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薬 チャン ❕ 💭
122
朝。
目が覚めて一番に開いたのは、恋人とのトーク画面だった。
なつは布団の中でスマホを見つめていた。
『おはよ』
たった3文字。
でもなつは考えすぎてしまう。
(これ機嫌悪いのかな)
(それとも眠いだけ?)
(めんどくさかった?)
自分でも馬鹿らしいと思う。
ただの文字の羅列の言葉遣いや句読点だけで、気にしてしまうくらい彼のことが好きだ。
結局三分くらい悩んだあと、
『おはよ!』
と返した。
送信した瞬間に後悔する。
『!』いらなかったかも。
いや、少なかったかも。
考え始めると止まらない。
(こんなんじゃ嫌われちゃう)
そう思うとどうしようもない不安に襲われる
(いるまがいなくなっちゃったらどうしよう)
俺は今いるまのおかげで生きれてるといっても過言ではない。
いるまがいないくらいだったら死んだほうがまし。
君のいない世界なんて考えられないし、死、
死を意識するからこそ、生きることがまぶしく見える。
幸せというものは一瞬で、そのイメージを捉えた瞬間それは過去になる。
まるで水みたいだ。
掴めたと思った頃には零れ落ちている。
だから何度だって確かめたくなる。
好きだと言われても、
可愛いといわれても、
まだ足りない。
明日になれば不安になることを知っているから。
それは触れ合う温もりも同じだ。
気持ちいいのは一瞬。
満たされたと思った瞬間からまた欲しくなる。
何回愛し合っても足りない。
何度抱きしめられても足りない。
むしろ欲しいものは増えていくばかりだった。
よくこんなことを言われる。
『いいな~いるまの彼女は可愛くて
俺の彼女は面倒くさいし交換してほしいくらいだよ』
でもそんな可愛いはいらない
「付き合ってるんだったらちゃんと愛せよ」
そう思ってしまう。
素直に喜べない自分が嫌いだ。
でも外から見えてるほど自分は可愛くない
自分でもわかっている
愛が重いことくらい。
(ほんと面倒くさい彼女だな。)
と自分でも思うくらいにすぐ嫉妬するし不安になる
でも自分が思っている以上に彼のことが好きだった。
どれだけ一緒にいても足りない。
そんな自分が気持ち悪い
でも、気持ち悪くなきゃ気持ちよくなれない。
+++——————————————————————————————————+++
メッセージを送ったあと、スマホを置く。
たった三文字。
きっとなつはまた余計なことを考えているんだろう。
そういうやつだから。
なつは自分の欠点ばかり数える。
でも俺から見れば、
誰よりも優しくて。
誰よりも可愛くて。
誰よりも愛おしい。
本人だけがそれを知らない。
なつが苦しんできたこと。
辛かったこと。
全部知っているからこそ、今のなつがいることが尊い。
苦労を含めて君そのものが愛おしい。
今日も俺らはお互いの愛を確かめ合う。
まただ。
不安そうな顔。
愛されていることを知っているくせに、
確認しないと眠れないみたいな顔。
本当に面倒くさい。
でも、
そういうところも含めて好きなのだから仕方ない。
だから今日も思いを口にする。
+++——————————————————————————————————+++
いるまの手が俺の髪をくすぐる
「大好き」
「今日もかわいい」
いるまはいつも俺を褒めてくれる
好きだ、と言ってくれる
言い過ぎというくらいに。
それなのに
足りない。
「ねえ」
「ん?」
「おばさんになっても愛してくれる?」
コメント
2件
大森靖子サマ 劇的JOY!ビフォーアフター
みぅです🤍🥀 読ませてもらいました。 「おはよ」の3文字にここまで心を揺さぶられる主人公の心情、すごくリアルで胸が締め付けられました。自分でも重いってわかってるのに止められない、でもそれも含めて愛してくれる相手がいる——この歪で純粋な関係性、めちゃくちゃ刺さります。 「気持ち悪くなきゃ気持ちよくなれない」の一文、重すぎて何度も反芻しちゃいました。続きが気になります…!