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🐢🌸
前回の話とは繋がっていません 🙇🏻♀️”
31日の過ごし方、一緒におせち作ったり、年越しそば食べたり、 妄想です。
おせちの作り方は完全に我が家流になるので、多分世のおせちとは異なります😖
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机の上にお重箱が2つ。押し入れから取り出したそれは少しホコリを被っていた。1年ぶりに取り出したので当たり前ではあるが。
近くに置いていた布巾で乾拭きをしてやれば、金の装飾が本来の輝きを取り戻し、ライトと反射してキラキラする。
「 さくらぁ、唐揚げの味見しなぁい? 」
台所から誘惑の一声。唐揚げ、昨日の夜から下味をつけている時点でいい香りをさせていたそれはきっと美味しいに違いない。
「 今行く 」
短く返事をし、素早く台所に行けば、ぱちぱちと音を鳴らしている鍋の前にたっている十亀がいた。
「 相変わらずご飯のこととなると早いねぇ 」
くすくすと笑う十亀に、少し顔が赤くなるが、ふわりと香ったにんにく醤油のいい香りに、すぐに興味が持っていかれる。
「 ふふっ、はいこれぇ、2度揚げ終わったやつ。暑いから気をつけてねぇ 」
十亀の手には唐揚げが山のように盛られた大皿。綺麗なきつね色で、油によってテカテカとしているそれにヨダレが溢れて止まらない。
1番上に手を伸ばせば、まだ揚げて間がないのかじんわりとくる暑さがあった。ふーふーして噛み付けば、じゅわっと溢れ出してくる肉汁と、にんにく醤油のガッツリとした味が口に広がる。
「 んっ! 美味い! 」
「 口にあって良かったぁ 」
ぱぁっと表情が明るくなる桜に思わず頬が緩む。もう1個と手を伸ばす桜の手をやんわりと止めれば、なんでと言わんばかりにきょとんとした顔で首を傾げる。
「 ダメだよ桜ぁ、これは味見なんだからぁ。これ以上はだめぇ 」
皿を取り上げれば、もっと食べたかった桜は顔をむーっとさせる。そして十亀の来ているエプロンを控えめに引っ張り、目を見つめてこてんと首を傾ける。
「 なぁとがめ… だめか? 」
甘く甘く強請る声。庇護欲と加虐心と、色々と湧き上がってきて背中からゾワッとした感覚がする。
「 …ははっ、そんなに可愛い顔してもだぁめ 」
だが、甘く強請る声が効かなくなったのは桜だけではない。十亀も同じく、成長はするものだ。
「 ちぇっ… 」
唇をとんがらせて、わざとらしく不機嫌であることをありありとさせている。
「 桜もだいぶ図々しくなったよねぇ、最初の頃の初々しさはどこいっちゃったのかなぁ? 」
「 誰かさんのせいでな、こんなオレは嫌いか? 」
「 まさかぁ、わかってるくせにぃ 」
期待のこもった目でわざとずっととがらせてある唇にそっとキスを落とす。
「 大好きに決まってるじゃん 」
唐揚げを揚げ終えて、油を片付けている十亀の横で、茹でる予定の生エビに串を指す。えびの腰が曲がらないように、1本1本丁寧にまっすぐ竹串を刺してやる。
一通り刺し終わったところで、唐揚げを揚げる鍋の横で沸騰させてある鍋にざらっと入れ込む。お湯に触れたえびは瞬く間に綺麗な赤色へと変わっていった。この瞬間はいつ見ても綺麗だと思う。
「 鍋通る、気をつけろ 」
「 はぁい、そっちこそ気をつけてねぇ 」
見蕩れるあまりに長く茹ですぎてしまっては身がスカスカになるため、1、2分たったところで、鍋を流しまで持って行って水道から水を出してお湯と一緒に流す。それでも流しは暑くなるもので、ボコっと音をならして膨張する。
湯がある程度流れたところで用意していたざるに、がさっとえびを入れる。あとは余熱で火が通るように水で冷やすことはせず、そのまま放置する。その間に溜まった邪魔な洗い物を片付けることにした。
桜がえびの準備をしている間に、油の処理が終わった十亀はまな板と包丁を持ってリビングの机に向かっていた。テーブルには桜が持ってきたお重箱が2つ。まず片方のお重箱を解体し、何をどのように詰めるか頭で大体のレイアウトを考える。
