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眩しい 。
君の笑顔に、僕は心を奪われた。
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「 生徒会長 !! 」
黄色い歓声で目が覚める。今日も来た。
優しさが滲み出るような笑顔を振りまきながら、我が身に降り注がれる歓声を包み込むように堂々と歩いてくる。
「 おはよう。」
彼が一言、言葉を発したならば、黄色い歓声をあげていた人達は次々に倒れていく。相変わらず、破壊力が強い。そういう僕も、倒れていく被害者のうちの一人なのだが。
そう、僕は生徒会長を見るために、毎日朝から中庭のベンチに居座っている。自分の他にも会長待ちの人は多く、校門が開いて数分もすれば中庭はなかなかの人口密度になってくる。
そして、僕がこのベンチで会長を待つ理由はもう一つ。それは_________
考えるより先に、聴覚が反応した。
「 放課後、生徒会室で。 」
僕の横を通り過ぎていく会長が、耳元でひっそりと囁く。僕の反応を見るより先に、彼は足早に去っていってしまった。
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多分、この感情は言葉で表せるものではなく、伝えることが難しい、でも、伝えなければ後悔するような、そんな感情なのだと、子どものまだ未熟な脳で、そうはっきりと自覚した。
生徒会長、あるいは僕の幼馴染、ナイちゃんは、いつも優しく、笑顔が良く似合う人だ。
時は遡り、小学一年生。僕たちの出会いは、近所の公園だった。彼の性格は今も昔も変わらず、独りでブランコに乗っていた僕を遊びに誘ってくれた。それから、僕たちは毎日のように公園で遊び、仲良くなった。初めての友達だ、と喜びの感情が芽生え始めていた。
「 たのしいね 、!! 」
ふと彼は、こちらを向いて、優しく微笑みながら話しかけてきた。
僕の胸が、ぎゅうっと、苦しくなった。
おひさまみたいに眩しくて、やさしい笑顔。
これは友達とは違う、別の感覚なのだろうか。この感情に名前を付けることはできないのだと悟り、でも、不思議で仕方がなくて、ひどく頬を紅潮させたのを覚えている。
それからは、中学、高校と同じ学校に通い、今に至る。
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終会中、窓の外を眺めながら懐かしい想い出を振り返る。気付けば、聴き慣れた下校のチャイムが鳴っている。僕は支度を整えて、生徒会室へと足を運ぶのだった。