呪術廻戦 五条悟 様の夢小説
⚠自己満夢小説
⚠単行本の重大なネタバレ(アニメ勢注意)
⚠五条悟×妻の夢主
⚠雰囲気重視
⚠過去作リメイク
⚠長い(2500文字超え)
以上平気な方のみお進み下さい𓂃🌃
〇〇『悟!』
勢いよく飛びついた私を軽々受けとめる悟。
生徒や皆が周りにいるのに抱き着く私を拒まず、それどころか背に腕を回してギュッと抱き締め返してくれた。
獄門疆に封印されていた彼。
閉じ込められていた19日間はとても長く感じた。
久しぶりに感じるぬくもりに、安堵で涙が溢れた。
五条「心配させてごめん」
〇〇『すっごい心配した。寂しかったし大変だった』
五条「うん、ごめん」
〇〇『…会いたかった』
五条「僕もだよ」
〇〇『……バカ』
会えたのが嬉しくて、生きて帰ってきてくれたのが幸せで。
辛い未来がくることなんて、この時は忘れていた。
決戦の日。
〇〇『さと、る…』
モニターに映るのは彼の最期。
身体が真っ二つにされたのを見て、最初は何が起こったのか分からなかった。
〇〇『ぁ、ゔ…ぅぇっ、』
途端に理解した。
悟が負けたと。
あまりのショックで涙と共に猛烈な吐き気が私を襲う。泣き崩れた私の隣で、硝子は煙草を落としていたっけ。
見開いた瞳からこぼれ落ちる大粒の涙。
再開した時の嬉し涙とは違う、哀しくて辛い涙。
〇〇『……さとる、』
左手の薬指に嵌められた二人の愛の証は、輝きを失ったように見えた。
大きな大きな戦いが幕を閉じた。
たくさんの命がこぼれ落ちた。
それでも私は生き残って、悟の通夜葬儀を終えたところだ。
悟が死んだという実感は、まだ湧かない。
彼の遺骨が入ったネックレスはつけられそうになかった。
〇〇『……』
家入「…行くぞ」
帰りを促すように私の背中を押す硝子。
皆の声が遠く聞こえて、視界は歪んでよく見えない。
私の心は、壊れかけていた。
五条「行ってくるね」
〇〇『いってらっしゃい。また後でね』
五条「…うん」
彼をあの戦いに送り出した時のことを鮮明に覚えている。
彼が封印から解かれて復活してから、あの戦いまでの数日間。私と悟には休憩期間が設けられた。
言い換えれば、最期に心残りがないよう埋め合わせる時間だ。
その間たくさん話をして、出かけた。
それでも心残りがないわけがない。
〇〇『……』
月がくっきり見える夜、二人でベランダに出て語り合った。
昔のこと、今のこと、未来のこと。
「ほんとは僕以外の人を見つけてねって言いたいんだけど、やっぱずっと僕のこと好きでいてほしいな。縛りたいわけじゃないんだけどね」
彼が言った言葉を思い出す。
〇〇『…当たり前じゃん。悟以外にいい人なんて見つかりっこないよ』
あの時二人並んで座ったベランダに、今は私一人。
コーヒーが入ったマグカップも、一つ。
家入「お前、ちゃんと飯食ってないだろ。睡眠もだ。このままじゃ自分が壊れるぞ」
〇〇『大丈夫だよ。壊れるなら願ったりだし』
家入「っ、ふざけるなよ。確かに五条はお前を置いて逝ったけど、お前には生きててほしいって、幸せになってほしいって思ってるぞ!」
〇〇『悟がいないのに!』
珍しく声を荒らげる硝子に、私も言い返した。
今の私に余裕なんて、どこにもなかった。
〇〇『幸せになれるわけないじゃん…』
家入「……私が使ってる眠剤と栄養ドリンクだ」
そう硝子に渡されたビニール袋。
瓶ばっかり入っていて重くて、硝子の優しさが心に染みて視界が歪んだ。
その優しさに応えられない自分が情けない。
眠れない日々が続く。
どうやら私の不眠症は硝子オススメの眠剤にも勝ったらしい。
あれから毎日同じ夢を見る。
〇〇『悟!』
真っ白な空間に私と悟だけがいる。
背を向けて歩く悟は決して振り返らず、私はそんな彼を必死に追いかける。
どんなに名前を呼んでもどんなに走っても、追いつくことはない。
あぁ、いっそのこと私も同じところに行けたらなぁ。
いつまでも温まらないベッドの中とか、
彼が買ってくれた洋服やアクセサリーとか、
まだ微かに部屋に残る彼の匂いとか、
彼が好きで常備していた甘いお菓子とか、
見るだけで涙がこぼれる私は、弱いのかな。
〇〇『もういっそ…』
飲んでいたコーヒーをテーブルに置いて、ベランダの柵に手をかけた。
〇〇『!』
目を開くと、ベランダに戻っていた。
そして隣には、
〇〇『悟!』
五条「〇〇」
最愛の彼が。
思いきり抱きつくと、あの日のように受け止めてくれる。
優しいぬくもりも甘い匂いも、間違いなく彼だ。
覚えてる。忘れるものか。
五条「ごめんね、置いてっちゃって」
〇〇『やっと会えた…!おかえり悟、ずっと帰ってくるの待って…』
そう言いながら顔を上げると、悟の表情は歪んでいた。
あぁ、迎えに来てくれたわけじゃないんだ。
私は何となく察する。
これが夢でも、現実でも、悟に会えたんだから今この時を楽しむしかないよね。
五条「傑も七海も夜蛾センもね、皆元気だよ」
〇〇『そっか、それは良かったよ。現実では皆辛いことも多かっただろうけど、上では楽しくやってんだね』
五条「そうだね、そうかも。……ごめん、〇〇だけ置いていって」
〇〇『うん、でもいいんだ。またこうして会えたから』
空を見上げると、薄い雲に覆われた朧月が浮かんでいた。
飛び降りるまでくっきりしていた月のことを、私が思い出す日はくるのかな。
〇〇(まあ、いっか)
悟とゐられルなら、なンでモ。
歌姫「〇〇!起きて!〇〇!!」
家入「チッ、意識が戻らない。頭部からの出血は治まってるんだが…」
伊地知「〇〇さん!!」
家入「伊地知、来たか」
伊地知「ベランダから飛び降りたって…」
家入「あぁ、クソ!」
家入(私がちゃんと見てやってれば…!)
朧月夜
MERRY BAD END 🎠𓈒𓂂
コメント
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だいぶ前に投稿した「朧月ガ浮かぶ夜にまた会ゐまシょう」というチャノベをラノベに書き換えてみました! 最後に五条に会えたのは夢主が生死をさまよっていたからなのか、はたまた夢なのか…。皆様のご想像におまかせします🙊