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コメント
1件
六駆くん、今回も最高でした!4番さんとの一騎打ち、特に最後の『柄流』には鳥肌が立ちました。武器を投げるって発想、逆神流らしいトリッキーさですね。そして何より、戦いが終わった直後に「300万円ゲット!」と大喜びする六駆くんの切り替えの速さに笑ってしまいました。莉子ちゃんとのやり取りもほっこり。激しいバトルとコミカルな日常の緩急が絶妙で、読み応えがありました。次回も楽しみにしています!
4番グレオ・エロニエルは、煌気剣『グラム』の刀身を伸ばした。
ここまで頑なに遠距離での攻撃に徹底していた4番の、まさに奇策であった。
「うわっ! ズルい!! あなた、近距離でもイケるんじゃないですか!!」
「ははあっ! 剣を使う以上、どんな距離でも対応できなきゃなァ!! 剣士は名乗れねぇぜ!!」
『竜翼』で直線的な加速飛行をしている六駆は、4番の攻撃を躱す余裕がない。
彼も『龍剣』を構える。
「くたばれ、逆神ぃ!! どぉぉぉらぁぁぁ!! 『グランドブレイク』!!」
「これは強烈! ふぅぅぅんっ!! 古龍一刀流!! 『帝竜一文字斬り』!!」
2人の煌気刀が光る。轟く。煌気がうねりを上げる。
その衝撃波は凄まじく、辛うじて存在しているデスターの司令官室を痛めつけた。
「ちぃっ! まさかオレの方がやや打ち負けるとは……! ああん!?」
「やぁぁぁぁっ!! 『苺光閃』!!」
六駆の指示通り、彼の背中に向けて放たれた苺色の熱線。
激しい剣技の伯仲を終えた直後である。
4番の両手は痺れており動作がやや遅れる。
「がぁぁぁっ!! 考えやがったなァ!! だがぁ!! うおぉぉぉらぁぁぁ!!」
4番は煌気盾『ヒルドル』を発現して、力なくうな垂れる自分の腕を膝で蹴り上げた。
ゴキッと言う耳障りな音は、恐らく彼の骨が折れた事が原因かと思われた。
「喰らい尽くせ! 『ヒルドル』!! はっはあ! てめぇの作戦は読めたぜ、逆神!! 『ヒルドル』のキャパオーバー狙いだな!? だが!! この盾に呑み込めねぇ煌気はないんだよなァ!!」
4番の推測は当たっていた。
六駆は、自分の攻撃を囮にして、莉子の『苺光閃』をフィニッシュブローに選んだのだ。
「生かして捕らえよ」との指示が出ているため、かなり出力を弱くした『苺光閃』だが、それでもまさか防ぎ切られるとは六駆の想定を超えていた。
「すごいや! 4番さん、今からでもこっちに寝返りませんか? 南雲さんのポジション奪えますよ!!」
「悪ぃが、オレも拾ってもらったアトミルカに愛着と恩義を感じてるんでなァ! 日本じゃ、御恩と奉公とか言うんだろ!?」
「えっ!? 多分、そんな日本語はありませんよ!!」
いいえ。あります。
一連の攻撃は終わったかのように想えたが、そうではなかった。
逆神六駆は6つの異世界を独りで救い、千のスキルを携えて、今や日本探索員協会の鋭い切っ先として戦う男。
1つ目の策をしくじれば、2つ目の策へ。
2つ目の策が不発に終われば、当然。
3つ目の策に移行するだけである。
「ふぅぅぅぅぅんっ!! 古龍無刀流!! 『絶龍・柄流れ』!! そぉぉぉぉぉい!!!」
「なっ!? おま、マジかよ!! 武器をぶん投げるだとぉ!? ぐあぁぁっ、おぉぉぉぉっ!! く、ぐっは……」
逆神無刀流は、逆神大吾が考案した「どうしようもなくなった時の剣技」である。
煌気が枯渇したり、武器に破損が発生した等の「剣技が放てない状態」になった時に、煌気をたっぷり込めて武器を投げつけるスキル。
この無刀流『柄流れ』の神髄は、「煌気の込められたスキル攻撃」であると同時に「具現化した武器を投げつける物理攻撃」でもあるところにある。
特に、逆神流のスキルは肉体強化をするものも多くあるため、煌気によってフィジカルが増大した状態での投擲攻撃はそれだけでも必殺の威力を持つ。
「マジかよ。強ぇな、逆神。こいつぁ、オレの完敗、か……」
「いえいえ! あなたも相当強かったですよ! エロニエルさん!! 多分、向こう10年は忘れないと思います!!」
4番グレオ・エロニエルは強かった。
