TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する















ふと思った。




「 都会に行こうかな 」




部屋の中にいることに不満もないしむしろ好き。




だからこうやって紫ノ秋に居候してるワケだし…




久しぶりに外に行ける程度の恰好をして部屋を出た。




「 ン、センセーどうしました?メシ…はさっき持って行ったし… 」




今の時間は午後9時。




「 散歩、してくる 」




「 だ、大丈夫ですか?!お、お体とか… 」




「 なんもないよ。今日中には戻る 」




そう言って僕は紫ノ秋を出た。




まぁ、運動不足解消にもいいかなっと思って歩き出すも結構つかれる。




途中タクシーを使うか迷ったものの都会に出てきた。




人が沢山いて、高い建物が所狭しと並んでる。




部屋に引きこもってる僕からしたらまるで別世界。




僕は大通りを歩いた。




風俗の看板。大音量で通り過ぎる広告トラック。




ネオンライトが光る。




煙草と香水。あとお酒の匂い。




それはまさに都会の匂い。




僕は客引きをしてた女の子を見た。




客引きのために道の隅に立っていたんだろう。




酔っぱらったスーツの男性に絡まれていた。




だけどその女の子は顔色一つ変えず




「 大変ですね… 」




「 すごいですね…! 」




と言葉を並べていた。




あれがサービスとかいうやつか。




あんな男性に絡まれていい気になる人はあんまりいないと思う。




それでもサービスをしてもてなしてるんだよね。




明るい街に浮かない様に暗い心を隠してる。




僕がまだ教員をしてた時は夜の足跡が残っている所もあった。




放置された空き缶。




派手な色したシャッター。




あと簡単に消えない都会の匂い。




ここに住んでる人間は忙しいなぁ




昼は昼の人間が夜は夜の人間が懸命に生きてる。




もちろん夜にも昼の足跡は残ってる。




一目で分かる、人間だ。




スーツを着た仕事終わりの人間。




勤め帰りに飲んだんだろうなと言うのが分かる人たち。




夜と昼が入り混じった世界、とかいうのかな。




昼は夜が見つからない様に隠れてる。




でもそんな簡単に隠れる訳もなくって夜が滲み出る。




これを題材に絵を描くのもいいかも。




あ、幸仁がこの景色を見たらどんな色で書くんだろ。




「 …部屋の中に居たら感じなかったことかも 」




たぶん僕は今日のことをわすれる。




描いたらかろうじで少しは覚えてるだろうけどきっとすぐ忘れる。




まぁ、別に忘れたら死ぬわけじゃないし…




でも今日のこの思いはあんまり忘れたくないかも




「 またマユミに話しておかないとね 」




僕は紫ノ秋の部屋にまた帰って行った。




帰路はコンビニの珈琲で彩った。



















この作品はいかがでしたか?

34

コメント

2

ユーザー

名前 ・ アイコン変わりましたが 、無 ( れいちゃ )です 🙇 私の体験談交えて頂けて 、嬉しいような 、恥ずかしいような 、 筆花先生とシンクロしてるみたいで 、不思議な感覚です 。ありがとうございます !! ているはさんの表現力が流石で 、私が感じたことが生き写しされているようでした 。 物語にもしてもらったので 、多分忘れないんじゃないかな ..? ( 笑 ) 改めて 、ありがとうございます 。これからも楽しみしています 。 長文失礼しました 。

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