コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
兵庫県・尼崎競艇場
午後のレースが始まろうとしている。静かに波が揺れる水面を前に、一人の男が険しい表情で舟券を握りしめていた。
「……クソが……!!」
伏黒甚禰――彼は呪術界の裏に名を残す存在……ではなく、ただの競艇好きのオッサンだった。
「オレの人生のすべてをかけた”三連単”が……!!」
レース開始直後、彼の買った1-3-6の組み合わせは順調に先行していた。しかし、最終ターンマークで6号艇がまさかの転覆。
「はあああ!?!?💢💢💢」
甚禰の顔が真っ赤になる。
「待て待て待て、なんでそこから転ぶんだよ、 普通に回れば俺の勝ちだったやろがァァ!!!」
周囲の客がドン引きする中、甚禰は髪をかきむしりながら絶叫する。
「俺の二万円がァァァ!!!💢💢💢💢💢」
ちなみに、彼の全財産である。
レース結果が電光掲示板に表示される。
1-3-4(万舟券)
甚禰の隣でビールを飲んでいたおじさんが「うおっしゃぁ!!」とガッツポーズを決めた。
「マジか! これ250倍やん!! やべえ、今日焼肉や!!」
甚禰の目が血走る。
「いや待て……俺も最初1-3-4にしようと思っとったんだ……でも妙に6号艇が気になって……」
崩れ落ちる甚禰。
「クソ……俺はなんで運がねぇんだ……」
いや、そもそも彼に呪力はない。
それでも甚禰は拳を震わせながら立ち上がった。
「もうええ……この競艇場ごと呪ってやる……!!」
不知火陣が死ぬ間際に名前を出した、”次の時代を作る男”の末路が、これである。