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「ボビー、寒いんだけど」
「冬やからな」
「はー、さむさむ」
「お前上着に雪付いとるやんけ。払ってから入れや」
へーい、と言いながらニキが玄関で上着を脱ぎ雪を手で払う。ぱらぱらと落ちた雪は温かい中の空気で直ぐに溶けた。
「ほら、掛けとくから貸しな」
「へーい」
「あと、コーヒーしかないけど大丈夫やったよな?」
「うん」
「おま、よく見たら髪も濡れとるやんけ!だああっ、ちょっとタオルとドライヤー持ってくるから飲んで待っとけよ!」
バタバタと洗面所に向かうしろせんせーの後ろ姿を見ながら、ニキは炬燵にあたりコーヒーをすすった。
ぼんやりとしていると視界が突然白くなった。
「とりあえずタオルで拭いとけよ」
そう言われて髪を拭いていると、いつもよりだいぶ静かなニキを訝しげな様子で見るしろせんせー。
「なんやニキ、今日調子悪いんか?あれだったら今日の撮影、次でもええけど」
「ボビー、なんかオカンみたいだね」
「はああああ?」
誰がお前のオカンやねん!と突っ込みが入った。
「だってさ!至れり尽くせりだしさ!こんなん、オカンか好きな人にしかしないじゃん?!」
「だからってオカンは無いだろ!」
「じゃあ……オトン?」
「なんっでやねん!!」
渾身のツッコミが入って、ニキは声を出して笑った。
「ごめんってボビー。あんまり世話焼いてくれるからさ」
「そりゃあ、嫌いな奴にはこんなにせんよ」
そう言いながらドライヤーの準備をするしろせんせーを見て、ニキは「え」と言った。
その表情を見たしろせんせーは、徐々にニヤニヤとし始めた。
「あらあら、ニキくん。ずいぶん可愛らしいお顔してますねぇ」
「……うるさい」
「ニキはこういうの弱いんやな、いい事知ったわ」
「うっさい!」
徐々に赤らむ頬を隠すようにニキは顔を背けた。
それがなんだか可愛らしくて、しろせんせーはクスクスと笑った。