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2件
ほんとに10周年おめでとうですよね もりょつとかも楽しみにしてます!
例えば1年後、俺は歌い続けているだろうか
例えば2年後、俺は曲を作り続けているだろうか
例えば3年後、チームは続いているだろうか
例えば、例えば…
例えば10年後、俺はあなたの隣に立っているだろうか?
「どうしたの?元貴。」
涼ちゃんが俺の顔を覗きこんだ。
「あぁ、ごめん。ボーっとしてた。」
「映画、面白くなかった…?」
二人で映画を見た帰り、お台場の喫茶店でお茶をしているところだった。
涼ちゃんがチョイスした映画なので、責任を感じているようだ。
「違うよ。涼ちゃんとデートするのが楽しみで、昨日の夜眠れなかったんだ。」
嬉しそうに笑う涼ちゃんが可愛くて仕方ない。
「僕も楽しみにしてたんだ。元貴とどっか行くの久しぶりだもんね。」
涼ちゃんはえへへと笑った。
「今日の元貴の服かっこいいね。」
「ありがと。涼ちゃんのそれ新しい服?とっても似合ってるよ。」
「本当?」
「うん。」
「実は、これ若井のオススメなんだ。」
「え…?」
「結構お洒落な店知っててさー。」
「じゃぁ、今日の格好は若井のコーディネート…?」
「うん。」
穏やかな水面が一変し、津波の様な感情が押し寄せる。
しかし、それをそのまま表に出すほど、子供ではない。
「そうなんだ…。」
しかし、隠しきれるほど大人でもなかった。
「元貴?どうしたの?」
「…いや、涼ちゃんのその恰好を最初に見たのが俺じゃないってのが、少し残念っていうか…。」
「元貴が初めてだよ?」
「え?でも、さっき若井の…。」
「うん。若井オススメのネットショップで買ったんだ。」
「ネットショップ?」
「会員登録すると、アバターに洋服着せて上下の色を合わせたり、着た時の姿をシュミレーションできるんだって。」
「今時そんな事できるんだ…。」
「それで、若井がコーディネートしたやつを買ったの。一昨日届いたばかりだから、この服来た僕を見たのは元貴が初めてってわけ。」
最初というのはもちろん嬉しい。しかし、若井と言えど他の男がコーディネートした物というのはあまり面白くなかったが、ニコニコと笑う涼ちゃんを見れば、そんな事どうでもよくなった。
「似合ってるよ、涼ちゃん。」
「ありがとう。」
光溢れた時間
このままずっと続けばいいのに…
「そうだ、涼ちゃん。写真撮ろう。」
「写真?」
「そう。涼ちゃんの初めて記念。」
「あはは。何それ。」
残しておきたい
時間を共有した証を
愛する人が隣にいるという事実を
「撮ったら僕のスマホにも送ってね。」
「もちろん。」
スマホを取り出し、自撮りモードにする。
「じゃぁ、いくよ?」
「OK♪」
「はい、チーズ。」
「ねぇ、元貴。」
「何?」
「また来ようね!」
例えば1年後、俺は歌い続けているだろうか
例えば2年後、俺は曲を作り続けているだろうか
例えば3年後、チームは続いているだろうか
例えば、例えば…
「うん!必ず来よう。」
例えば10年後、俺はこの写真の様にあなたの隣に立っていたい
20年後も、30年後も、40年後も、50年後も
ずっと、ずっと……
「このあと若井と合流するんだよね。」
涼ちゃんの言葉に頷く。この後、事務所スタッフやバンドメンバーを含めてホテルの会場を貸し切った身内だけのパーティーをする。俺と涼ちゃんそして若井でMGAだけど、それを支えてくれてる多くに人たちに感謝を込めて、3人で企画した。
「お、来たな。」
待ち合わせ場所に行くと、すでに若井が来ていた。
「ごめん、待った?」
「大丈夫、今来たところ。」
3人でホテルへ向かう。
「若井、涼ちゃんから聞いたよ。今日の涼ちゃん若井のコーディネートなんだって?」
「いや、俺って言うか…。」
「アリガトウネ。」
「怒ってる…?」
「オコッテナイヨ?」
「怒ってんじゃん。」
「いやマジで怒ってない。ただ今日という特別な日の涼ちゃんの服装が若井コーディネートっていうのが、ちょっと面白くないだけ。」
「器ちっさ。足のサイズくらいちっさ。24cmだっけ?」
「26だわ!」
後ろから付いてくる涼ちゃんが俺たちの会話を聞いてクスクス笑っている。
「そんな元貴君に朗報です。俺が提示したコーディネートは5パターンありました。さて、涼ちゃんがこのパターンを選んだのは何故でしょう?」
「え?」
俺は涼ちゃんを振り返る。涼ちゃんはニコニコして両手を広げて見せていた。
「…差し色が赤だから?なんてね。」
冗談で言ったつもりが、
「大正解!」
「え?!」
「涼ちゃん迷わずこれ選んだから理由聞いたら”元貴の色だから”ってさ。」
「元貴、呆れてない…?」
心配そうに聞いてくる涼ちゃん。
「呆れるわけないじゃん。ただちょっと…。」
「「ちょっと?」」
「可愛いが過ぎる…。」
「通常運転だな。」
若井は呆れたように言った。
会場前に着くと、涼ちゃんに付いているマネージャーがいた。
「どうぞ。」
渡されたのは深緑のシルクのハンカチ3枚。俺はそれを若井の右手首と涼ちゃんの左手首に一枚ずつ巻いて、チームロゴ入りのブローチで留めた。
「このピンってどうしたの?」
涼ちゃんがピンをしげしげ見ながら言うので
「俺が作った。」
「「え?!」」
「つっても手芸店で売ってるピンの土台に印刷したロゴ乗せてレジンで硬化させただけだけど。」
「へぇ~元貴本当に器用だね。」
「だから、これはマジで世界に3つしかない俺達だけのブローチ。」
俺は若井に残ってたハンカチ一枚を渡し、涼ちゃんにブローチを渡す。
若井は俺の右手首にハンカチを巻き、涼ちゃんがブローチでそれを留めた。
「さ、行こうか。」
会場の扉が開き、俺たちは手を繋いで入場した。
例えば1年後、俺は歌い続けているだろうか
例えば2年後、俺は曲を作り続けているだろうか
例えば3年後、チームは続いているだろうか
例えば10年後も、20年後も、30年後も、40年後も、50年後も
俺たちはきっと、ずっと…
【終】
ギリギリセーフ?
これ書いてて気づきました。3人一緒に書くの久しぶりかも…?
最近メンバー外×涼ちゃんばかりかいてたからメンバー内CPも久しぶりです(笑)
私が最初に書いたのが元貴×涼ちゃんだったので今回はこのCPにしました。
公式からの供給過多は嬉しいですが全然追えていません…。
とりあえず明日コンビニ行って例のお菓子買って来ようと思います。