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「ケイン」
「はい、何で」
返事をする前に唇を塞ぐ。
「…っ」
言葉に詰まったケインだが、俺をじっと見つめてくる。
俺も見つめ返してケインの歯列を舌でなぞる。
それを口を開ける合図だと思ってるのか、ケインは素直に顎を動かした。
「ん」
少し口を開け、ケインの舌を捕まえる。
カチッと歯と歯が当たった。がっつきすぎた。
「ん、と…ごめん」
「…大丈夫ですよ、痛くないですか?」
「大丈夫よ、ブースティング行くの?」
「そうですね」
何事もなかったように、会話が続いていく。
そう、この行為は特に意味はない。
強いて言うなら、面白いからしている。
始めは向こうから「何でするのか?」と質問されると思っていた。何故か受け入れられている。
「ロボットの考える事は分かんねぇな〜」
ホットドッグを焼きながら、いつもの駐車場横でひとり言。
「ケインオーのことか?」
ひょこっと現れたのは、オルカ。人懐っこい彼女は店の常連だ。
「喧嘩でもしたのか、レダー」
「全然、10個ずつでいい?」
「あぁ、頼む」
「考えるなんてしないぞ、ロボットは」
「えぇ…何でよ」
「指示を出せばプログラムどおりに動くだけだ」
達観している彼女の物言いは、たまに人間離れしていてケインとよく似ている。
「…そうっすか、まあいいけど」
「余計な事まで悩んで大変だな」
「嫌味か?」
「オルカには出来ない事だ」
「へぇへぇ、さっさとパトロール行ってこいよ」
「あぁ、またな」
別に悩んでないし。
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