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今日も星に語りかける
『俺は、あの時の想いを叶えられていますか?』
出来ないなんて分かってる
叶えられてないことなんて知ってる
それでも希望を捨てたくなくて
俺は毎日星に願う
『あの時のあの人に、出会えますように。』
ふっと、思い出した顔
あの赤い星と、悲しい笑顔
『、、、会いたいなぁ』
小さい頃は身体が弱かった
ずーっと入院していて、学校も行かず、一人で本ばっかり読んでた
ある日、容態が急変して
俺は手術を受けて、大きな病院に転院した
二人一組の病室で相方になった男の子
また本ばっかり読んでる俺に話しかけてきた
「ねーねー、しりとりしよ?」
「お絵描きしよ?」
鳴り止まない声
正直、嫌ではなかった
友達なんて一人もいなかったから
あの子は、初めて出来た俺の「友達」だった
いろんな話をした
「翔太くんは何が好きなのー?」
『俺?、、、本』
「本!?かっこいーね!!」
「蓮はね、星を見るのが好き!」
『、、、星、』
「うん、星!」
「綺麗だし、わくわくするんだよ!」
「翔太くんも一緒に見よ!」
その日から、一緒に星を見るようになった
蓮は、いろんな星を教えてくれる
ちっとも外に出たがらなかった俺だけど
星を見るようになってから、一緒に外に出られるようになった
ベランダで上を見上げ、二人で話す
「あれはベテルギウス、あれはシリウス!」
『ベテルギウス、シリウス、、、』
「シリウスみたいな明るい白い星はね、生まれたばっかなの」
「でもベテルギウスみたいに赤いのは、もうすぐ死んじゃうんだって」
『寿命が違うってことか、、、』
『でも、蓮はシリウスみたいな存在だよな』
「いやいや、蓮はベテルギウスだよ」
『なんで?』
「だってもうすぐ蓮、星になっちゃうもん」
そう言って、悲しげな笑みを浮かべる蓮
その時は、その笑顔の、言葉の意味が分からなかった
そんなある日
ぱっと目が覚めると、病室は静かだった
『、、、蓮、?』
おそるおそる呼びかけてみるも、反応はない
違和感に首をかしげながら、いつものようにナースコールで看護師さんを呼ぶ
〔おはよう翔太くん、よく眠れた?〕
『おかげさまで、、、あの、』
『蓮は、どこに行ったんですか、、、?』
なぜかうつむき、悲しい顔になる看護師さん
その瞬間、全てを悟った
『そっか、、、蓮は、』
『蓮は、一生懸命闘って、星になったんですね、』
〔、、、そうね、〕
〔翔太くん、蓮くんは寂しがりやだから、〕
〔これからも、毎日お話ししてあげてね、〕
『、、、はい。』
一人になった病室
ふと、蓮の言葉を思い出した
「蓮はベテルギウスだよ」
『、、、じゃあ俺はシリウスになって、』
『ベテルギウスの分まで生きてやるよ、蓮』
あれから俺は毎日、
『蓮に、あの人に、会えますように、、、』
星に願っている
ベテルギウスと、シリウスに
今は会えないかもしれないけど
いつか絶対、また二人で肩を並べて、
星を見て笑いたい
その日まで、今日も
『、、、蓮、絶対会いに行くから』
俺は星に、願い続ける