だが、逆神六駆はもっと強い。
「六駆くん! やったぁ! これでご褒美の300万円ゲットだよぉ!!」
「う、うひょー!! ありがとうございます! ええと、エロの何とかさん!! うひょー!!」
激闘の記憶は、逆神六駆の歴史でもある。
彼は、数多の歴史を積み上げて今の強さに到達した。
そして、現在はその記憶と歴史を「お金貰える!」と言う事実で塗りつぶし続けていた。
デスターでの戦いは、これにて終結することと相成ったのである。
◆◇◆◇◆◇◆◇
六駆は南雲と加賀美の救出と治療を莉子たちに任せて、4番の元へと歩み寄る。
彼は既に意識を失っていたが、六駆は油断しない。
彼の脳裏には3番の存在があった。
「もしかすると、倒れたり煌気の放出がなくなった時点で緊急脱出装置みたいなものが発動するかもしれない!」と警戒をしていた。
かつてないほどの慎重さを見せる六駆。
戦後処理など普段はまったくやらない癖に、300万の幻影は彼に足りなかった、もっと言えば失われていた警戒心を蘇らせていた。
「ふぅぅぅんっ! 『完全監獄・二重』!! 遠隔発現!!」
彼はまず、何を置いても4番の身柄を確保した。
煌気を完璧に遮断する『完全監獄』を二重で発動させる盤石の構え。
これならば、彼に3番のイドクロア加工物が仕込んであっても大事な銭の種を取り逃がす事は万に一つもないと言えるだろう。
「南雲さん、南雲さん! 4番さんの身柄を確保しましたよ!!」
「ああ……そう……。君はなんだか元気そうだね」
「いやぁ! 今回は裏方に回っていましたからね! 最後に思い切り戦えたし、なんだかいっぱいお金も稼げましたし!! すごく気分が良いですね!!」
「私はなんだか、とても疲れたなぁ……」
ちょっとげっそりとした南雲修一だったが、彼はしっかりと仕事をこなす。
司令官としてはむしろ、ここからが本番まである。
アトミルカの情報を得る機会など、早々恵まれるものではない。
軍事拠点デスターを急襲した事によって、この司令官室には各国の探索員協会が欲してやまなかった多くの資料が存在している。
まさに急襲による産物。
もちろん、機密性の高い情報を破棄、もしくは隠匿する時間がわずかにあったため、アトミルカの全容解明まではいかないだろう。
それでも、これは大きな前進であった。
「ふぅぅぅぅんっ!! 『連結・門』!! 南雲さん! 協会本部との門を構築しました!」
「逆神くん、君、間違いなくお金のドーピングで賢い逆神くんになってるな? 私が何も言っていないのに、何と言う的確な動きだろう」
それから、協会本部より楠木秀秋監察官および、五楼京華上級監察官が門をくぐって異世界キュロドスの地を踏んだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ご苦労だった、逆神。逆神流に感謝をするのは個人的には凄まじい抵抗があるものの、この成果は認めざるを得ん。今回の作戦の戦功は大とする。報酬は後日、まとめて支払うのでその時を待て」
「う、うひょー!! ああ! どうしよう!! 僕、今日からちゃんと寝られるかな!! ダメだ、もう興奮して来た!! ちょっとそこで『大竜砲』撃って良いですか!?」
「良いことあるか。痴れ者が。お前はその辺で小坂と喋っていろ」
五楼は六駆の世話を莉子に押し付けて、デスターの司令官室を保全する。
なお、情緒不安定になった六駆を押し付けられた莉子はとても幸せそうだったと言う。
「さて。では、オペレーターたちも現場に入れて、色々とサルベージして行くぞ。山根、日引、福田。お前たちは機器の方を任せる。楠木殿と南雲は私と共に部屋を捜索する。では、総員。取り掛かるぞ」
五楼京華の指揮のもと、アトミルカの重要拠点の一斉調査が開始された。
「あっ! これ、4番さんの腕時計かな!? よし! 貰っておこう!!」
「もぉー。ダメだよぉ、六駆くん! ちゃんと南雲さんか五楼さんに、貰いますねって言ってからじゃないとー!」
早速腕時計をゲットした六駆。
彼の中では「戦場の落とし物は早い者勝ち」と言うルールが存在する。
五楼は、作業のスピードアップを余儀なくされるのだった。