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お久しぶりです! 最新作のネタがないだとかほざいてた癖に、前作の番外編書く前に最新作を投稿してしまいます……、お許しを😫😫😫😫😫😫😫😫
多分前中後の3話くらいで完結するのですぐ終わると思います。
最初のへんはRシーン1個もなくて、主人公の母親その他もろもろ人間に対する激重感情を綴っただけの愚痴みたいな物語なので、面白くないと思いますが、是非見てってください🙇♀️🙇♀️
癖が作者とあう人なら好きだと…おもいま……。
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「全部お前のせいだ」
幼き俺が見ていた父親の口癖。自分で考えて行動することが出来ない、考えても行動に移すことが出来ない。だからこの世の不都合は全て誰かのせい、自分は関係ないんだと、そうやっていつも考えている父親。
そうやって不都合を切り抜けてきた父親が、子供という不都合の塊を作った。俺が産まれることは誰からも望まれていなかった。
毎日毎日聞こえる母親の泣き声、コップや皿が割れて、棚に頭をぶつける音が聞こえる。母親が泣きじゃくり、面倒くさくなると父親は夜の街へ出かけた。父親はジャラジャラのネックレスでゴツゴツのピアス、よくスタイルが変わる金色の髪で、多分、チャラかった。たくさん母親以外の女性と枕を交わしているんだろう。父親が出かけると母親は何もなかったように俺の部屋に来て俺が寝ているのかを確認する。最初は俺も何もないと思ってたよ、でも大きくなるにつれ母親の頬の怪我が濃くなるから気づいてた。気づいても、俺は何も出来ない、ただ母親の泣き声を自分の部屋で聞くことしか。幼き子供ながらにして思った、俺の居場所はここではなかったんだって。
俺の周りの人間は俺の事を気味悪がった。ボサボサの長い髪、しわくちゃでシミがついてる服、棒のように細い足。ぼろぼろな家に住んでるとバレたあの日は、唯一俺と話してくれた女の子も俺を無視するようになった。
ゴミみたいな生活、ゴミみたいな親。俺の人生ってなんなんだ。答えの出ない問いに答えてくれる希望の光は、存在しないものだった。
父親の宛もない暴力の矛先が、母親から俺に変わったのはすぐだった。
高学年になって俺は不登校になった。家庭環境は以前に増してクソになった。夜業に出るようになった母親に変わって俺が暴力を受ける。子供だろうが女だろうが手を出す父親だが、自分より地位の高い男を殴ることは無かった。クズでカスで、どうしようもない人間だ。今考えると虫唾が走るどころか、可哀想に思えてくるほどだった。
あの夜、母親は帰ってこなかった。電話にも出ない、メールにも反応しない。梅雨でジメジメしていた。雨が降っているから湿気が多くて、ベタベタで。 父親の鬱憤は水溜まりのように心に溜まっていきついに溢れ出した。
あの日俺は、父親に全てを奪われた。
忘れもしないあの感覚。激しい不快感と、とてつもない圧迫感。異物が直腸を刺激する度に激しい吐き気を催した。辺りを漂う不愉快な空気が俺の体にぴったりと密着し、動くことは不可能だった。それでも必死に抵抗した。なのに父親は俺の声に聞く耳すら持たなかった。こんなレイプじみた事を母親にしていたのを考えると気色が悪くて仕方がない。
あの日から母親は家に帰ってくることは無く、俺への行為は酷くなっていく一方だった。
父親がパチンコで負けたり、仕事が嫌なことがあると行為はいっそうひどいものになる。吐くと酷く罵られる、勝手に声を出すと首を絞められる、少しでも拒むと殴られた。そんな愛のない一方的な行為の中で一度も気持ちよかったと感じることはなかった。
そんな生活が続くと俺は飯が喉を通らなくなり、水を飲むと体が拒絶しているのか吐いてしまうようになった。それでも父親はかまわず俺の事を殴るし、吐いたり嗚咽を漏らしたりすると気色悪いと言ってさっさの出かけてしまう。
やられては吐いて、悪夢を見てろくにも寝れず、水を飲むと拒絶反応を起こす。そんな異変に気づいても父親が医者に俺を連れていくなんてことはありえないので放置されていた。
夏が始まったばかりの日だった。多分中一の。
暇で暇で、でも特にやりたいこともなかったから毎日考え事をしている日々だった。俺の家は住宅街に囲まれていて、子供も比較的多かったけど、その日は平日で子供は皆学校に行っていたから静かだった。窓を開けて空を眺めていた。壊れかけの扇風機が汚れたカーテンを踊らせながら風を孕み、ぶわっと部屋の中に入ってくる。風が心地よくて寝転んだ。
まだ俺が小さい頃の記憶がふと頭に浮かぶ。父親が仕事で家にいない日曜日は、窓を全部開けて母親とよく大の字になって寝ていた。二人きりで、することもないからたくさん絵本を持ってくると読み聞かせしてくれた。母親は父親のせいで弱ってしまったけど根は明るくて素直で、素敵な女性で、素敵な母親だった。
今、母親は何をしているのだろうか。夜業をしてでていったけど、きっとたくさんお金を貰って、幸せに生きてるんだろうな。幸せの形なんてないんだ、人それぞれ違うから普通なんてない。だからいいんだよ、俺には母さんしかいなかったけど、母さんは母さんの大切な人をいっぱい見つけて、幸せになって欲しい。
でも、でも、あの時の俺は一緒にいたかったよ。なんで俺を置いていったの?俺の事嫌いになった?俺の事もう嫌だった? 助けられなかったから怒ったの?
