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※モブ(迷子の少年)との絡みあり
1万字越えです。お時間ある時にお読み下さい。
ここから伏字なし
1月21日 午前10時
宇佐美side
俺とるべが謝り倒して許しを得た午前10時、やっと4人で食卓を囲み朝食を摂っている。ちなみに俺のオムレツには遠目で見たらキリンちゃんと思えなくもない塊をテツが描いてくれたので、俺もテツのにSEXY…のダイイングメッセージを添えてやった。ロウのにはるべが狼と思わしきバケモノを描き、るべのにはロウの手でデフォルメ化されたタコが描かれた。
👻「はい、お前の似顔絵。」
🐙「はい?確かにるべちはプリティーフェイスですけど…はぁ、まぁ俺からも小柳君の肖像画をあげましょう」
👻「血を浴びたバケモンじゃねぇか」
🤝「僕のは力作だよ!どっからどう見てもキリンちゃんでしょ!!」
🌩「お、おう!いやー完璧キリンちゃんだわ…wこの、フッw目が血走ってる所とかwwwコツコッコッww」
🤝「馬鹿にしたな!?!てか言っとくけどリト君のSEXY…も大概だからね!!」
あーだこーだと言い合いながらも皆少しずつ食パンやオムレツを口に運ぶ。賑やかな朝食の場は久しぶりで、俺はコーヒーの香りとテツの笑顔と、この空間の全てに満ち足りていた。
佐伯side
リト君の方を見ると、幸せそうな顔をしてコーヒーを嗜んでいた。そんなに上手に淹れられたのかなと不思議に思ったが、彼がこちらに微笑みかけてきたので全力の笑顔で返した。
そんな中、向かいに座るロウ君が苦悶の表情を浮かべている。
👻「はぁー…。腰痛くて座ってんのもきついんだが?星導さんよぉ?」
🐙「いやー…ほんと申し訳ないです…」
その会話から色々察しながらも、赤くなる頬を隠してロウ君を気遣う。
🤝「大丈夫?うち湿布あるけど使う?」
👻「まじ!?2人がいいなら貰いたい」
🌩「別にいいけどテツも貼ろうな?無理させたから痛いだろ?」
僕の腰に手を当てて心配そうな顔をしてくるリト君。嬉しいけど恥ずかしい…。それにリト君が大事にしてくれてるからあんまり痛くないなんて言えない…。
🤝「…いや、まぁね。ロウ君にあげたって余るほどあるから大丈夫だし!」
🐙「ありがとうございます。俺が買いに行かされる所だったので助かります。
…というか2人とも随分朝からラブラブですけど、無事仲直り出来たんですか?」
るべ君から期待の満ちた目で見つめられる。ロウ君もパンを頬張りもぐもぐさせながらこちらを見てくる。リト君の方を見ると、机の下から彼の手が俺の手に伸びてきて、優しく握られた。僕は強く握り返して彼と目を合わせ、頷く。
🌩「仲直り…した。俺から改めて付き合って欲しいともお願いして、テツから許し貰いました」
🤝「昨日は迷惑かけちゃってごめんね?2人とも僕らがギクシャクしてるの分かってくれて、話聞いてくれたり相談乗ってくれたり色々手伝ってくれたから。本当にありがとう。」
🐙「あら〜!!本当に良かったです〜!これでやっと心置き無く楽しめますね!」
👻「ん〜おめ〜。結構気まずかったから早めに解決してもらえて良かったわ」
🌩「いやほんと…迷惑かけたわ…」
🤝「でもなんかお酒の力借りて腹割ってリト君に気持ちぶつけた分もっとリト君のこと知れて、もっと好きになったよ?」
🌩「…はぁ。好きとか沢山伝えてって言ったのは俺だけど心臓持ちそうにないわ」
リト君の頬がほんの少し赤く染まる。嬉しくなってテーブルの下で握ってた手をふるふると揺らす。いつも雄々しい彼がこんな可愛い反応をしてくれるのが新鮮で、僕はもっと伝えてやろうと心の中で息巻いた。
星導side
ハートのエフェクトでも見えそうなぐらい目の前で幸せオーラを放出しているカップルを眺めていると、小柳君がオムレツを掬ったスプーン片手にため息をついた。
