。そう、アルバートはレグと出会った時に、「自分達が搭乗していた旅客機が墜落した」ということだけ説明していたのだ。それだけ説明していれば十分な気もするが、結果的にレグは6人がどこから来たのかということを知らなかった。
ドゥーベ大陸。地球で生活していればまず聞かない単語に、5人は子首を傾げる。日常生活で目にする地図にそのような地名は記載されていない。……では、一体どこに存在するのだろうか。まさか、この時代にもまだ地球で未発見の土地が?
「初めて聞いたな。ここは地球じゃないのか?」
「地球……? それこそ、僕は初めて聞きました。どういうことでしょうか?」
『おやおや……』
並べられている食事達も冷め始めた頃。困惑している一行を見ながら、クラークは相変わらず周囲を漂っていた。そこに驚きの色はなく、まるで最初からそうだと知っていたかのようで。5人もここが自分達のよく知る場所ではないということは薄々勘づいていたが、まさか現地民が地球を知らないとは思いもしなかったのだ。
レグは俯き、椀の中で揺れているスープの水面を見つめていた。しかし、突然何か思いついたかのように顔を上げる。
「ドゥーベ大陸についての書物は、僕の書斎にいくつもあります。屋敷に皆様のおっしゃっている『地球』があるかどうかは分かりませんが、大図書館にならあるかもしれません」
「……大図書館?」
「はい。大図書館です。僕の住む屋敷の近くにあり、様々な情報が揃っております。もしかすると、そこになら──ということです。屋敷の近くにありますので、戻る時にでも行きましょうか」
「……皆様、突然申し訳ございません」
使用人に伝えておきます、と言いながら連絡をしようとしていたのかもしれない。連絡をするつもりだったのだろうが、レグは突然現れたウィズを見て動きを止めた。
ウィズは何やら真剣な面持ちで、一行を真っ直ぐに見つめている。その真剣さは瞳からも読み取れる。
何かがあったのは確かだった。7人は言葉を待つようにウィズを見つめている。……ウィズは、ゆっくりと口を開いた。
「──〝鍵〟がなくなってしまったそうです」