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サニー号に乗って少しすると、ローの持っている電伝虫から声がした。ウヒョァ!! ドフラミンゴの声じゃん!! 間違っても俺がいることバレたくねえから黙っていよう。
「こりゃ驚いた。ボスが直々にお出ましとは」
『ローか、久しぶりだってのに中々会えねえもんだな』
「お捜しのシーザーならおれと一緒にいる」
「ジョ、ジョーカー! 助けてぐれ~!」
「うるせぇっ」
小声でそう言い、シーザーを殴る。
『ベビー5とバッファローの体はどこにある?』
「さあな、余計な質問はするな。取引をしよう」
『…………フフフフッ、おいロー、頭を冷やせ。ガキが大人の真似事をするんじゃない。今どこにいるんだ? 俺を怒らせるな』
電伝虫の受話器の向こうから、低い笑い声が聞こえてくる。受話器越しでも怖ェ~……。
そんな俺とは違い、ローは淡々と話していた。
「怒らせる? お前にとって今一番大切な取り引き相手は四皇のひとり、大海賊・百獣のカイドウ。お前の方こそ、この男だけは怒らせるわけにはいかねえはずだ。お前が『SMILE』をもう作れないと奴に知れたらどうなる? 話し合いの通じる男じゃない。激しい戦いになるだろう」
――お前は消される
『おい、冗談が過ぎるぞ、ロー。どうすりゃシーザーを返す? さっさと条件を言え』
ローが提示した条件は――
〝王下七武海をやめろ〟
――だった。
『なんちゅう小僧だすやん!』
『もうドレスローザにいられなくなるわ!』
「なぁに、10年で築き上げた地位を全て捨て、一海賊に戻るだけだ。ただしそうなれば今度は、海軍本部の大将たちがお前を逃がさない。リミットは明日の朝刊。お前の七武海脱退が新聞に報じられていれば、こちらからまた連絡する。何もなければ、交渉は決裂だ。じゃあな」
ローが受話器を置く。
「……お、思い切ったこと言うな……ドフラミンゴ相手に、死ぬほど肝を冷やした……」
心臓を押さえながら俺がローに言う。ローが俺の頭を撫でる。
「それじゃあ俺はシーザーをチョッパーに渡してくるわ。最低限の手当てはしといたほうがいいだろ」
「あぁ」
「おいっ! 丁重に運べ!」
「うるせえ! この運び方に文句あるなら容赦なく引きずり回すぞ!!」
お前誘拐されてる立場なんだぞ。ボケカス。と付け足して、俺はチョッパーにシーザーを投げ渡した。
次の行先はドレスローザだ。