ある程度思いついたあと、お重箱に詰める予定の黒豆や栗きんとんを冷蔵庫に取りに行く。また、おせちの大半を食べない桜用にハムやゆで卵も取り出す。実は先程の唐揚げもおせちを食べない桜のために用意されたものだったりする。
まずは重ためのものをお重箱の下に詰め込む。ものでいえば、量のある唐揚げやえびがそれに当たる。唐揚げは無造作に詰め込んでいき、えびはしっぽ合わせになるように右左交互に詰めていく。
次は中段、中段は下に比べて軽く、またよく取られるものを詰めていく。ものでいえば、ハムやかまぼこである。ただ、ハムはこのまま塊で入れる訳にはいかないし、かまぼこも板のまま入れる訳にはいかない。
そこで使うのがさっき用意したまな板と包丁だ。まずはかまぼこを板から外し、端を少しだけ切り落としてから、3~5ミリの間で切っていく。次にハム、ハムも同じように端を薄く切り落として、5ミリ幅ぐらいに切っていく。
「 十亀、エビ終わった 」
本当にタイミングを測ったんじゃないかと思うタイミングで桜が皿にえびを積んだ桜がやってきた。
「 いらっしゃい桜ぁ、タイミングいいねぇ 」
「 タイミングいいってなんだよ 」
「 いいからぁ、口あーんして? 」
訝しむような顔をしながらも大人しく口を開く桜に、信用の証なのか危機感のなさなのかを考えながらも、切り落としたハムの端を口の中に放り込む。
「 むぐっ、 …んっ、美味いなこれ 」
「 ハムだからねぇ、端っこの余り、おせち作り手伝ってくれた桜への特別ご褒美だよぉ 」
昔、十亀の祖父も同じようにおせち作りを手伝う十亀の口に余り物を突っ込むことがよくあった。手伝う子へのご褒美と言って。
もぐもぐと静かに、しかし嬉しそうに咀嚼する桜に心がほっこりする。きっと十亀にものをやる祖父もこんな気持ちだったんだろうなと思いながら、同時に懐かしさに浸る。
そんなこんなであーでもないこーでもないと2人でバランスや彩りを考えながらお重箱を彩っていく。2人とも納得いく形になった時にはもう太陽は沈みかけ、空が赤く染められていた。
「 もうこんな時間かぁ… ねぇ桜、お腹すいたぁ? 」
「 ん、結構空いた 」
「 だよねぇ、オレも 」
いくらおせちを余りの処理… 言い方を変えればつまみ食いをしていると言っても、まだまだ食べ盛りな男たちには微々たるもので、逆に食欲をわかせるほどのものだった。
「 ちょっと早いかもだけどぉ、年越しそば食べちゃう?あとせっかくだから、多めに作った唐揚げで1杯やらない? 」
「 いいなそれ、よしのった 」
すきっ腹に酒は悪酔いするだけなことはよく知っているため、まずは蕎麦で腹を満たしてから1杯やることにしよう。
「 じゃあオレはお蕎麦茹でてくるからぁ、桜はこたつのセッティングよろしくねぇ 」
それだけを残すと十亀は颯爽とキッチンへと消えていった。
リビングにはダイニングテーブルとは別にテレビの前にセットされている小さなこたつ机がある。こたつにはもう布団はかけられている。ではこたつのセッティングとはなんだと言うと、こたつの電源を入れたり、テーブルを拭いたり、みかんを乗せたりすることだ。
そんなセッティング作業も早くに終わり、温もりつつあるこたつでぬくぬくうとうとしていると、十亀が片手にほかほかと湯気をあげる唐揚げの乗った皿、もう片手に缶チューハイを数本持ってやってきた。
「 セッティングありがとうねぇ桜ぁ。お蕎麦はもう少しで茹で終わるからちょっと待ってねぇ 」
ことんと両手にあるものをテーブルの上に置いて、桜の頭をゆるりと撫でる。ごわごわゴツゴツとした皮の厚い手。それに似合わないぐらい優しい撫で方。恥ずかしくて少し下を向いてはしまうが決して嫌いではない。むしろ好き。
キッチンへ戻るために離れてしまうその手に寂しさを覚え、じっと見つめれば、すぐ帰ってくるからとゆるりとした笑顔で言われる。まさか顔に出ているとは思わず、少し赤面したのはすぐに背中を向けた十亀にはバレなかった。
すぐ帰ってきた十亀の両手には宣言通りに蕎麦の入った丼があった。ことんとテーブルに置かれた丼には蕎麦だけではなく、小さなかき揚げとえび天が乗っていた。
