昼休み、俺――久坂翔はまたもや恋愛活動を再開していた。今日狙ってるのは、スポーツ女子の朱音だ。ロングヘアで活発そうな雰囲気、あぁ、なんだか良さそうだと思った。
「朱音、今ヒマ?」
俺が自信満々に声をかけると、朱音は俺の顔を見ると一瞬だけ笑った。
「ん? 翔か。ヒマって言えばヒマだけど。」
その笑顔、ちょっと嬉しかった。まあ、でもまだ何も決まってないから、ここからが勝負だ。
「よかったら、少し話さないか?」
俺がにっこりと笑いかけると、朱音は少し考え込んでから「まあ、いいけど」と言ってくれた。
おお、これはいい感じだな。
「じゃ、ちょっとこっち来て!」
俺が朱音を教室の隅に誘おうとしたその時。
「ん?」
ちょうどその瞬間、後ろから瑞希が通り過ぎた。
「翔、またなんかやってんの?」
「いやいや、別に! ちょっと話してるだけだって!」
でも、なんか瑞希、面倒くさそうな顔してるし…。やっぱり俺、無理かな…。
朱音が軽くため息をついて言った。
「翔、なんかあんまり話してる感じじゃないよね。」
「え?」
「うーん、ちょっとテンション低くない?」
「は? だってお前、全然盛り上がらないんじゃん!」
俺がツッコむと、朱音はにやりと笑った。
「うーん、だってさ、翔はなんだか毎回同じこと言ってるし。少し飽きた。」
「まじで!?」
俺は一瞬、言葉を失った。これって…失敗か?
「だ、だよね。じゃあ、いいよ…!」
朱音はにこっと笑った後、「まぁ、また今度ね」と言いながらすぐに他の友達のところに行ってしまった。
俺、完全にフラれたって感じだ。
「うおおおおおっ!!! 何だよ、これ!?」
俺は自分の心の中で叫びながら、その場に立ち尽くした。
「どうしたん、翔?」
振り向くと、そこには未里が立っていた。
「未里! ちょっと、聞いてくれ!」
俺が未里に駆け寄ると、未里はニコニコと俺を見ている。
「どうしたの? なんか元気ないね。」
「いや、朱音に話しかけたんだよ。そしたら…ダメだった!」
「え、そうなの? ショックだね…」
未里が軽く肩をすくめて、ちょっと笑っている。
「うーん、どうしようかなぁ…」
俺が悩んでいると、後ろから声が聞こえた。
「おい、翔!」
振り向くと、そこには山川諒が立っていた。
「うおっ、諒かよ!?」
「何だよ、急に元気ないな。」
諒が俺を見ながら肩を叩いてきた。
「いや、ちょっとさ、朱音にアタックしたんだけど…フラれた。」
「は? 朱音にアタックしてフラれた? お前、無理だろ。」
「なんだよ、いきなりそんなこと言うなよ!」
俺が突っ込むと、諒はニヤッと笑って言った。
「まぁ、でもそんなこと言っても仕方ねーだろ。お前、いつもそうやって失敗してるじゃん。」
「うるせぇよ!」
俺が怒ると、諒は「じゃ、どうするんだよ?」とさらに言ってきた。
「んー、未里に相談しようと思ったんだけど…」
「俺が相談相手になってやるよ。」
俺が言いかけたところで、諒が勝手に話を続ける。
「朱音はもうダメだって分かったろ? 次行け、次!」
俺はちょっとムッとしたけど、まあ諒の言うこともわかる。確かに次行くしかないか…。
「でもさ、未里にはちょっと相談したかったんだよ!」
「いいから、俺と一緒に行くぞ。」
諒は無理やり俺を引っ張っていこうとした。
「おい、何だよ、俺に無理やり付き合う気か?」
「うるせぇ、行こうぜ。」
――結局、諒に引っ張られるまま、俺は未里に相談するのを完全に諦めて、諒の後ろについて行った。
こんな感じで俺の恋愛活動は順調とは言えなかったけど、まあ…諒と一緒にいれば、なんとかなるだろう…たぶん。
人生は長い。長いからどこかで俺の「恋愛武勇伝」が始まるんだよな………多分、多分、
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