👻「はぁ…俺ら見事に蚊帳の外だけど?この距離に居て疎外感感じる事無いと思ってたわ」
🐙「あははw確かにそうですね。俺らが帰った後のウェンマナが可哀想になってきますよ。」
まぁ俺らが泊まりに来た際のミッションは達成した訳だし、望んでいた光景ではあるのだが、あまりに空気が甘々なので俺もため息をついてしまう。
🐙「やっぱ仲直りしたてのカップルの熱には負けますね……っんぐ!?」
突如口元にオムレツを押し付けられる。見れば小柳君が頬を赤くしてスプーンを俺に突き出していた。
👻「ほら、俺らも負けてらんねぇから…
…あーんして欲しかったんだろ?///」
向かいにいるリトテツもこちらを見て驚いている。小柳君があーんしてくれるなんて…今日で地球は終わるみたいですね。
🐙「はは…地球での生活も悪くなかったです…」
👻「は?何言ってんだよ。…てか食わねぇなら俺が食べる」
🐙「いやいや食べます!」
小柳君からあーんで貰ったオムレツはやっぱり特別美味しい。もう俺の皿に残ってるオムレツ全部小柳君に食べさせて欲しい。
🐙「ん〜♡美味しいです…。ねぇ小柳君?一生のお願い!俺の残りのオムレツ全部あーんで食べさせて?」
👻「はぁ!?///いっ嫌だ…!」
🐙「え”ぇ”ぇ”😭😭😭そこをなんとか…っ」
小柳君に抱きつくがギャンギャン暴れられてしまい、彼はさっさと朝食を摂り終え部屋へ戻って行ってしまった。
🌩「っふwるべ振られたなw」
🐙「笑い事じゃないですよ!…はぁ、これまた土下座ですね…」
🤝「じゃあ今のうちに湿布るべ君に渡しちゃうね!ロウ君に謝って貼ってあげなよ」
🐙「イッテツ…ありがとうございます…。あ、朝食の準備もありがとうございました!お礼は必ずするので!!」
2人へのお礼もほどほどに、俺は小柳君のいる部屋へと急いだ。
小柳side
よくよく考えたらリトテツの前で星導にあーんとか何してんだまじで!!!熱々カップルの雰囲気に呑まれ過ぎだろ俺…//!
頭を抱えベッドに倒れ込むが、ふて寝する気分にもなれないので着替えるために持ってきたキャリーケースから衣類を出す。
すると星導が部屋に入ってきた。
🐙「小柳君…?」
👻「…」
キャリーケースを前しゃがみ込んだ俺の後ろから星導がハグしてくる。
🐙「ごめんなさい。朝から小柳君の気分損ねるような事ばかり。ちょっとリトテツの雰囲気に当てられて、小柳君の事沢山可愛がりたくなっちゃって…」
あの2人の雰囲気に圧倒されていたのは星導も同じだと分かり少し安堵する。でも謝って来る割に相変わらず人の家でもお構い無しにハグしてくる為、反省しているようには見えない。俺だって本当は甘えたいのを同期の前だからと耐えているのに、こうも触れられると甘えたい気持ちが勝ってしまう。
👻「………しろ」
🐙「え?」
👻「2人きりの時にしろって///そういうのは…」
床に吐くように文句をぶつける。すると星導に顔をぐるっと回され、後ろを振り向いた途端キスをされた。
🐙「…本当に可愛い、俺に襲われたくないならもう少し可愛い行動抑えてよ。」
顔を赤くした俺を見て、軽くため息をついた星導は湿布をヒラヒラとさせる。
🐙「…まぁとにかくごめんなさい。俺が悪かったです。小柳君が可愛いのも悪いですけど。あと湿布貼りますね。ベッドにうつ伏せになってもらってもいいですか?」
謝られている気は全くしないが、このまま喧嘩していてもどうしようもないのでとりあえず湿布を貼ってもらった。
👻「…お前、俺が彼氏で良かったな。普通大喧嘩になっててもおかしくねぇぞ」
🐙「逆に小柳君だからこういう小さな喧嘩が絶えないんですよ。というか小さな惚気ですかね?」
👻「なんだと?」
🐙「んふwこういうやり取りを惚気って言うんですよ。はい。貼り終えました。」
👻「次からは腰壊さないでくれ」
🐙「それは難しいですね〜」
