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ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐ー‐


〚ねぇ、今日から僕になってよ。〛

「…え、?」



貴方が言った何気ない一言。

この一言があのときの僕にはひどく刺さったんだ___。














〚お〜い、起きてる〜??〛

「んぇ、?」



ああ、懐かしい夢をみてたな。

そんなことを思いながら貴方に抱きつく。



〚もう、朝からどうしたのさ〜、笑〛

「…懐かしい夢をみてたの。」



僕の一言を聞いてあからさまに驚くあなた。

なんて愛おしいのだろう。



〚..めずらしいね。〛

「夢なんかひさしぶりにみた気がする…。」

〚あのときからみてないんじゃない?〛

「…そうだね、」

〚怖い、?〛

「ううん。今はもう怖くない。」

「だってあなたがいるから。」

〚..!?…それは嬉しいな。〛



あなたは僕の命の恩人。

あなたの腕にある傷は未だに消えることなく残っている。

それを見るたび僕はあの日のことを思い出してしまう。


僕とあなたの悲劇のストーリー。



そう。あれは十数年前のこと____。














〚ねぇ、今日から僕になってよ。〛

「…え、?」



路地裏で聞いたあの言葉。

僕はまだ小さくて理解ができなかった。




僕の家は小さくて暗くて中にいるだけで閉じ込められている気分になってしまうほど酷かった。


父は浮気。嫉妬に狂った母が毎晩毎晩僕のことを殴りいじめてくる。そんな日々だった。


母は僕に興味なんてない。いままで母と目を合わせたことがあっただろうか。


母が興味をもっているのは父だけ。イケメンでなんでもできる父を母は手に入れたくてしょうがないみたいだった。




僕はもう我慢の限界で家を飛び出した。


あのときの僕は小学5年生。まだ背丈も小さく、世間のことは何も知らなくてただただ怖かった。


それでも家よりかは心地がよく、家に帰らない日々が続いた。


…でもそう長くは続かないことは小5の僕にもわかっていたんだ。


空腹で盗みもした。でもお腹はいっぱいにならなかった。


もうしんどくて我慢の限界が来たとき、たまたまあなたに出会った。


第一印象は嫌い。ただそれだけだった。


僕にはない綺麗な服。整った顔立ち。背丈は僕と変わらなくて、同い年だと思えた。


髪型、背丈、顔立ち、どこか僕に似ていてさらに羨ましかった。


「僕もあともう少しで。」

「あんな父のせいで。」

「どうして。」


いろいろ考えた。恨み、妬み、感謝し、怒り。

文句を言ったところで過去は変わらない。

そんなことはわかっていながらやめられなかった。


僕がしばらく黙っているとあなたは僕の手をひいて路地裏をでた。


後ろから見る背中はどこか大人びているのと対象に、儚さも感じられた。


僕はされるがまま脱がされ、服を交換させられ た。

そして貴方は

「俺の言う事を破ったら通報する。」

その言葉だけを発してもう一度僕の手をひいた。

今考えたらただの子供騙しに過ぎない。

でも僕はもう居場所がなかった。どこに行ってもひとりぼっち。

それならあなたの言う事を聞くのもいいだろう。

どうせ短い人生だ。そう思った。





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