テラーノベル
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・転生
「う…ん…っ、………へ!?」
ガバッと起き上がり、僕は唖然とした。
僕は芝生の上に倒れていた。
「あれ…?僕…、死んだはずじゃ…」
ここは天国か? いや、僕は生きている。心臓が動いている。
『少年よ』
「ひ、ひゃい!?」
驚いて変な声が出てしまったが仕方がない、だって頭の中から声がしたんだから!
『ふふ、怯えなくて良い。余はお前を守っている存在。簡単にいえばお前の神だ』
神…?何をいっているんだ…今まで僕を守ってくれた人なんて1人もいなかったじゃないか…。
『まぁ落ち着け、まずは話を聞け。お前は一度命を亡くしたのだ。ここまでは覚えているか?』
「は…い…。湖に飛び込んだのは覚えています」
『そうか、なら話が早い。余はお前を転生させた。ここはアースという惑星で、殆ど地球と同じような星だ』
転生…?何故…?僕は楽になりたいと願って命を絶ったのに、何故また同じような場所に連れ戻されたんだ…?
やっぱり神様は僕のことが嫌いなんだ…。
『ちがっ、違う!お前のことが嫌いなのではない!前世でお前のことを守りきれなかったことは後悔している!その…、ね、寝ていたのだ…。だから新しいこの世でお前に償おうと思って転生させたのだ!』
なんて自分勝手な…。
『おい、口に出さなくても余には分かるぞ!ま、まぁ…反省はしている。とにかく!お前には第二の人生を歩んでもらう!お前の新しい名は───』
「かげみや、そら…」
僕の神様は僕を陰宮 宙 と名付けた。
陰か…嫌われ者の僕にはピッタリの名前だな。
年齢は14歳にしたと言われた。中学2年生だ。
言われてみると体も前世より少し…いや、大分大きくなっている。
「さて、これからどうしようか…」
神様は僕の個人情報を淡々と言い、それから最後にこう付け加えた。
” 中学校への転校手続きは済んでいる “
思い出しただけでも吐き気がする…。
学校…。前世で家族の次に僕を苦しめた存在だ。当然行くつもりはない。
どうせ僕はここでも嫌われ者なのだろう。
せっかく家族…おっと、”元”家族と学校から解放されたんだ!
この人生は僕の好きな様に生きてやる!!
なんか色々吹っ切れてきた…ははっ!
前世では兄に「俺の一人称を真似するな!」と言われて、それ以来ずっと”僕”を使ってきた。
兄は僕と自分に同じところがあるのを嫌がった。
兄は表向きでは陽気な性格だったため、僕は陰気でオドオドした性格を演じた。
そう…全て兄中心の人生だった…。でももういない!兄に気を使う必要はなくなったのだ…!
僕の胸は歓喜に震えた。
「まずは一人称を俺にして…それと…あっ、もう性格は演じなくても良いのか! じゃあ……_」
───もう家族がいないという喜びに包まれていた俺は、背後から近付いてきた男に気付かなかった。
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