注意事項1話参照
第2話「転生したと思ったら、両親がとんでもなかった件について。」
「アルフィー!目が覚めたのか?!」
そこにいたのは、長く綺麗な赤い髪と目をした美丈夫だった。
「…はい。」
おそらくアルフィーというのは俺が乗り移ってしまったこの体の名前だろう。愛称なのかはわからないけど…。
アルフィーさんには申し訳ないが、とりあえず記憶をなくしたとでも言って色々教えてもらった方がいいだろう。
「うっ」
なんだ?突然大きな何かに包み込まれた。
息が苦しくなり、呼吸場所を確保するため顔を上げる。
…どうやら美丈夫に抱きしめられているようだ。
「ああ!アルフィー、目が覚めてよかった…!」
そんなこと言われてしまうと、記憶がないなんて言いずらくなる。
きっと家族や大切な存在だったのだろうが、本当に俺はこの場所での記憶がないんだ。
「あ、の…記憶がなくて。」
記憶がなくなってしまっていると知った美丈夫は余程ショックだったようだ。
「あの…?」
固まってしまっている。
いつの間にか美丈夫の後ろに待機していたベテラン執事…のような人に視線を移す。それに気づいたのか、ほっほっほ、と目を細めて優しく笑った。
「セバスチャンとお呼びください。アルフィアス坊ちゃんは、何が知りたいのですかな?」
まず、この世界には5つの国があるらしい。
北に位置するアルメイル神聖国、東に位置するフレリアレス連邦国、南に位置するラミュドセリ大魔国、西に位置するエリシフトミリア共和国、中央に位置するガルメイア帝国
この屋敷が建っているのは、ラミュドセリ大魔国にある『迷いの森』という場所だそうで、どれだけ強い人間でも余程のことがない限りは近寄らないのだと。
大魔国というのもよく分からないが、なぜそんな危険な森に屋敷を建てたのか疑問に思っていると、それを察したのかセバスチャンさんは再び話し始めた。
「アルフィアス坊ちゃんの御父上であらせられる、ルベリオン・グレイリューク様…そちらにおられる旦那様は、世界に8人しか存在しないとされている長命種の竜人族でございます。」
「物騒な世の中でございますゆえ、他種族よりも珍しく魔力量の多い竜人族は狙われやすい…アルフィアス坊ちゃんが危険にさらされることを危惧した旦那様と奥様は、坊ちゃんがお生まれになるにあたって、人の寄りつかぬ迷いの森へ屋敷を建てたのです。」
「びじょ…父が竜人族ということは、母も竜人族なんですか?」
そもそも美丈夫が父親で、しかも竜人族?という種族らしいのも理解し難いのだが、奥様…つまり母親はどんな人なのかが気になるのだ。
セバスチャンさんは、いつの間にか意識を取り戻したらしい美丈夫…改め、未だ俺を抱きしめたままの父に目配せをし、頷いたのを確認した。
「…アルフィアス坊ちゃんのお母様であらせられる、ヒスリア・グレイリューク様は人間族、聖女でございます。しかし…聖女の契約魔法により、一般的な人間族よりも長く生きることができます。」
「聖女の…契約魔法?」
聖女…って契約とかすんの?てか、俺の両親って異種婚なの??なんて思っていると、頭上から声が聞こえてきた。
「そのことについては、私から話そう。」
「まず、通常の契約魔法というのは何らかの制約を課し、違反した際にペナルティを与えることのできる魔法だ。基本的には奴隷や商売契約などに使われる。ただし、聖女の契約魔法は特殊なものでな…聖女は光属性の魔法に特化しているため、他の魔法を使うとなると負担がかかり過ぎる。」
「精霊は高貴な存在とされており、通常の契約魔法では縛ることは出来ない。だが聖女は精霊に好かれやすい。故に精霊と契約し、魔力を共有することで負担を軽減、精霊の強い魔力が影響し契約したものの寿命が聖女の寿命になる。ヒスリアは強い魔力を持つ竜人族、私と契約した。よってヒスリアは一般的な人間族よりも長く生きられるのだ。」
next…
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