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アリーシェは1週間の休暇を取って、久しぶりに王都にある実家へと帰ってきた。
アリーシェが家のチャイムを鳴らせば、玄関のドアがゆっくりと開き、アリーシェの母親であるロミーナが出てくる。
「アリーシェ、待っていたわよ。おかえりなさい」
「うん、お母さん、ただいま」
家の中へ入り、母親の後に続いてリビングへと足を踏み入れたアリーシェは、リビングにあるソファーに腰を下ろして座っていた父親に歩み寄り声をかける。
「お父さん、ただいま。元気にしてた?」
「アリーシェ!? え、 いつ、帰って来たんだ?」
「もう、貴方ったら、ドアに背を向けて座っていたから、気付かなかったのよ」
二人とも元気そうでよかった。とアリーシェは思いながら、荷物を置く為、二階にある自分の部屋へと向かう為、両親に一言告げてから、リビングを後にする。
✧
二階にある自分の部屋の前へと辿り着いたアリーシェは、そっと部屋のドアを開けて部屋の中へと入る。
「私が家を出る前と何一つ変わってないわね」
アリーシェが家を出る前の部屋の状態と何一つ変わっていなかったことに、少し驚く。
部屋の中も定期的に掃除されているのが、綺麗である。
「お母さんが掃除してくれていたんだわ」
アリーシェは心の中で感謝しつつ、荷物を部屋に置く。そして、リビングへと戻る為、部屋を出た。
✧
その日の夜。
夕食を食べながら、アリーシェは王立騎士学校を卒業してからの事を話した。
「お母さんとお父さんが、王立騎士学校に通わせてくれて、辛いときも、苦しい時も支えてくれたから、今があるから、ありがとう」
「アリーシェ、貴方の努力があったからこそ、今があるのよ」
「お母さんの言う通りだ。しかし、自分の娘がティアナ王女殿下の騎士なんて、お父さん誇らしいぞ」
アリーシェの話しを両親は笑顔で聞いてくれる。
そんな当たり前のことが凄く幸せだなとアリーシェは感じた。
***
アリーシェが実家に帰って来てから、4日が経った日。
昼過ぎ頃にアリーシェの家のチャイムが鳴り、手が離せない母親の代わりに玄関のドアを開けると、幼なじみであるリドと妻であるリゼ。そしてリドとリゼの娘二人が立っていた。
「アリーシェが帰ってるって、俺の母親から聞いて来ちゃったよ。久しぶりだな、アリーシェ」
「すいません。連絡もなしにいきなり来てしまって」
「いえいえ、大丈夫ですよ。どうぞ、入ってください」
アリーシェはリドとリゼ。娘2人を家の中へと招き入れる。
リド達を連れて、リビングへと戻ると、アリーシェの母親と父親はリド達の姿を見て顔を綻ばせる。
「おばさん、お久しぶりです。母親から、アリーシェが帰って来たことを聞いたので、来ちゃいました」
「まあまあ、わざわざありがとう。アリーシェ、今日の夜、リドくんのお母さんにアリーシェが帰って来たことを電話で伝えたのよ」
「あ、そうだったんだ。なるほどね」
リドの奥さんであるリゼさんと話したのは、数える程度しかなかったが、王立騎士学校に入る前に、リドが好きであると伝えた後で、リゼさんとかなり話したことがきっかけで、今では、とても親密な関係である。
「リゼさん、直接は言えてなかったので。結婚おめでとうございます!」
「まあ、ありがとう。アリーシェちゃん」
リゼの嬉しそうな顔を見て、アリーシェは自然と顔が緩む。
そして、リドと結ばれたのが、リゼでよかったとアリーシェは心から思った。
✧
久しぶりにリドと顔を合わせ、リドの家族含めて話しをしたその日の夜。
アリーシェはベッドに寝転がりながら、サクヤのことが頭に浮かぶ。
「サクヤ王子殿下は、なんで私のことが好きなんだろう」
自分は凄い可愛い訳でもなければ、美人という訳でもない。容姿は至って普通である。
性格は良い方かもしれないが、それでもサクヤが何故、自分のことを好いてくれているのか、アリーシェにはわからなかった。
「今度、直接、本人に聞いてみようかしら」
きっと、直接、本人に聞けば答えてくれるだろう。
アリーシェはそんなことを思いながら、瞼をゆっくり閉じた。