結局反省の色が少しも見えない星導に今度は俺がため息をつき、それでも彼の事を好きな自分も大概だなと思うのだった。
宇佐美side
着替えを終えたるべとロウがリビングへ戻ってくる。テツが「僕作ってないから」と皿洗いをしてくれている横で俺はコーヒーのおかわりをしていた。
🐙「あぁすいません片付けまで…小柳君、今日の昼か夜は俺らでご飯作りましょう?」
👻「賛成。まじでありがとなリトもテツも」
🤝「僕らの仲取り持ってくれたお礼だよ。ねリト君〜」
🌩「おう。てか今日の予定どうする?るべとロウは行きたい場所とかあるか?」
俺らの悩みも解決して貰えたので他に計画していた事も無く、一応お客さんの2人に聞いてみた。
🐙「行きたい場所は決まってないですけど、せっかくですしダブルデートしましょうよ」
👻「そうだな。でも俺も行きたい場所思いつかねぇわ」
🤝「あ、じゃあ提案しても良い?僕動物園行きたいんだ!」
にこにこと笑うテツを横目に暖かいコーヒーを飲む。至福だ。
🌩「いいじゃん行こうよ。確かに2人でも行ったことないしな」
🐙「東には有名な動物園ありますもんね。行ってみましょうか」
その後各々準備を済ませ、暖かい格好で外に出た。俺はテツの手を掴んで俺のコートのポケットに入れる。テツの頬は寒さで赤いのか照れてくれてるのか分からなかったが後者であって欲しいと思った。るべとロウは俺らのように引っ付いて歩いている訳では無いが熟年の夫夫(ふうふ)のような雰囲気があり、家では小競り合いばかりだった筈なのにちゃんと階段でるベがロウをエスコートしていて唖然としてしまった。
🤝「なんか家でのるべ君と違う人みたいだね」
🌩「な、俺も思った。紳士的っつうか…ギャップ?あるよな。…俺も紳士になった方がテツ嬉しい?」
🤝「何言ってんの。リト君はもう紳士じゃん。」
ただでさえ体温の高い俺だが、テツの言葉で更に熱を持つのが分かった。
🌩「…なんか恥ずかしいな」
🤝「なんでだいw胸張ってくれよ〜でも紳士っていうより、リト君は僕の王子様かな。君今日の朝だって先に起きてご飯作ってくれてたりさ、僕の体調気にしてしゃがみ込んでくれた瞬間なんて朝日も相まって本当に王子様かと思っ…ぐ」
恥ずかしげもなく俺を褒めちぎるテツ。これ以上は俺の体温が発熱状態になってしまうので、テツの口を手で塞いだ。
🤝「ん”ー!!!ん”!!」
🌩「テツお願いだからもう褒めんな…」
おそらく真っ赤になった顔でテツに頼み込むと彼は抵抗するのをやめてくれた。そっと彼の口から手を離す。
🤝「ふふwリト君可愛い」
🌩「お前な…」
👻「おーい電車来るからイチャイチャしてねぇで早く来ーい」
先に改札を通ったロウに急かされ、俺らも急いで入る。
🤝「僕もリト君のことエスコートしたいなぁ」
🌩「それは無理な話だなw」
🤝「無理じゃないよ!じゃあ今日は僕かっこいい彼氏になれるように頑張る!るべ君から勉強しようかな…!るべくーん!!!」
改札をくぐるとさっさとるべの元へと走っていくテツ。俺のためとはいえ複雑な気分だ。
🌩「おいちょっ…と」
👻「何?仲直り早々人の彼氏NTRかイッテツは」
🌩「違ぇよ、あいつNTR地雷だし…。なんかるべから俺をエスコートする術を学びたいんだと」
👻「なんだそれ。あいつのどこから学べるんだよ」
🌩「え…?ついさっきもエスコートされてたじゃんロウ」
👻「は…?さっき?煽られてたの間違いじゃなくてか?」
いや階段登る時上から手引かれてただろ。こいつるべの紳士的な行動に慣れすぎて気づいてないのか…。甘やかされてんだなぁと思わず顔をしかめてしまう。
👻「えっ何?なんでそんな顔すんの?」
🌩「ほら電車来たぞ乗ろうぜ」
👻「いやいやいや何?俺気に障るような事した?え?リトごめんって無言やめろよ…」
いつもるべに対して強く当たってる癖にめっちゃ謝ってくるロウが面白くて、もう少しからかう事にした。
〜〜〜〜〜〜〜
