テラーノベル
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今日も、暗い陸橋への階段を1人で登っていく。
塾の帰り。別に最近始まったことじゃない。
7年前と変わらない風景。
当時10歳の俺は怖くて泣いて中々橋を進めなかった。
でも、そんな時、
赤)ようっ、『紫』
紫)おーやっと来たか笑今日は遅かったな
赤)なーんか授業延長してさぁ…んなこと説明しなくてもわかるわっ!って感じ笑
紫)お前は頭いいもんな笑
赤)えぇ?でも紫も頭いいんだろ?学年二位の副会長さんっ
紫)なぁんか二番目ってパッとしないよなぁ…
赤)そう?
紫)お前は大体一番目だからわかんねぇだろうけどよっ
赤)笑笑笑笑
紫)俺は…誰かの、なにかの一番目になってみたかったよ……
赤)……そっ、か
そういう綺麗な横顔を俺は眺めることしか出来なかった…
塾の帰りにも慣れてきた11歳の夏。
夏期講習の帰りにあいつと出会った。
紫)………
少ししつこい暑さの夏風に揺れる髪が輝き、陸橋から見える街の光に照らされた瞳が綺麗だったのを覚えてる。
俺は物心着く頃にはピアノやバイオリン、英語に子役と時間が無く、遊び盛りの10歳には塾に入れられたため友達なんて一人もいなかった。
それどころか人との関わり方が分からず、どこに行っても一人だった。
だけど、あいつを人目見た時無意識に近付いて言った。
赤)なに、してんの?
そう問うと、
紫)どうしたら死ねるかなって、考えてた
そう答えた。
俺もこの生活に不満は感じていたが貧乏なわけでも全てが不自由な訳でもないこの生活から離れようとは思っていなかった。
なぜか、興味が湧いた。
なぜ、そう思うのか。
10歳ながらに自殺を考える彼の真意を、全てを知ってみたいと思った。
赤)ねぇ、なんで?
気付けば、既に彼に質問を繰り返していた。
何も隠さず、全てを話してくれた。
親が再婚し、今の母親は本当の母親でないこと。
その母親は紫のことが邪魔だと思っていること。
その理由が今の母と父の間に弟が生まれたからだということ。
本当の母の死因は『産後うつ』による自殺だったということ。
学校で優等生を演じるのが嫌になったこと。
自分の全てが嫌になったこと。
誰の一番目にも慣れないことが悔しくてたまらないということ。
幸せとはなにかわからないこと。
愛されてみたいということ。
重すぎる事実に俺は押しつぶされそうになった。
けど、話す度に潤む瞳が彼の本心を聞き出せていないことを語っていた。
彼の本心を聞きたい。
そう思った時には、
赤)明日も、話聞かせてっ
紫)!
黄色く鋭い猫目の瞳がパッと丸くなった。
紫)いいよ笑
そう笑う顔は、どこか寂しい顔をしていた。
わからない気持ちばかりだったけど、7年経った今ならわかる。
俺は紫のことが好きなんだ。
だけど、この気持ちは墓場まで持っていくことにしてる。
だって、こんなにもイケメンなんだから。
ちゃんと、紫の事を心から愛してくれる女性は現れる。
それまでの命を繋ぐのが俺の役目だと勝手に思っている。
いつ、ぽろっと死んでしまうか分からないようなやつだから。
だからこうして俺はいつでも紫の隣にいる。
いつも決まって紫の左側。
塾から家へ向かう方向。
いっそ2人とも死ぬまで1人だったらいいのになとか考えながらも、俺は隣に立つ。
靡く髪と輝く瞳に惚れながら、紫の話を聞く。
その時間が楽しくて仕方がない。
叶うはずのない恋心を押し殺し、紫の顔を覗いた。
紫)?
どした?笑
赤)いや、綺麗な顔だなって
紫)なに?惚れた?笑
赤)…うん、ずっと前から
紫)っえ…?
あ、しまった
赤)な、なーんて笑じょ、じょうだ、ん…
紫)ポロッ
赤)え、え、え???
ご、ごめっ
紫)い、いやっごめんっポロッ
勘違いした笑ポロッ
赤)な、なにが?俺、ほ、ほんとにお前に…
だ、だめだだめだっっとまれ俺っ!!!
けど、好きなやつにそんな顔されたら…
紫)もしかしたら、赤の一番目にとか思っちゃった笑ごめん…、
赤)ごめんじゃない!!!
紫)!?
赤)だ、だから…その、、、、
お、俺からは言えない///
紫)そ、それは…
赤)墓場まで持ってくって決めたから…俺からはダメ、、
紫)っはははは!!!
な、なんだそれ笑笑笑
赤)お、俺は真剣だよ!!!
紫)真面目ちゃんかよ笑笑笑
でも、そっか…赤も一緒なんだ、///
赤)い、、いいから…そういうの
紫)ね、赤…
好きだよ。あの日俺に声をかけてくれたその瞬間からずっと…
赤の事が好き。
赤)おれもだよ…紫///
紫)ポロポロッ
赤)え、ちょ、泣くなよ!!!
紫)おれ、赤の一番目…?ポロッ
赤)そーだな笑
紫)一番目の彼氏?
赤)当たり前だろ笑
紫)一番目に好き?
赤)あーそれはなんか違くね?
紫)ちが、うの…?
赤)一番”目”って二番目以降もいるってことだろ?だから俺は一番目にじゃなくて、”一番”紫のこと、、すきだよ?///
紫)✨️
ふふっ、そっか…一番すきか…へへっ///
そう笑う顔はいつか見た綺麗な顔じゃなくて、
子供のように可愛らしい顔だった。
赤)…ふふっ、
ありがと、紫ー。
俺の退屈な人生に、希望をくれて。
なんか、よくわかんない( ᐛ )
あの、ほんまにリクエストください。。。
コメント
2件
良すぎて息すんの忘れるわ… くっそ最高だわぁぁぁ😭✨
最高っすね 1番目って言われると2番目いるの?ってなりますよね、わかります()