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お菓子の話ー後編ー
はじめまして、こんにちは、えくつです。
いやあ、この連載書くの何年ぶりでしょう笑。色々ありすぎて、テラーの存在すら完全に忘れてましたね。。。
ではー、本編へGO!!
ダミアンが、菓子売りの店に自分から入ることは滅多になく、ましてやケーキ屋なんて、彼の父であるドノバン・デズモンドの接待にダミアンも半強制的に連れられて以来だ。
(不思議なこともあるものだ、あの甘いもの嫌いの坊ちゃんが、自らケーキ屋に入るなんてねぇ)
彼の執事兼専属運転手は心の中で独りごちた。
件のケーキ屋には、2人の少女がいた。
坊ちゃんの視線の先には、そのうちの1人、
一際目を引くピンクの髪の毛を持つ、ショーケースの高さにも満たない少女、というより幼女がいた。
(あらあらあら)
(何処かで見た事のある子だと思ったら、坊ちゃんを初日にして殴った、同じクラスのあの生徒か)
新入生初日にして、ダミアン・デズモンドを殴った生徒、として悪名高いアーニャ・フォージャー。その名はもちろん、容姿も、ダミアンの執事兼専属運転手の耳に入っていた。
(あのプライドだけバカ高い坊ちゃんが、まさか、ねぇ)
「おい、行くぞ」
執事兼専属運転手は、はっと我に返る。
「はいはい坊ちゃん。今すぐ。」
「うままままままー!!!!」
「さすが、有名なケーキ屋さんなだけあるわね。ピーナツからクリームまで1級品だわ!!!」
アーニャはクリームをほっぺと鼻につけたまま言う。
「べっきー、ここはみしゅらん10こ星れすとらんにあたいする。」
「アーニャちゃん、ミシュランに10こ星も無いし、ここ、レストランでもないわよ。」
「なぬぅ」
「それにしても、このお店、ケーキだけじゃなくて、景色もいいわね!今度パパとママと一緒に来よ!!」
アーニャとベッキー2人は、ケーキ屋の2階のテラス席に座っている。そもそもこのケーキ屋が丘の上に建っているため、そこからはバーリントの街が一望できる。
休日にも関わらず、特別な任務を遂行している、ロイドや、今頃ボンドを散歩に連れ出しているであろうヨルも、この街のどこかにいたりするのだろうか。
(ちち、はは、どこにいるかな)
テラスの柵に身を乗り出し、手を丸めて目にあてて、望遠鏡のようにして、アーニャはロイドとヨルを探す。
「アーニャちゃんったら、あぶないわよ。ここ、2階だし、落ちたらこっせつとかしちゃうんだから!」
「ちちとはは、さがしてるだけ。だいじょぶ。」
「んもう、アーニャちゃんったら、そーゆーことじゃないってば。」
ベッキーがそう言った途端に、強風が吹いた。
2人のカップが倒れ、水がこぼれる。
アーニャのポンチョが強風に煽られる。
その反動でアーニャは思わずテラスの柵から手を離した。
「ちょ、アーニャちゃん!!!!あぶない!!」
「ふがごごごごぉぉぉぉ!!!べっきーぃ!!」
ベッキーは咄嗟にアーニャのポンチョと足を抑える。しかしベッキーも強風のため上手く動けない。
「アーニャちゃん!ちゃんと柵につかまってて!!」
「ふがごぬぉごごぉぉお!!!!!」
「アーニャちゃんったら、聞いてるの?!!!」
強風のせいで、ベッキーの声がアーニャに届かない。助けを求めようにも、店員さんは1階だ。
(どうしよう、マーサも今はいないし、、!風は全然止む気配ないし!!!そういえば今日の朝のニュースで、強風注意報出てたような気がするわ。ちゃんと見といたら、こんな風当たりの強すぎる丘の上のテラスのお店なんて行かなかったのに、、、。)
とうとう雷も鳴り、雨も降ってきた。雲がいきなり黒くなり、町は一気に暗くなる。
いまだ、強風は止まない。
「べっきぃぃぃぃぃぃー!!!!!」
(っ、どうしたらいいわけ、、、)
「てめぇら、何やってんだ!!あぶねえぞ!!」
後ろの方から、もう何百回と聞き飽きた声が聞こえる。その声の主は、テラスの柵へと駆け寄る。
「おい、ブラックベル、そいつから絶対手をはなすなよ!!!」
「って、え、ダミアン?!?!!!なんであんたここにいんの!!?!!?」
「んなことどうでもいいだろ!!それより引っ張るぞ!!」
暴風雨の中、ダミアンはベッキーを引っ張り、ベッキーはアーニャの足とポンチョを引っ張る。幸い、アーニャの体重は小学一年生の平均のそれより軽かったことから、2人がかりだと難なく救出することが出来た。
「っっったく、てめぇぇ!!!なんでこんなことになってんだよ!!!!!?!?」
雨と風、そして汗によりぐちゃぐちゃになった髪をかきむしり、ダミアンは叫ぶ。
「あめとかぜのせい」
「んなこたわかっとるわ、あほ!!!」
「ほんとよ、アーニャちゃん!!ほんとのほんとに、あぶなかったんだから!!!一歩間違えたら、どうなってたことか、、、」
「ごめんなさい」
「ほんとにもう」
まあとにかく、無事でよかったわ、と安堵するベッキー。
「じなん、」
「なんだ」
「あーにゃを、たすけてくれて、どうも、ほんとうに、あざざます」
アーニャはぺこり、と頭を下げ、礼を言う。その髪からは、ぽたぽたと水滴が落ち、テラスにシミを作り、そして消える。
「、、、い、いや、別に、当然のことしただけだしっ。。。」
ダミアンはそっぽを向く。ベッキーはその耳が、かすかに色づいてることに気づく。
「べっきーも、あざざます!」
だいすき、とベッキーに抱きつくアーニャ。
「んまあ、アーニャちゃんったら。」
ふふ、いいでしょダミアン。これが親友の特権ってヤツよ。あんたはそこで指をくわえて見てなさい。アーニャちゃんを簡単に、あんたのものになんて、させないんだから!!
「アーニャちゃんは、あたしが護るからね!」
「うい!べっきーのことは、あーにゃがまもる!!!!!」
「てめえの守りなんぞ、大したことねえだろ」「じなん、きらい」
「っっっ、こっちこそお前に好かれるとか願い下げだ!!」
「あーにゃ、すきとかいってない。すきだけど。(友達として)」
「んなぁあぁああああ!!?!☆※///□〇」