電車内でテツは相変わらずるべと楽しそうに話をしているが、こちらから会話の内容までは聞き取れない。俺はテツを信用しているし、るべがロウだけを溺愛しているのも分かっているのでそんなに嫉妬心のようなものは湧かない。が、隣にいる狼さんは違うようで、寂しげにるべの方を見つめている。俺は思わず声をかけてしまった。
🌩「ロウはほんとるべの事好きなw」
👻「…は?急になんだよ」
🌩「いや寂しそうにるべの方見てるから」
無自覚だったのか俺に指摘され顔を赤くするロウ。着ているマフラーに顔を埋め、下を向いてしまった。
🌩「心配なのは分かるけど、テツにるべをどうこうする気はないから安心しろって。」
👻「あぁ…いやイッテツと話してるのが嫌とか、そういうんじゃないんだよ。でも何て言うか…誰にでもああやって笑ってんのは…あんま好きじゃないなって…」
🌩「でもるべ、ロウと話してる時1番笑ってるけどな」
👻「それはからかわれてるだけだから。あんな風に優しく笑いかけてなんかくんねぇよ。」
🌩「あー俺の言い方悪かったわ。ロウといる時が1番るべは自然体で過ごせてそうに見えるよって言いたかったの。なんつうか、るべの笑い方って含みあるように見えねぇ?」
👻「まぁそういう顔してるからな」
🌩「辛辣〜。まぁ顔は置いといてさ、ロウに話しかける時のるべ、すげぇ自然体なの。表情を作ってない感じ?だからそれ見て俺は余程心開いてんだなって思ってたんだけど。」
👻「…言われてみればまぁ、星導が俺に対して胡散臭い顔を向けた事は無い…かな」
🌩「だろ?まぁ2人の喧嘩の話聞いても、見てても分かる事だけど、るべは相当ロウの事溺愛してるみたいだし、両思いなのに行き違ってる感すごいよなお前ら。もう少し素直になれば?小柳さんよう」
👻「…だって俺が甘えるとあいつすぐ調子乗るから。」
🌩「それ多分るべも恥ずかしいの隠してんじゃね?彼氏に真っ直ぐ甘えられたら結構たじろぐもんだけど。」
👻「それ本当か…?もしそうなら…頑張って甘えてみようかな…//」
🌩「いいんじゃねぇの?るべに煽られてもキレずに甘えるんだぞ?」
👻「うん。頑張る。」
テツと仲直りさせてくれたお礼にロウの悩みを解決できて満足していると最寄り駅に丁度着いたようだった。電車を降りるとテツがこっちへスキップでもしそうな浮かれ具合でやってきたので、ロウと別れテツと共に改札をくぐった。
🤝「ふふん♪えへへ〜」
🌩「何?るべと話すのそんなに楽しかったのか?w」
🤝「違うよ〜。リト君と一緒に動物園行けるのが楽しみなの!そういうリト君だって電車の中で随分笑顔だったけど、ロウ君と何話してたの?」
🌩「ロウのお悩み相談会!内容は個人情報なのでひみとぅー!」
🤝「えぇー!?気になるじゃないか!!」
騒ぐ彼の手をそっと奪い恋人繋ぎをすると、頬を染めながらも嬉しそうに手をぶんぶん振るテツ。電車に乗る前まで「僕がエスコートする!」と息巻いていたのに、今俺にエスコートされて嬉しそうにしているテツのなんと気まぐれなこと。でもそんな彼の素直さが可愛くてたまらない。繋いでいない方の手を握り締め、俺は込み上げるキュートアグレッションに耐えた。
星導side
動物園に着くと、イッテツがあからさまに目を輝かせ始める。リトの手を引いてワクワクの止まらない表情で園内へ歩いていくイッテツ。まるで子供とその保護者のような仲睦まじいカップルだ。
👻「なんか親子見てる気分だよな」
🐙「小柳君もそう思います?イッテツのはしゃぎ方とか、リトが振り回されてるのを見るとやっぱり2人とも若いなぁってなりますね」
👻「…どうせお前の彼氏は年寄りで悪かっな」
🐙「そういう意味で言ったんじゃないです。大体140億歳越えの人外に見合うパートナーなんて小柳君ぐらいですよ。ちゃんと俺の事看取ってくださいね?」
👻「看取るとか言うな。…俺らはまだまだ先が長いんだから、何も今から最期を考える必要なんかないだろ」
