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20
あまね🍡💠
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エデンからの脅迫メールが送られて二日目――。
東洋未来ホールディングス本社。
社長は能力犯罪総合対策本部へ全てを打ち明けていた。
「……もう隠せません。」
「家族の写真まで送られてきたんです。」
会議室の空気が張り詰める。
御堂は静かに写真へ目を通した。
「完全に監視されています。」
「ご家族は直ちに避難していただきます。」
社長は苦しそうな表情で頷いた。
「お願いします……。」
「家族だけは守ってください。」
御堂は隣に立つ一人の男へ視線を向ける。
「篠宮。」
男は一歩前へ出た。
「了解しました。」
御堂が社長へ紹介する。
「能力犯罪総合対策本部副隊長。
篠宮 玲司(しのみや れいじ)です。」
篠宮は軽く頭を下げた。
「ご安心ください。」
「私がご家族の避難を指揮します。」
社長は深く頭を下げた。
「よろしくお願いします。」
篠宮は静かに目を閉じる。
「能力――
空間把握(サーチ)。」
その瞬間。
周囲百メートル以内の人の位置が頭の中へ映し出される。
「……異常ありません。」
「避難を開始します。」
社長一家は警備車両へ乗り込み、本部を後にした。
───
一方。
御堂は一人、資料室にいた。
机の上にはZEROの資料。
代表者の名前。
蓬莱 良樹(ほうらい よしき)。
御堂は静かに呟く。
「能力社会に反対していた組織……ZERO。」
「エデンと何か関係があるのか。」
その時、隊員が部屋へ入ってきた。
「隊長。」
「まだ決定的な証拠はありません。」
御堂は資料を閉じた。
「構わん。」
「必ず繋がる。」
───
その頃。
イコル・ヤーレン博士は一人、街を歩いていた。
「蓬莱……。」
「お前はどこへ向かおうとしている。」
博士は誰にも頼らない。
全てを自分一人で終わらせる覚悟だった。
───
学校。
昼休み。
教室では今日もエデンのニュースが流れていた。
『社長一家は厳重な警備のもと、安全な場所へ避難したものとみられます。』
クラスメイトたちは不安そうに話している。
「怖いよな……。」
「次はどこが狙われるんだろう。」
小春はテレビを見つめた。
「湊くん……。」
「エデンって、本当に世界を変えたいのかな。」
湊は少し考えてから答える。
「変えたい気持ちは本当なんだと思う。」
「でも……。」
湊はテレビから目を離さなかった。
「能力が悪いわけじゃない。」
「使う人が悪いだけなんだ。」
少し間を置き、静かに続ける。
「能力社会を終わらせたいなら……。」
「犯罪をしない方法じゃ、変えられなかったのかな。」
小春は何も答えられなかった。
───
廃工場。
ブレイブは入口近くで周囲を見張っていた。
初めて任された任務。
緊張で身体が強張っている。
その時、通信機からヴォイアントの声が響く。
『ブレイブ。』
「は、はい!」
『これがエデンでの最初の任務だ。』
『人を傷つける必要はない。』
『ただ、見届けろ。』
ブレイブは静かに頷いた。
「……分かりました。」
『組織とは、一人で戦う場所ではない。』
『仲間を信じろ。』
ブレイブの表情から少しずつ緊張が消えていく。
「はい。」
───
その頃。
社長はエデンへ返信していた。
『回答には、もう少し時間が必要です。』
送信。
数秒後。
スマートフォンが震えた。
動画が届く。
そこには避難車両へ乗り込む妻と子どもの姿が映っていた。
撮影日時は――
数分前。
続いてヴォイアントの声が流れる。
『時間稼ぎをしても無駄だ。』
『我々は、全て見ている。』
社長の手が震えた。
「そんな……。」
「避難まで把握されているのか……。」
───
同じ頃。
高台に停車した一台の車。
グラビティが双眼鏡を下ろす。
「護送車、確認。」
ノイズが通信を続ける。
「予定通り移動しています。」
ゲイルが笑う。
「政府も必死だな。」
ヴォイアントは静かに告げた。
『焦る必要はない。』
『恐怖は、確実に根を張り始めている。』
護送車は街を走り続ける。
その背後には、誰にも気付かれないまま、エデンの視線が向けられていた。
第42話へ続く
コメント
1件
第41話、読み終えました。各勢力の動きが一気に加速して、すごく緊張感のある回でしたね。特に社長家族の避難がエデンに完全に把握されているシーンは「本当に誰も逃れられないのか」と背筋が冷たくなりました。湊くんの「能力が悪いわけじゃない、使う人が悪いだけ」という台詞は、この物語の本質を突いていて深く考えさせられました。各キャラの立場や正義が交錯する展開、続きが気になります。