TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

       8

(くそっ! クウガと戦う羽目になるなんて。勝てる気がしない。でも勝たなきゃアキナが殺される!)

 焦りながらも蓮は、両手を龍爪掌に組んで左前の姿勢で構えた。ぬるぬると接近してくるクウガに全神経を集中させる。

 次の瞬間、クウガの真正面に黒球が出現。引力を受けた蓮はすぐさま前のめりになった。クウガの右ストレートが顔面に飛んでくる。

 予期していた蓮は、無理矢理に頭を逸らした。しかし避けきれず、拳の端が耳の上部に当たった。

 体勢を崩されつつも蓮は、|白神龍《ホワイトドラゴン》を纏った右の龍爪掌で顔を狙う。

 渾身の張り手を、クウガはスウェー頭部を引く動きで難なく回避。間髪を入れずに右アッパーを振るった。

 蓮はくるりと反転。拳がわずかに顎を掠めるが構わず大股で二歩引いた。即座にクウガに歩み寄り左手を突き込む。八卦掌の技術の一つ、|上下換掌《じょうげかんしょう》である。

 |白神龍《ホワイトドラゴン》の加護を得た反撃だったが、クウガのヘッドスリップに空を切る。

 すぐさま右フックを撃ってくるが、見切った蓮は左脚を前に滑らせて身体を低くした。何とか避けてクウガの懐に入り、力一杯身体をぶち当てる。

 蓮の当て身は綺麗に入り、クウガは数歩後退していった。

「|超念武《サイコヴェイラー》を身につけて二週間そこらで俺の動きに従いてくるか。資質があると認めざるを得んな。だが」

 剣呑な調子の台詞の直後、クウガの右前に黒球が現れ、クウガはそこへストレートを放った。直後、蓮の腹部に特大の打撃が加わった。

(がはっ!)予想外の攻撃により、蓮は肺の中の空気を全て吐き出させられた。身体の制御を失い、クウガのいる前方へと飛ばされる。

 黒球を消したクウガは、寄ってくる蓮の顎を目掛けてアッパーを撃った。蓮はとっさに両手で顎を覆った。クウガの右拳が左手に当たるも、運良く|白神龍《ホワイトドラゴン》を帯びていた。

 クウガの攻撃を受け止めて、蓮はクウガから逃れた。五歩ほど行ってから、素早く向き直り構えを取る。クウガは再び、隙の皆無なファイティング・ポーズを取っていた。

「わかったよ蓮くん! クウガの能力は引力と斥力だけじゃあないんだ! おそらくだけど、黒球に当てた攻撃を、白球にワープさせられるんだよ! 二週間前の水無瀬葵依とさっきの私も、きっとその力でやったんだよ!」

 未だ苦しげな面持ちのアキナから、必死な調子の忠告が来た。

 クウガはアキナにちらりと視線を向けた後、感心したような顔になった。

(奥の手を味方にも伏せてたのかよ)クウガの策士ぶりに蓮は驚愕する。

「単純な能力の強さだけなら、俺はアキナに劣っているだろう。だが力の活用という点では、俺はアキナどころか大半の神人を凌駕している。そんな俺に楯突こうというなら、それ相応の覚悟をしてもらわないとな」

 刺すような口調でクウガは言い放った。クウガの醸し出す並々ならぬ圧力に、蓮は気圧されまいと気を奮い立たせていた。

蹴撃の黒メイデン

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

41

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