🐙「……そうですね。若い奴らとのダブルデートを今は楽しみましょうか」
俺はそっと小柳君の手を握り、リト達の後を追って園内へと足を踏み入れる。彼の冷たい手と俺のぬるい体温が混ざり、互いを飽和していく。お互いに手が暖かくないのがまた俺ららしいなんて思ったり。
〜〜〜〜〜〜〜
🤝「リト君!!こっちにテナガザルいる!」
🤝「ねぇ見てフラミンゴ!!彼らって本当に体幹いいよね」
🤝「すっげぇー!ハシビロコウじゃん!目の前でにじたうんでも踊ったら動いてくれるかな?」
🤝「やば!!wリトく…っじゃなくてゴリラいる!!」
🌩「そうだよなゴリラだよな。いつだって握り潰してやるよテツ。」
園内に入った後も相変わらずリトテツ達は終始テンション高めでイチャついている。キューアグに耐えるリトを小柳君と笑いながら後を追いかけていたのだが、リトテツはすごいハイペースで回るので年寄り2人は着いて行けなくなってしまった。なので途中から俺と小柳君は飲み物を買い、出口近くのお土産屋で休憩をする事にした。
👻「まじ元気過ぎだろあいつら…。年寄りにはきついって」
ホットコーヒー片手にベンチに座る小柳君は相変わらずかっこいい。勝手に彼からコーヒーを奪い一口頂戴した。
👻「あ、お前…」
🐙「ん。アメリカンですか。薄めですね。」
👻「気に入ったんなら飲んでもいいけど」
彼はカイロがわりにホットの飲み物を買っていただけだったようで、両手を寒そうに擦り合わせている。そこで俺はコーヒーを彼に返してお土産屋へ向かう事にした。
🐙「ちょっとここで待っててください。俺トイレ行ってきます」
👻「おう。早く戻ってこいよ」
後ろ手に手を振ってお店へ入っていく。小柳君用に可愛い手袋でも買おうかと思ったのだが、やはりこの時期は人気なようで売り切れていた。そこで渋々抱き抱えられるサイズのオオカミの人形を買ってお店を出る。
🐙「小柳君お待たせ…」
するとベンチに座っていたはずの小柳君はそこには居らず、1人ぽつんと立ちすくんでいる少年の方へ歩いているようだった。俺は口を押さえ、そっと見守る事にした。
小柳side
星導を待つ間、寒さに身を悶えさせながらスマホをいじっていたのだが、あからさま何度も俺の目の前を往復している子供がいた。俺の目の前というよりこの辺をずっと歩き回っているようで、迷子かと思い近づいて声を掛けることにした。
👻「…お前、迷子?」
子供はビクッと肩を震わせながらもこちらを振り向く。少し怯えたように見える少年を気遣い、俺もしゃがんで目線を合わせた。
👻「迷子なら動物園の人に親探してもらうよう俺がお願いするけど」
「…違う」
違う?迷子じゃないって事か?そう思い周りを見渡すが親らしき人も居ない。
👻「お前まさか一人で動物園来たのか?」
「違う」
否定され安心した気持ちと、じゃあお前は何なんだという気持ちが湧き上がる。ヒーローなら何でも出来ると思われがちだが、俺は子供の相手は得意ではない。
👻「…じゃあなんでさっきからこの辺一人でフラフラしてんだよ」
「……知らない人には教えちゃいけないから言わない」
日本の教育が産んだ素晴らしい警戒心の少年に気持ちため息をつき、俺は財布からとあるカードを取り出す。
👻「…俺、西でヒーローやってんだわ。困ってる人がいたら助けるのが仕事な訳。お前東のヒーローなら見た事あるか?あの…」
「キリンちゃんとかの仲間?」
👻「あーそうそう。今日もキリンちゃんとかとここ来たんだよ」
少年は少し心を開いてくれたようで、俺の事をチラチラと見てくれるようになった。
👻「なんでここに1人でいるか、話してくれねぇか?」
「………お土産…買いたくて」
ゆっくりと口を開いた少年は泣くまいと上を向いている。
👻「親と一緒に買いに来るんじゃ駄目だったのか?」
「妹…ベビーカーで急に泣き出して…全然泣き止まないから俺が人形買って…泣き止ませたくて」