もし母さんに会えたら「ごめん」って言いたい。あの時助けられなくてごめん、母さんひとりに全部背負わせてごめん、気づいてあげられなくてごめん…。でも多分あの人はごめんより、ありがとうって言ってほしいんだろうなぁ。そういう人だから。でももう変わってるのかもしれない。もう今の母さんは俺の知ってる優しくて大胆な母さんではないのかもしれない。
もうあの母さんはどこを探していないし、きっと俺の隣にいてはくれない。ずっと分かってたよ、でも分からないふりをしていたかった。母さんはちゃんと帰ってくるって、思ってたんだ。思いたかったんだ。
ごめん、ごめんね母さん。俺もう独りぽっち。父さんとも仲良くなれそうになれないや。
四畳半の狭い部屋に一人。おれ、これからどうすればいいの?誰も頼れない、誰も信じられない、そんな人間になっちゃったよ。
「 …… かあさぁ゛ん … 」
呼んでも答えは無い。風も気づくとピタリと止んでいて、暑苦しい部屋にすすり泣く声が聞こえるだけ。涙の線がつーっと頬を流れて雫になった。畳にその雫が染み込んだ。ひんやりと冷たい畳に体を密着させて目を瞑る。
…… あー…… 、意識が遠のく…。
暑さのせいかぼーっとする。暑いのに冷たくて、心地よい。目を擦ると細くなってとろーんとする。なんだか寝てしまいそうだ 、……。
都合の良い夢を見るんだ。俺は普通に家で普通に育てられて、優しい母さんと優しい父さんがいて、ずっと一緒に過ごすんだ。そんな、傲慢な夢を。
これが本当に夢なら、ずっとずっと覚めないで欲しい。幸せなのは夢の中の妄想だけでいいから、
それだけで、いいから。
ばたばたと忙しい足音で目が覚めた。あれ…、おかしいな。家には俺しかいないはずなのに。目をあけると光が目に飛び込んで反射的に目を瞑ってしまった。ゆっくりとまぶたを持ち上げると、視界いっぱいに知らないお姉さんがいた。白衣を着た、まるでお医者さんみたいな。
「…… まし …… よ、 …さん」
ん?耳が籠っていてよく聞こえない。この人は何を言っているんだ?
虚ろな目で顔にはてなを浮かべていると、隣からすごい大きな足音が近づいていた。俺が目覚めたのはこの足音だと直感的に感じる。サンダルを踏みつけるようなペタペタという間抜けな音がどんどんと近づいてくる。なんとなくそちらに目線を変えた。
もう少し開いていたドアがガラガラっ!と勢いよく開いて、ペタペタと鳴らす間抜けな足音が俺の前まで来た。沢山寝ていたからか、首が痛くて上を見あげることは出来なかった。目だけ上をむこうにも首までしか見えない。なんだか見覚えのあるシャツだ。走ってきたのか首筋からは汗が流れていた。誰かわからず、寝て起きたばっかりだったのもあってぼーっとしている俺の横で、小さな、まるでネズミのようなはっ、はっという息遣いが聞こえる。
その息遣いが赤子が泣くような声に変わった時、その人は俺に抱きついてきた。
「ごめん 、ごめん 、だめな親父でごめん、 そうま 、ごめん ……」
そうま、俺の名前だった。なんだか久しぶりに聞いた気がする。ごめん、ただそれだけを繰り返して言うその人は、父親だった。これは本当に父親なのか?なんで泣いてるんだ?今起きている状況と、俺が見ている光景が信じられない。
父親は俺のために泣ける人じゃない。それどころか人間のために涙を流す人じゃない。 唖然としたまま、父親を上から眺めていると さっきの女性が
「すいません……、お父様でしょうか?少しあちらでお話を…。」
と気まずそうに声をかけ、父親が「はい、すいません、すぐいきます」と発して女性と一緒に部屋を出ていった。
あとから看護師さんに聞いた話だ。俺は寝ている間に熱中症になっていたらしく、大家さんが心配して扉を開けなければ、俺は危ない状況だったそう。
家には俺一人だけだったから大家さんは救急車と警察を呼んだらしい。この暑い中、中学生一人がクーラーもつけずに過ごしていたため父親は今警察と話しているそう。
父親がもっと早く来れなかったのは用事があったかららしい。大家さんからの連絡があって病院に直行したそうだ。
なんなんだよこいつは。ほんとうに。
お前がこうしたんだろ、俺がこうなったのはお前のせいだと、怒鳴ってやろうと思った。でも声は出なかった。ひんひんと俺に泣きつく父親を俺はどうもすることは出来なかったけど、この人も俺と同じくらい、きっとすごい大変な道のりを進んできたんだと思う。愛情表現が上手にできなくて、自分の気持ちを上手くコントロールできない。きっとそれは、父親の周りを取り巻いていた環境が悪かったんだ思う。
可哀想な人だと、初めて思った。
