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夏の逃避行
前後のお話全く関係ないです
すまブラ、ブラすま、どちらの解釈でも大丈夫です🫶
行ってらっしゃい
「それじゃあ今日の授業はここまで!!」
今日は午前授業だったため、10時頃には解散になった
起立、気をつけ、すまなーい!!
そんな元気な挨拶で皆はそれぞれの帰る相手を見つけ、それぞれの帰路についている
それを横目に、静かにパソコンの電源をつけた
すまない先生も、皆もいない静かな教室にはギラギラと暑く眩しい太陽が絶え間なくさし続けていた
軽く息を吐いてはパソコンから目を離し、その次に時計へと目をやると時計は昼前を指していた
「もうこんな時間ですか…」
お昼にしようかとパソコンを閉じては立ち上がる
椅子を引く音が静かな教室の沈黙を破ったような気がした
ただ煩く彷徨う蝉の群れが教室の窓からやけに目立って見えた
そんな事に気を取られていると後ろから扉を引く音によって意識が一気にそちらへ引き寄せられた
何らかの大量の資料を抱え、いつもの青く綺麗なジャケットは脱いでいる
そして額に汗で張り付いた髪を拭いながら冷房の効いた教室へと入ってきた
「あれ?まだ残ってたのかい?」
そう言いながら首を傾げ、教卓にその大量の資料を置く
「ええ、これから昼ご飯でも食べようかと…先生もどうです?」
「あ~…僕はまだ仕事が残ってるからなぁ…」
申し訳なさそうに笑うすまない先生に仕方が無いかと軽く息を吐く
「教師というのは忙しいものですね」
なんて当たり前のことを口にしては家から持ってきたコンビニ弁当を広げる
いつも水で済ませる自分にしてはだいぶとしっかりしている気がする
軽く手を合わせてはご飯を口に運んだ
それからどのくらいの時間が過ぎただろうか
特にすまない先生と話す事もなく、ただひたすら食べ続けていた
すまない先生はと言うと、朝のいつもの騒がしさはどこにもなくただ大人の横顔で真剣にパソコンと睨めっこをしていた
空になったコンビニ弁当に蓋をして、再度パソコンを開こうとすると、突然すまない先生は大きく伸びをして欠伸をひとつ
そのまま教卓に伏せたかと思えば静かに一言だけを発した
「疲れた」
その言葉は仕事に疲れたなどの簡単な事ではなく、どこか意味がありそうだった
そしてゆっくりと顔を上げるとどこまでも青く広がるその瞳がやけに深く沈んでいて今にも小さな雫が溢れ出しそうだった
その表情はまるで人生という長い旅に疲れきった人の表情だった
「ねぇ、ブラック、僕さ」
そこまで言うとすまない先生は口を噤んだ
今にも「やっぱりなんでもない」と言いそうな口だった
その言葉が発せられるよりも前に、自分のパソコンを勢いよく閉じては立ち上がってすまない先生の手を握る
微かに震えているその手は真夏なのにとても冷たいように感じた
「遠くまで逃げましょうか、逃避行ってやつです」
とても驚いた顔をしているすまない先生だったがすぐに泣きそうな顔だがそれでも笑顔で「うんっ!」とまるで小さな子供のように頷いた
財布とスマホだけを持って逃げ出した
狭かった世界は広すぎてどこか落ち着かない
それでもこの人とただ笑顔で走っているだけの時間は本当に楽しかった
何もない公園で休憩をして、線路の上を走って、その頃にはすまない先生の微かに震えていた手は先程よりもずっと暖かくなっていた
すまない先生のために走り出したこの小さな逃避行はいつしか自分のためにもなっていた
とても楽しくて、この人とならどこへだって行けそうな気がする
そして最後にたどり着いたのは小さな丘上だった
木の隙間から差し込む光がとても暑くて首筋に雫が零れ落ちた
半日、走り続けたのに何も辛くはなく、ただ何もかも忘れてただの子供のように楽しかったという記憶だけが頭の中を飽和していた
「あ~、疲れた!」
その言葉は昼に聞いた言葉と何ら変わらない
だが、それでもいつもより元気でとても活気が溢れていた
「ねぇ、ブラック」
そう呼ばれては改めてすまない先生に目を合わせる
自分よりも遥かに背の高いその人はとても儚く、今にも消えてしまいそうだった
「ありがとう」
笑顔で告げるその表情はとても穏やかで夕日をバックに灰色と水色の髪が綺麗に揺れた
そして暑さで少し赤くなった頬を伝う一雫の涙は夕日に反射してキラキラと光っていた
こんな日もたまにはいい
なんて思いながらすまないスクールへと帰る足取りはとても軽くなっていた
おかえりなさい🫶
夏を先取りしちゃいましたね😇
今回は1906文字でした🫶
それじゃあ
コメント
2件

あぁ〜!すまブラ好き〜! 見事刺さりました。