恐らく俺よりヒーロー思考の少年に深く感動しながらも、俺は心を鬼にする。
👻「だからって、勝手にここまできたら駄目だろ。お母さん、妹が泣き止まなくて困ってるのに勝手にお前まで居なくなったらもっと困るって事、分かるよな?」
「…ごめんなさい」
👻「それはお母さんに言え。ほら、人形買いに行くぞ」
俺は立ち上がって土産屋へ向かう。子供は驚いた顔でこちらを見ているがお構い無しに手を引き店へ入る。
👻「妹は何の動物が好きなんだ?」
「分かんないけど、今日はうさぎ見てた」
👻「じゃあうさぎだな。目が赤いのと、毛が茶色いのどっちがいい?」
「…目が赤いの」
俺は1番顔面が可愛い人形を手に取り、レジへ向かった。
「…待って。僕お金…」
👻「要らねぇよ。お母さんにはヒーローからの贈り物とでも言っとけ」
頑なに財布をしまおうとしない少年を諦めさせるためカードで払い、店の外で渡す。
👻「はい、これ。一人でお母さんと妹の所に戻れるか?」
「……わかんない」
わかんないよな…いや俺も分かんないが…。仕方ないので星導を置いて子供の親を探しに行こうかと思っていた所にリト達から電話がかかってきた。
🌩「急にごめんなっ。ロウ達今どこ居る?」
👻「俺は土産屋の近くだけど」
🌩「そっちで迷子の子供見てねぇか?今俺子供探してるお母さん見かけて、一緒に探すって…」
👻「あー多分こいつ。今俺と一緒にいるよ」
🌩「は…?!」
子供の特徴をリト越しに母親へ伝えてもらい、間違いないことがわかった。場所的にこっちの方が分かりやすいため、向こうに来てもらう事にして俺は少年とベンチで待つ事にした。…にしても星導遅くねぇか?
「……ありがと。お兄ちゃん」
👻「あ?あぁ別に気にすんな。すぐキリンちゃんのヒーローが来るからな。」
「…僕ね、ヒーローみんな好きだけど、1番好きなのは恐竜さんなんだ。かっこいいから。」
👻(ウェンか…子供人気高いなあいつ。)
「でも、僕1番好きなヒーローお兄さんになったかも。」
予想外の言葉をかけられ、俺らしくない随分と腑抜けた顔になってしまった。
「お兄さんがどんなヒーローか、変身してるの見たことないから分かんないけど、うさぎさん買ってくれたヒーローって覚えておくね」
👻「いや…俺は狼だ。うさぎで覚えんな」
「わかった。狼のヒーローね。…お兄さんちょっと怖いね」
🐙「そうなんですよ。このお兄さん全然笑わないし、声も低くて高圧的に感じますよね。」
👻「星導…っ!?お前いつ…」
そう星導の方を向くと、手には大きな狼のぬいぐるみを持っていた。
🐙「ねぇ、妹さんを大事にできる素敵なヒーローさん。このぬいぐるみを君にあげるので、狼のヒーローさんのこと、忘れないであげてください。普段俺らは君が住んでる場所と違う所でヒーローやってるので、沢山会うことはできないけど、君が望めば狼のヒーローさんはどこまでも助けに行きますから。顔は怖いですけど、この狼さん、いいヒーローなんですよ。」
そう言ってベンチに座る少年にぬいぐるみを渡す星導。少年は突然来た星導に驚きながらも両手いっぱいに狼のぬいぐるみを抱え、目を輝かせている。
「…ありがとう。僕狼のヒーローさんの事忘れないよ。絶対に」
👻「…そりゃあ良かった。
───あ、来たんじゃね?」
向こうからベビーカーを押した女性と、無駄にオドオドしている大学生と、明るい髪の巨人が迫ってくる。それを見た瞬間少年も走り出す。母親はぬいぐるみこど少年を抱きしめた。
「勝手に行ったら駄目でしょ!心配したのよ。…あら?このお人形はどうしたの?」
「どっちもヒーローがくれた。」
母親から困惑と感謝の視線を感じた俺は後ろを向き、親子に見つからないような場所に移動した。星導は俺に着いてきたようだ。
🐙「あのお母さん小柳君にお礼言いたげですけど?」
👻「だから逃げてきたんだよ。面と向かって感謝されんの苦手なんだよ」