それに目をキラキラと輝かせる桜に、思わず笑みがこぼれる。
「 それじゃあ、麺が伸びちゃう前に食べよっかぁ 」
桜の隣に腰掛けながら放たれた言葉を合図に自然と2人が手を合わせる。そのまま2人でいただきますを言って一斉に箸を持つ。
初めこそ、交差箸で上手く扱えていなかった桜の箸使いも、十亀と食事を共にする間に少しずつ良くなっていき、今では器用にしっかり扱えている。
適当につけたテレビでは紅白歌合戦がやっており、流行りの曲と昔の曲が交互にながれる。
「 なんか十亀って演歌とか好きそうだよな 」
いきなり言われたことに少しドキッとする。
「 えっ、いやっ嫌いじゃないけどぉ… なんでぇ? 」
「 ゆっくりだから 」
「 あぁ… そういうこと… 」
ジジくさいからとか感性が古いからとか言われるのかと思って少しびっくりしたのはここだけの話。
そんなたわいもない話をしていれば、1把分の蕎麦なんてすぐ食べきってしまう。腹八分目ぐらいになったところで、目の前の缶チューハイへと手を伸ばし、そのままカシュッと蓋を開ける。シュワシュワパチパチと中から炭酸が弾ける音と、甘い香りが鼻をかすめる。缶を持ち上げて、桜の方に向ければ、桜も同じように缶チューハイを開け、合わせるように缶を持つ。
「 それじゃあ、1年お疲れ様ぁ。乾杯 」
「 おう、乾杯 」
カンッと軽くも重い音がなる。
そのままの勢いで煽れば、ジュースのような甘い味が口の中に広がる。度数は9%と少し高めではあるが、比較的には飲みやすい方だと思う。だからこそ飲み過ぎないように注意が必要になるが。
同じく酒を煽る桜は既に顔に赤みが刺しており、少しだけぽわぽわしている様子だった。
「 さくらぁ、あーん 」
自分の箸で唐揚げをつまみ上げ、桜の口元に持っていけば、缶から口を離しあーんと口を開ける。
そのまま口の中に放り込めばもちゅもちゅと咀嚼する。噛めば噛むほど笑みが深まっていく桜に、こちらもまた笑みが深まる。今度は自分も、と唐揚げを1つ2つと口に運んでいれば、隣からつつかれる腕。目を向ければあっと口を開いて待機している桜の姿。おそらく次の唐揚げを入れろということなのだろうが、十亀も酔いが回っていたのか、それともそれを言い訳としたわざとなのか、桜の頬を掴み口をつける。
違う、と離れようとする桜の腰を掴み、空いている口に舌をねじ込む。
「 ん゛ーー!! っは、 とぁ… ちがっ…! 」
「 んー、 ねぇさくらぁ、男の前で無防備に口開けたらだめなんだよぉ? 」
今にも溶けそうな瞳をどろりとした熱を持つ瞳で見つめる。 明らかに欲を含んでいる瞳に桜の背中が粟立つ。
後退もうとしても腰をガッツリ掴まれているため逃げられない。
「 ねぇ、さくらぁ 」
どろりとした瞳をゆるりと細める。
「 姫始めって知ってるぅ? 」
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明けましておめでとうございます。
ギリ31日のうちに投稿しようと思いましたが、初詣に引きずられたため書ききれませんでした…
皆さん大晦日はいかがお過ごしになられましたか?? 私はこの作品の通りです。おせち作って終わりました。今までは祖父が作っていましたが、去年から代替わりしました。端を食べるのは祖父の入れ知恵です😊
最後、姫始めまで持っていきたくて無理やり書きました。姫始めはいつか気が向いた時に書きます。
皆さんにとって良い一年になることを願っています。
それではありがとうございました🙇🏻♀️”
(2026/01/01 01:09:46)
約4500字
コメント
5件
やばいやばい ご飯作る時の表現ぱない 姫初め見たすぎるんだが⁉️ お願いですから投稿してくださぃ…。
あけおめ!🎍🌅今年もよろしく 🤝🏻❕ 甘い!!おせちの後に食べる練り切りより甘い ‼️🫶🏻🫶🏻 今年初めてのかめさくがシグの作品で良かったです 👍🏻 今年はおせちではなく海鮮丼食べました致死量のサーモンに溺れた ✌🏻 今年まだ父親が帰ってないから日にちずらして父親がいる日に改めて蟹で溺れます 🤤✨️
今年の目標は後輩とコスプレすることです。🙄