コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
千冬side
「彼が大切にしてた人たちに」
そう言った〇〇さんの横顔はとても綺麗だった。
『それで、、俺に会いに?』
自意識過剰かもしれない。
それでも、会話の流れからしたら場地さんは俺のことを大切にしていたとしか思えない。
「はい。彼、大切な人の話をする時の顔、すごく優しいんですよ。知ってました?」
そう言われて思い返してみると、確かに〇〇さんの話をする時の場地さんは、見たこともないほどに優しい顔をしていた、気がする。
と言うのも、場地さんが〇〇さんの話をしたのは、数回程度。
しかも抗争が近くなると一切話さなくから、どんな顔をしていたのかはっきり思い出せない。
「だから、彼の話に出てきた人たちに会いにきたんです。彼が大切にする人は一体どんな人なんだろうって気になって」
『でも、どうやって俺らの居場所を?』
「時間とか日にちはさっぱりだったんで、なんとなく来るかなと思った日は、こうして足を運んでいたんです」
「そしたら会えましたね」
そう言って〇〇さんはこっちを見てニッと笑った。
その笑い方が場地さんと重なった。
『場地さん、、』
すごく小さな声でそう言ったはずなのに〇〇さんはこちらを見て目を見開いている。
「本当に圭くんのことが好きだったんですね」
「よかった。圭くんて普段学校とかあんな感じじゃないですか、しかも最近は集会出禁になったとか言ってたし、もしかしたら嫌われてるのかなって」
「だから今もこうやって思ってくれてるの、すごく嬉しいです」
今度は優しい微笑みを俺にむけた。
『あ、、はい』
上手く返事ができず思わず目線を逸らせてしまった。
『そ、そういえば俺以外には会ったんですか?』
「実は、、まだ1人も会ってないんです」
「みんなの特徴は聞いていたからそれを元に探そうと思ったんですが、やっぱり難しいですね」
自嘲気味に笑う〇〇さんを見て、勝手に口が動いていた。
『俺が手伝いましょうか?』
「、、え?」
『俺なら他の人たちとの繋がりありますし、このまま探すよりいいんじゃないですか?』
「でも、、いいんですか?」
『場地さんが守れなかった約束、俺が代わりに守りますよ』
「ありがとう、本当に優しいですね」
『それで、誰に会いに行きますか?』