🐙「反応に困るのは分からなくないですけど、ちゃんと人からの善意は受け取るべきですよ」
👻「…そうだな。でもまぁそういう役割はあいつらの方が向いてる」
そう言ってリト達の方を指差すと、星導は少し不服そうな顔をしながらも「…まぁそれも分かりますけど…」と相槌を打ってくれた。
🐙「あぁ、それとごめんなさい。あのぬいぐるみ、小柳君にあげようと思って買ってたんですけど、俺かっこいいヒーローすぎてあげちゃいました。」
👻「いや、あの場面で俺に渡してたら逆にキレてたわ。」
🐙「はぁ…小柳君にサプライズで渡したらどんな反応するか見てみたかったんですけどね〜」
👻「別にお前が期待してるような反応しねぇよ。…それに長時間待たせんな。俺はお前がいればそれでいい」
🐙「……からかいたいんですけど、思ったより食らってます…。嬉しいです。そう言って貰えて。」
星導に抱きしめられた。冷えきった体が恥ずかしさと星導の体温で熱を持っていくのが分かる。
🐙「…今度水族館行きましょう。タコのぬいぐるみ買ってあげますよ。」
👻「お前がそうしたいならいいけど、俺が好きなのはタコじゃなくてお前な?」
🐙「……何?w今日めっちゃ甘えてくれるじゃん」
今度は俺の方から星導をきつく抱き、彼の匂いを近くで感じる。
👻「慣れない子供の相手して疲れたから。お前にハグして…回復する…//」
おそらく俺の顔は真っ赤だ。星導に抱きついてるのをいい事に、顔を埋めて隠す。星導は黙って俺の頭を撫でてくる。
🐙「とっても素敵なヒーローでしたよ、小柳君。惚れ直しました。」
👻「ぬいぐるみありがとな。気持ちはちゃんと貰ったよ」
キスしたい。…けど、向こうからリト達が来るのが分かる。星導も察したようでそっと俺から離れ、手を繋がれる。
🌩「おい逃げんなよ〜俺なんにもしてないのにめっちゃお礼言われたんだぞ?」
🤝「そうだよ!リト君はまだお母さん安心させたり色々してたけど、僕なんて猫出して赤さんあやしてただけだぞ!!」
👻「充分色々してるだろw俺はいいんだよ。あぁやって表に立つのは東のヒーローさんの方が市民も安心するだろ」
🐙「もーみんな頑張ったんですから、そろそろお昼か、お茶でもしに行きませんか?」
星導に言われて気づいたが、時刻はもう少しで3時を回ろうとしていた。
🤝「あっ、じゃあちょっと待って!僕ちょっとお土産屋さん見たい!」
🌩「俺も見たいから着いてこ〜」
🐙「じゃあ小柳君〜もう少しイチャイチャしましょうか♡」
👻「外では…したくない」
🐙「……はぁ。もう帰っちゃいましょうか2人で。こんなに甘えたさんの小柳君を抱かない手なんてないですよね?沢山甘やかしてあげますよ。そのまま○○○して○○○○になるまで○○続けてあげ…」
🌩「ちょっとるべるべ!!止まれって!?」
外ではギリアウトな言葉をつらつらとぶつけられ、俺の顔は真っ赤になる。口を塞いでくれたリトに感謝し星導を罵倒する。
👻「まじで星導ふざけるなよっ…//俺がこの手で西まで送り返してやろうか💢」
🐙「えぇそんな…さっきまで甘々だったのになんでまたツンツンに戻っちゃうんですかぁ!?!あぁ…抱き潰すチャンスだったのに……」
🤝「多分るべ君のせいだと思うよ…?とりあえずお昼食べよ!ね!るべ君がお茶しにって言い出したんだしさ!お腹いっぱいになったら落ち着くよ!!」
今だぼやいている星導はリトテツに押されながら動物園を後にした。俺もその後をついて行く。
…俺だってお前に思いきり抱かれたいのを我慢してるだなんて、そう思っている事がバレないように、3人から少し離れて歩いた。
ここで前半切ります🙇後半はまぁ夜ですし強めのイチャイチャして欲しいのでRシーンあるかもしれないです。無いかもしれません。
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らぶとぅー………(遺言)