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創作小説
桃×赤
戦争に関することを表現をしています。
苦手な方には非推奨です。
桃side
木の匂いに包まれた我が家
台所からは魚の匂いがする
今日は魚!?!と珍しい魚に驚きながら
嬉しさを抱え食卓の準備をする。
最近は寝落ちしていることが多く
何かあったのだろうかと心配していたけれど
俺の好物の魚をもらうため、という
なんともまぁ愛おしい理由だとわかり
大好きを噛み締める。
赤 「桃くんー!ご飯できたよ!」
桃 「はーい!」
桃 「うわおいしそ〜〜っ!!」
赤 「今日はいつもより頑張ったの!笑」
桃 「もーー赤大好き!」
勢いよく抱きついて
少し驚く彼
でもちゃーんと受け止めてくれるんだから
ほんとかわいいなぁ
赤 「わっ、ちょ」
赤 「びっくりした、笑」
桃 「ごめんごめん笑」
桃 「てかはやくたべよ!!」
赤 「うんっ!」
口に入れた瞬間
口いっぱいに美味しさが広がり
胸がいっぱいになる。
桃 「やばい、おいしすぎる」
桃 「いつもありがとね」
赤 「…うん、」
赤 「こちらこそっ!笑」
桃 「笑」
桃 「そんな暗い顔しないでよ笑」
赤 「…っしてないし、」
桃 「素直じゃないんだから〜笑」
赤 「だって、もう、あともうちょっとで…っ」
桃 「だいしょーぶ!」
桃 「俺は死なずに戻ってくるから!」
赤 「絶対だよ」
赤 「約束ね」
赤 「破ったら一生口聞かないから!」
桃 「破ったら俺死んでるからどっちにしろ無理だよ笑」
赤 「っっ、」
赤 「だからそういうこと言わないで、」
桃 「、うん」
桃 「ごめんね」
俺は3日後に出撃命令がでた
もう赤と食卓を囲えるのは数える程しかない
赤は今の世の中に少し不信感を抱いていて
死ぬのにおめでとうを言うのは嫌だ
と、俺に打ち明けてくれた
そのため二人のときはこうして自分の本音を話してくれている
俺が赤の立場でもきっとそうだろうな
赤に出撃命令なんて考えたくないけど
赤 「おやすみ!」
桃 「おやすみーー!」
明かりを消して
暗闇の中、目を瞑る
死ぬことを想像すると
やっぱり少し怖い
赤の方に体を向けて
彼の寝顔を見る
ああ、愛おしいな
こんなに大好きなのに
離れなきゃいけないんだ
と、蓋をしていた気持ちが溢れてきて
つい泣きそうになる
もう彼と寝るのも今日をいれて3回しかない
この時間を噛み締めよう
桃 「おやすみ、赤」
と起こさないように小さく呟き
目を閉じた
が、すぐに起こされる
うるさい煩わしい警報
夜中にきてしまった
はやく防空壕に行かないと、
赤起きて、と言おうとしたが
隣を見ると警報の音で起きたのか
赤はもう体を起こしていた
桃 「行こう」
家から少し遠い防空壕
焦りを含みながら手を繋いで全力で走る
なんだかいつもと違った
火の回りが早い
空にいる機体の数も多い
真っ赤な景色が広がって
さらに急ぐ
何かあったら赤は守ろう
そのためだったら死んでもいい
さっきまであんなに死ぬことを恐れていたのに
今はただひたすらに
赤を失うことが怖かった。
建物の倒壊が始まり
辺りは火の海になる
本来行くはずの道は
燃えている建物で塞がれ通れない
赤 「桃、くん….、」
繋がっている手から震えを感じる
怖いよね、赤は俺が守るから大丈夫だよ
と口に出したら怒られてしまいそうなので
桃 「大丈夫、もうちょっとだから」
と嘘を吐く
頭の良い赤はこの嘘をきっと見抜いていたが
何も言わずにいてくれた。
桃 「っ、赤!!!!!」
赤 「え、」
桃 「、っっ…」
倒壊した家の下敷きになる
肺を圧迫されて苦しい
火はすぐそこまで迫っている
赤 「え、うそでしょ、桃くん」
赤 「なん、で、俺を庇って、?」
赤 「いや、いやだよ桃くん」
赤 「なんで、いや、いやだ」
俺の心を読んでいるかのように
逃げてという心の叫びにいやだと答える赤
桃 「にげて」
赤 「嫌だ」
桃 「にげて、おねがいだから」
赤 「嫌だって、」
桃 「にげて、赤」
赤 「嫌だ、っっ、!!!」
赤 「やだ、桃くん、死なないで…っ、」
赤 「この世界で独りは、っ」
赤 「耐えられないよ、っ…」
赤 「桃くんが死ぬなら」
赤 「俺もここで死ぬ」
桃 「やめて」
桃 「はやくにげて」
桃 「っ、ごほっ、げほっ、」
桃 「っ”、ぁ”、」
我慢していた痛みが声となってでてくる
その声を聞いた赤は余計
ここに留まろうとする
桃 「おねがい、赤」
桃 「俺はただ、っ”、」
桃 「赤に生きていてほしいの…、っ」
血の混じった咳をして
自分の最期が迫ってきているのを感じる
赤 「俺だって、っ」
赤 「桃くんに生きてほしいの、っ」
桃 「、また、会えるでしょ」
桃 「絶対また会えるからっ、笑」
赤 「っっ、!」
赤 「約束ね」
赤 「破っても絶対会うから」
桃 「俺が破るわけないでしょ?笑」
桃 「ほら、行って」
赤 「っっ、」
赤 「絶対会うからっ!!!!」
赤 「またね、桃くん、っ…!!!」
桃 「っ、うん」
桃 「またね、っ笑」
走り出した彼に安堵して
力が抜ける
一酸化炭素を吸ったのか
頭に酸素が回らなくなってくる
俺の体的にも、君との距離的にも
これがきっと最期の言葉
桃 「愛してるっ!!!!」
赤 「っっ、」
赤 「赤も、っ愛してる…っ!!」
振り返ってしまった彼に
はやく前向いてと手で示す
でも、安心してくれるように
必死に笑った
その笑顔にまた泣きそうになった赤を最後に
俺の意識は途絶えた
コメント
3件
いや、めっちゃ好みなんですけど! 桃くんは当たり前のように男前すぎます!!✨ また来世でも2人は仲良くしているといいですね!😭
もう泣いちゃう( ;꒳; )