少女を飽和したあの夏

君がなくなってしまう前の、あの9月。

丁度それぐらいからだったよね。アヤに虐められ始めたのは。

今まで別の子を楽しそうにいじめてたアヤがなんで急に君を虐め始めてたと思う？

仕掛けたのが、私だからだよ。

アヤの下駄箱に泥を詰めて、『レイより』って紙に書いて置いといたの。案の定、アヤ単純だから君をいじめ始めた。だって、君が悪いんだよ。

その時、私じゃなくて他の子と楽しそうに話してる時間が増えてたし。

だから、虐めさせた。そしたら他の子も虐められてる君にわざわざ近寄んないし。そんな君に手を差し伸べる優しい私になれる。

君と話してる時、獣のようなクラスの奴らに後ろ指刺されている気がした。でも別にいい。心ゆくまで笑っていればいい。

でも、どうやら注意が足りなかったみたい。

その日、君は委員会があったみたいで、私は君を置いてそのまま帰った。でも、それが行けなかったみたい。君はアヤを殺した。

でも、別に君は悪いとは思わない。そりゃやり返したくなるだろ。でも、やり返す相手をちょっと間違えちゃったみたい。

だから私も連れてってよ。レイ。

透明な世界で愛し合おうよ。君を殺した残酷な世界じゃなくてさ。

手に握りしめた君との写真は、もう汗で霞んでいた。

あぁ、踏切が鳴りだした。もうすぐいくよ、レイ。

あれ、幻覚かな、レイが見える。

笑ってるの？泣いてるの？よく見えないな。

でも、どうでもいい。

愛し合おう。霊。透明な世界で。