何日か病院にいた。父親は毎日俺の部屋に来て隣に座っていた。俺はできるだけ会いたくないし、喋りたくもないからいつ寝たフリをする。父親はバカだからなにも疑わずに、本当に俺は寝ているんだと思って静かに座っているだけ。
時間が来るといつも帰る。帰ると看護師さんに起こされて見送らなくていいのかと聞かれるけど、俺は何も言えずに口を閉ざす。
そんな生活が続いたある日の昼。病室に看護師さんと誰かが入ってきた。父親ではなかった。
看護師さんに起こされて、今さっきまで寝てましたと言わんばかりに起きる。起き上がると知らないおばあさんとおじいさんがいた。
「そうま、おばあちゃんのことわかるかなぁ」
おばあさんが俺にそう問いかける。当然、この人は見た事も話したこともない。しらないとも言える訳もなく、でも本当に誰かわからなかったから、その場で俯いて黙ってしまった。
「やめなさい。そりゃわからないさ。」
おじいさんらしき人が俺を庇う。それを言われておばあさんは少し寂しそうに笑った。
「そうま。私とおじいちゃんと一緒に住もうか。」
「え?」
驚きのあまり、思った言葉がそのまま声として出てしまった。一緒に住む?こんな知らない老人と?父さんは?父さんはどうなるんだ。あいつは俺がいなきゃ、俺がいなきゃきっと死んでしまう。
「…… 考える時間はいっぱいあるから。またくるね。」
疑問は解決しないまま、おばあさんとおじいさんは病室を後にしてしまった。
夜、静かになった病室で、俺は考え事をしていた。俺はあのクソ親のことを無意識に気にかけているんだと。人生の分岐点であるだろうあの質問に答えるように迫られた時、俺は自分のことも、あの父親のことも考えていた。なぜだ?自分でも自分が何を考えているのかが分からない。可哀想なんて感情だけで俺が父親のことを考え直すことはない。でも可哀想なことは事実で、そのつらさを俺は知っているから哀れみくらいは持ってやる。それくらいの気持ちだと、信じたい。
俺はあいつが嫌いなんだ、それは変わらない。
でも、なにかを選択する時、脳裏にはいつも父親の顔があった。俺を憐れむような眼、俺を見て嘲笑っている顔、泣きそうになって震えている口。たくさんの父親の顔が浮かぶ。
でも、父親が心の底から笑っているような顔は、浮かんだことがない。
俺が回復して、この病院を出たらまたあの地獄のような日々が続くのだろうか。人間のクズをかき集めたようなあの父親だ。反省しているのは今だけ、どうせまた同じ過ちを2度も3度も犯す。
人生の主人公は己のみなのだと、母親はよく言っていた。俺らの生活は父親の掌にあって、管理されていた。母親だってのびのび暮らしたかったはずだ、楽になりたいと思っていたのは、辛いと思っていたのは俺だけじゃない。
少なくとも、あの時の母親は主人公になれなかった。悪に怯えるモブだ。俺だってそうだ。だから俺は、母親を助ける正義のヒーローになりたかった。そうすればきっと、2人とも主人公になれるんだと、そう思っていたから。でも今はどうだ?ヒーローになりたいと妄言を呟いていたあの時とは状況が全く違う。ヒーローになって、助けたいと思う人がいない。
…… 何が残った?ふと思い変えると、俺にはもう何も無いんだと思い出してしまうから、振り返りたくなんてなかった。振り返るとずっと母親がいるんだ。泣いてこちらを見つめている母親が。手を伸ばしても届かなくて、母親の手は掴めない。
母親はずっと、俺に正義の手を差し伸べていたのかもしれない。私と一緒に来てと、そう差し伸べてくれていたのかもしれない。
「そうま、ふんぎりがついた?」
「どっちでもいいのよ、そうまが、好きな方を決めればいい。」
緊張した病室に急かすような時計の針が響く。
「 __ 俺は …… 」
「 ばーちゃんたちと …… 一緒に住みたい 」
かあさん、会いに行くよ。だからまっててほしい。
俺、母さんのヒーローになりたいから。
コメント
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コメントするのは初めてなんですがめっちゃ好きでやっとスマホもらえたのでコメントできました!新作これからを楽しみにしてます!! これからも応援してます!
新作だあ😭💗 これからのストーリーもめっちゃ楽しみです🥲🫶🏻 応援してます💪🏻❤️🔥
おはようございます!! 新連載ありがとうございます😭😭 ちょっと頭の中にドラマのような妄想が浮かんで50分のドラマを見ていたような満足感がありました😗 新連載の第1話目から最高でした! 次の作品も楽しみにしております💝