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ひよ茨

日和side

僕が校門を通ればひときは目立ちいつもクラスの中心にいる。周りには人がたくさん集まるし僕のことを無視できる人なんていないと思ってた。

「あー、今日も疲れたーそろそろ帰るね!」

「あ、日和くんばいばい!」

「じゃあな巴!」

手をヒラヒラと振り教室を出た。あー、今日も疲れた。早く帰ろうかな。そう思って急いで門の方に向かうそうすると同じクラスの人らしき人が中庭に向かうのが見えた。行き先が気になり少し覗いてみるとそこには花壇に水を上げているクラスメイトの姿があった。七種茨、くんだっけ。1回も話したことがなく名前を出すだけでも精一杯だった。とても綺麗な彼に少し好奇心が湧いた。

「ねぇ、君」

「はい」

「同じクラスの七種茨くんだね?」

「はい、そうですけど」

「えらいねー!がんばってるね!!僕が手伝ってあげないこともないね!」

「いや、大丈夫です。巴日和さんでしたっけ。クラスの方と遊んできたらどうですか?」

「なっ!!」

生意気だねこの子!結構綺麗な顔立ちをしていてタイプだななんて思ってたのに!でもなんとなく自分に興味のない彼にものすごく近づいてみたいと思った。みんなの知らない彼の素顔にふれたい、

「これはどこにやればいい?ここ?」

「ほんとに大丈夫ですよ」

「僕がやりたいと思ってやってるんだから素直に受け取って欲しいね!あと2人の方が早いね!」

「ありがとう、、ございます」

「うんうん!てかさんじゃなくんて、日和って呼んで欲しいね!」

「いや、それは無理です」

「えー、ねぇ茨、お願い」

「日和さん、?」

ほんとは日和くんとか呼び捨てにして欲しかったんだけどなと思いつつも素直に要求を受け入れてくれた。それが嬉しくて少し胸が高鳴る

「まぁ及第点ってとこだね!」

「は、はぁ」

なんて少し戸惑いながらも彼は黙々と作業を続けた。彼が花に向ける顔は優しくていつもの仏頂面が嘘みたい。僕は水をあげていた花の中で目に止まった花があった。可憐な姿で少し儚げな花。これは確か

「「ワスレナグサ」」

すると隣にいた彼と言葉が重なって聞こえた。

「この花、暑さに弱いので夏越しは難しいんですよ。」

「そうなんだね、この花僕好きなんだよね」

そういうと彼は少し目を輝かせて前のめりになり

「自分もこの花好きなんです! あ、すみません、勝手に盛り上がってしまいました。」

「そんなことないね。もっと教えてほしいくらい!!」

「そう言って頂けて嬉しいです。今日は日が暮れてきたのでまた話しましょう」

空を見るともう日が沈んで当たりが赤紫色に染まる。

「そうだね!もう帰ろうね!じゃあね!」

「はい、また明日」

また明日と言った彼の顔が少し笑っていた気がした。気の所為かもしれないのに。



次の日僕は放課後になって図書室に向かった。元々花についての知識はあったのだがほかの花についても触れてみたくなったのである。探していると後ろから話しかけられ振り返ると昨日の彼がいた。

「あぁ!茨!昨日ぶりだね!」

「昨日ぶりですね。何調べてるんですか?」

「ん?花だね」

「花好きなんですか?」

「昨日見てて興味を持ったね!知識として持ってて悪いことは無いね!」

そう言い張ると彼はクスッと笑う

「なに!!」

「いえ、自信満々だったのでつい」

彼から自然な笑みが零れて嬉しい気持ちでいっぱいになった。こんなに人のことを思うなんてあるとは思わなかった。

「じゃあ今から水をあげに行こうね!」

「はい」

そう言って昨日と同じように花壇へと向かう



それから毎日一緒にあげるようになりだんだんと仲良くなった。住んでる場所が近かったり、趣味について話したり。洋楽を鑑賞するのが好きだって言ったら彼は目を見開き、普通の高校生とは思えませんよ、、と言ったのを鮮明に覚えている。僕は彼のことを知るうちに惹かれていたようだった。

ある日天気予報で見たら台風という予報が出ていた。暴風警報がでて学校は休み。嬉しいと思う反面僕には不安な気持ちが浮かんできた。この台風の中あの花たちは大丈夫なのだろうか。予想外なことにより台風が接近していることだから誰も花を中に入れてないだろう。僕は一目散に家を出て学校に向かった。何度も兄に止められたが僕は心配で仕方が無かった。

学校に着くと暴風で少し花が散ってしまっている。直ぐに職員玄関に花を移動させ、動かすことが出来ないものにはビニールを被せた。ワスレナグサが気になり目を向けると花は生き生きとし咲いていた。ワスレナグサの花言葉は「真実の愛」今の僕の気持ちにぴったりだなんて思ってしまう。そのときに心に決めた。また今度茨会ったら告白しよう、そう思った。

家に帰り何だか寒気がして熱を計ると39度の熱があった。当たり前のことだ。雨の中何時間も外にいたら風邪を引くに決まっていた。熱は一向に下がる気配がなく明日は休むことにした。



インターホンの音がして重たい足を動かし玄関へ向かうと暗紅色の髪色をした彼が抱きついてきた。

「ばか、、」

そう言いながら彼は抱きしめる力を強くした。僕はどうしていいのか分からずとりあえず部屋に招いた。

「なんであの雨の中出かけたんですか、、?」

「花が散るのが嫌だったし茨が悲しむと思ったから」

「それはそうですけど!!自分は日和さんが風邪をひくのも心配なんですよ、、自分の体大事にしてください、、」

彼は涙ぐみながらも思いを伝えてくれた。確かにこの体は自分だけの体じゃない。心配をかけてしまったんだって、僕は彼の言葉に動かされた。

「それで、1つお願いがあります」





7月下旬

夏真っ盛りでギラギラと太陽が僕らを照らしてくる茨と2人で出かけるのは初めてでは無いけど電車に乗ってある場所に向かう。行くまでに2時間近くかかった。夏休みが始まったっていうのに電車は貸し切り。ほんとうに2人だけ逃避行してるみたい。

電車を降りると目の前には一面にひまわり畑が広がっていた。太陽の方を向いて一生懸命に咲いている。生き生きとしていて夏の花としてとてもぴったりな花だと思う

「自分ひまわり大好きなんです。」

「そうなんだね。僕もひまわり好きだね!」

「ひまわりは日和さんみたいに暖かくて自分のことを元気づけてくれし影響を与えてくれるから好きです。」

彼が綴った言葉はどうしても僕の都合のいい様に聞こえてしまう。

「どうしたんですか?今の意味分かりました?」

彼は顔を近づけて聞いてくる。

「今のって、僕のことが好きって、こと?」

「そうですよ。気づいたら惹かれてました。返事は要りません。分かってるんで」

そう言うと彼は背を向け前に進んでしまう。そんな彼の背を見ると何だかこのまま届かなくなりそうで、離れてしまいそうだった。

「茨」

そう声をかけると彼は振り返る

「僕の人生半分あげる。だから半分ちょうだい」

そういうと彼は大きな声で笑って涙が溢れていた。どうしたのと駆け寄ると

「ほんとにばかですよね」

「な!!」

「半分どころじゃなくて全部あげますよ。あなたしか見てませんから」

そう返ってきていつもの茨だって何だか安心した。帰りはいつもとは違う特別な関係だった。


ひまわりの花言葉 「あなただけを見つめる」



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初めて3000文字も書きました!!

チャットタイプかこっちかどっちがいいか教えてください!

お疲れ様です!!

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