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0.9♡# 翡翠 ~ ♩
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🍫視点
NTRではないはず。
俺は初めて貴方を見た日から好きだった。
笑う顔も
怒る顔も
困り顔も
泣き顔も
全てが好きだったとおもう。
「俺結婚するんだ。」
そう聞かされた時は嘘だと思った。
思いたかった。
「ふーん…..嘘でしょ?」
「ほんと」
そう言った顔は真面目そのもの。この顔で嘘をついているわけがない。俺だからわかる。
「ほんと?ほんとに?」
「がちだって!」
「まじで?!おめでとうー!」
そう、ありきたりな会話をした。
俺らは高校で出会った。席が前後で馬が合い、高校時代は殆ど一緒にいた。イケメンで誰にでも優しくて、女子にも人気。中学校の時は2年続いた彼女がいるとか、そんなことを聞いた気がする。そんな奴が高校時代ずっと隣にいた。俺は勘違いしていた。俺は特別なのだと、この人の一番なのだと。そう、確信していた。だが、違った。
「彼女できた。」
その言葉は俺が一番恐れていた言葉だった。
彼女。そんなもの俺が勝てるわけない。それからはめろんは彼女優先になった。下校も彼女と帰るからと俺を置いて行った。いや、置いて行ったという表現は正しくない。俺が置いて行かせた。その時素直になったら変わっていたのだろうか。いや、変わっていないだろう。俺は一緒に帰ろと言うめろんを突き放した。
「彼女と帰りなよ。」
「え?いや、俺はぺろさんと…」
「彼女いるんでしょ?彼女優先にしないと」
そう俺は言っただろう。勿論本心じゃなかった。本当は一緒に帰りたいし、彼女なんて作らないでほしいし、女子と喋らないで欲しかった。けど、そんなの出来る立場じゃなかった。それに想いを伝えれなかった俺が悪い。勇気を出して想いを伝えた彼女の方が偉いのがわかっていたから、それが一番悔しくて仕方がなかった。
その彼女とは高校卒業を機に別れたらしい。
俺は安心した。やっと俺だけのものになると思っていた。
「別れた…」
「そっか」
俺らの会話はこれで終わった。
この後何か声を掛ければ変わっていたのだろうか。いや、変わっていないだろう。
大学に入ったが、めろんはやっぱり人気だった。サークルの飲み会では3、4年生に誘惑や連絡先交換をせがまれ、大変そうだったのを覚えている。俺は遠くから見ることしかできなかった。
二年生に上がった時だ。
「彼女できたわ。」
この言葉がまた出て来るなんて。
俺は絶望した。
「どんな人?」
「一つ下。可愛いよ」
胸が痛かった。俺とは正反対だ。
想いを伝えたいと言う気持ちと、この関係が終わってしまうと言う気持ちが入り混じり、ずっと言えていなかった。また先を越された。彼女さんの方が偉いじゃないか。俺は逃げてばかりで、この気持ちに向き合おうともしない。なんて、なんてみっともないのだろう。
その彼女とは大学四年生の春まで続いてたはずだ。別れた時にまだ少し冷たい海に連れて行ったことを覚えている。見たことない落ち込みようだったのだ。
俺が離れたらそう落ち込んでくれるのだろうか。
この問いは多分一生答えが出ない。
出そうとも思ってない。
それから社会人になっても関係は続いていた。会う機会は1ヶ月に1度ほどになってしまったが、やはり一番近くにいるいるのは俺だと思っていた。
だが、もう違うらしい。
「めろんが結婚か〜」
「一番にぺろに伝えるつもりだった..w」
「嬉しいこといってくれるじゃない」
嘘だ。やめてくれ。そんなこと、言わないで。
「友人スピーチやってよ」
「え〜?俺?」
「得意でしょ?」
「考えとくけど…」
断れるわけないだろ。心では辞めろと警報が鳴っているのに、口は警報を無視する。
「流石ぺろさ〜ん!今度彼女紹介するね」
「もう彼女じゃないでしょ?」
「そうだった..笑」
俺は昔から変わらないのだろう。
勇気がなくて、根性なしで、勝手に落ち込んで勝手に泣いて。もう、戻れない。
この想いが人前に出ることはもうない。
大好きな貴方の近くに入れれば、俺はもう何も望まない。数十年後、俺にもこんな時があったなと、苦い思い出として残らないように、そう思いたいばかりだ。
「私とめろんさんが出会ったのは高校時代でした。その時からめろんさんは〜〜ー-」
華やかな衣装で着飾る綺麗な女性の隣に貴方はいた。満面の笑みでこっちを見ており、どれだけ嬉しいのか。俺は失恋の気持ちをまだ整理出来ておらず、祝福と失恋で気持ちが入り交じっているのに。
「めろん今日かっこいいね〜w」
「茶化すなって!」
新婦服に包まれるあなたが格好よくて、
隣に立つのが俺だったらと何度思っただろう
「写真撮るよー!」
写真屋に勤めてる友達が一眼レフを構えていた。めろんは俺に近づき、肩を回した。慣れっこな行為だったが回された左手の薬指に指輪があることに気づいて、もう遅いのだと、取り返しのつかないことなのだと再認識した。
俺はしっかり笑えてるだろうか?
鼻がツンとし、涙を出したくないのにどんどん目の中が熱くなる。1回まばたきをしただけで頬に何本か涙粒の道ができて、俺の顔は多分、醜い。そんな俺を見てめろんは最初バカ笑いをした。
「おい、ぺろぉ!ww」
「なんだよぉ…」
「泣いてんの?w」
「だめ?、」
この涙は嬉し涙なのか悲し涙なのかそんなのはとっくにわかっている。自分が認めたくないだけで。親友の結婚を喜べないなんてクソ野郎だ。
「めろん..おめでとう…。」
「ふっ..wありがとう!…ッ」
「…めろんも泣いてんじゃん..w」
「ぺろさんが泣いたからでしょッ..」
二人で泣き笑いをした。
でも泣いている理由は全く違う。
その事が俺の中で、深く深く心に鋭く突き刺さっている。
おめでとう俺の親友。
おめでとう俺の初恋のひと。
失恋はいいぞ
喪失感のある物語だーいすき
コメント
2件
文才ですか?????
うわあ…これ、めっちゃ胸にくるっす…。 ずっと好きだった親友の結婚式でスピーチとか、写真撮影で肩組まれて指輪見ちゃうとこ、無理だよ…泣くよ。 「泣いてる理由が全く違う」って一文がズシンと来た。ぺろさんの気持ち、痛いほど伝わってきた…。 喪失感の描写、すごく丁寧で好きです。素敵な作品をありがとうございます。