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こはく
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さめさん
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『あと一歩、踏み出せたら』
「nokrさん、これどう思う?」
yanがスマホの画面を見せてくる。
「え? ああ……いいんじゃないですか?」
「ほんとに?」
「はい。yan裙に似合うと思いますよ」
「……そっか」
yanは嬉しそうに笑った。
その笑顔を見るだけで、nokrの胸は少しだけ苦しくなる。
――好き。
その気持ちは、もうずっと前から自覚していた。
でも、言うつもりはなかった。
nokrの方が年上。
それに、yanにとって自分はただの仲のいい先輩なのかもしれない。
今の関係が壊れるくらいなら、このままでいい。
そう思っていた。
一方のyanも、同じようなことを考えていた。
nokrと話すのは楽しい。
優しくて、困ったときにはいつも助けてくれる。
たまに敬語のまま少し意地悪なことを言ってくるところも好きだった。
でも――。
「nokrさん」
「はい?」
「好きな人っている?」
突然の質問に、nokrの動きが止まる。
「……どうしたんですか、急に」
「なんとなく」
「いますよ」
「……え」
yanの笑顔が一瞬だけ消えた。
「いるんだ」
「はい」
「どんな人?」
「優しくて、一緒にいると楽しくて……」
nokrは少し考えてから続ける。
「僕にとって、とても大切な人です」
「……そっか」
yanは笑った。
けれど、明らかにいつもより元気がない。
nokrはそれに気づいていた。
でも、自分から「あなたです」と言う勇気はなかった。
⸻
数日後。
二人で話していると、yanがふいに言った。
「俺さ、好きな人いるんだ」
nokrの胸が跳ねる。
「……そうなんですか」
「うん」
「どんな人です?」
「優しくて、俺のことちゃんと見てくれて……」
yanはそこで言葉を止めた。
「あと、年上」
「……」
nokrは笑顔を作った。
「素敵な人なんでしょうね」
「うん。めっちゃ好き」
その言葉を聞くたび、nokrの胸は痛くなる。
――僕じゃない。
そう思い込んでいた。
だけどyanも、同じように思っていた。
nokrが好きだと言った相手。
それが自分だとは思えない。
二人とも、あと一歩なのに。
その一歩を踏み出せないまま、時間だけが過ぎていった。
⸻
ある日。
yanが少し元気のない様子で座っていた。
「yan裙?」
「……ん?」
「何かありました?」
「いや、別に」
「本当に?」
「……nokrさんってさ」
「はい?」
「俺が誰を好きか、気にならない?」
nokrは黙った。
気にならないわけがない。
毎日のように考えている。
けれど――。
「……気になりますよ」
「じゃあ聞いてよ」
「誰なんですか?」
yanはしばらく黙っていた。
そして、少しだけ顔を赤くしながら言う。
「……nokrさん」
「え?」
「俺が好きなの、nokrさんだよ」
nokrは固まった。
「……僕、ですか?」
「うん」
「本当に?」
「何回言わせるんだよ……」
yanは恥ずかしそうに目を逸らす。
「ずっと好きだった」
nokrはしばらく何も言えなかった。
そして、ふっと笑った。
「……よかった」
「え?」
「僕も、yan裙が好きです」
「……え?」
今度はyanが固まる番だった。
「僕が好きなのも、yan裙ですよ」
「……嘘」
「嘘じゃないです」
「じゃあ、なんで言ってくれなかったの?」
「yan裙も言ってくれなかったじゃないですか」
「……それは」
「お互い様ですね」
nokrが笑う。
yanも少しだけ笑った。
「……なんか、俺たちバカみたい」
「そうですね」
「でも……よかった」
「はい」
少しの沈黙。
今までなら、ここでどちらかが話題を変えていた。
でも今日は違った。
「nokrさん」
「はい?」
「これからも、俺の隣にいてよ」
nokrは優しく笑った。
「もちろんです」
「……じゃあ」
yanが少し照れながら言う。
「俺と付き合ってください」
nokrは一瞬驚いて、それから頷いた。
「はい。よろしくお願いします」
「……敬語なんだ」
「癖なので」
「ふふっ……まあ、nokrさんらしいか」
今まであと一歩だった二人の距離が、ようやくなくなった。
それでもnokrは敬語のままで、yanはいつものようにタメ口。
変わったのは、ただ一つ。
二人がお互いを「好きな人」として、堂々と隣にいられるようになったことだった。
コメント
1件
読んだよ…『あと一歩、踏み出せたら』💧 お互い「好きな人いる」って言い合って、どっちも自分じゃないって思い込んでるところ、胸がぎゅってなった… 最後、nokrさんが敬語のまま「よろしくお願いします」って言うのも、二人らしくてすごく良かったです。 ずっと見守ってきたみたいな気持ちになったよ、ももさん…素敵な1話をありがとう🥀🤍