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綴り部同盟、一ページ目、人魚姫―
魔女は人魚姫に恋をした
遠い深い海での話―
海の底には人魚の王国がありました。
その国には人魚では人間でもない美しい紫の髪の魔女の一族がいました。
魔女の一族は女児しか生まれません、
なので王家から一人、男児を婿に貰い
その代わり魔女は王家の繁栄のために仕えてきました。
…しかし
ある時産まれるはずのない男児が、
魔女の一族に産まれました。
本来生まれるはずのない子、魔女の一族のだれしもがその存在を疎みました。
しかし、誰もその子を殺すことはできませんでした
その子の母親は誰もが恐れ敬う大魔女だったからです。
そのため彼は命を失うことはなかったものの存在を隠され、女の子のふりをして生きてきました。
ただ唯一の後ろ盾である母は忙しく、ほかの魔女は彼を嫌っていたため彼はいつも一人きり、孤独な日々を過ごしました。
しかしある日、孤独に耐えかねた少年はこっそり家から抜け出しました。
始めてみる町は賑やかで、初めて見るものがたくさん、
いろんなものに目をとられていたので少年は走っていた少女にぶつかってしまいました
「わっ…お兄さんごめんね!大丈夫???」
「う…うん大丈夫だよ…」
するとふと遠くから
「――どこですかー!」
「いけない!隠れないと」
「えっ!」
「…君も家を抜け出してきたの…?」
「うん…君もってことはお兄さんも…?」
「そうなんだ」
「じゃあ一緒に隠れながら遊ぼう!」
二人はあっという間に仲良くなり毎日のように家から抜け出しては遊びに行くようになりました
しかしある日
「ねぇ!今日お祭りがあるの!行ってみない?」
いつもは一目につかないところで遊んでいた少女と少年でしたがこの日はお祭りに遊びにいきました
「わぁ!凄い!」
「初めてくるの?」
「うん、君と会ったあの日まで家から出たことなくって…」
「そうなんだ!じゃあ私が案内するね!」
二人は祭りを楽しんでいました
しかし
「次はあっちに…あ…」
「…?…どうしたの?」
「見つかっちゃう!逃げない「姫様!」
「…姫様…?」
がもー🌐🌏(元霰)
119
#オリジナル
ゆいらーめん
453
#シリアス
冬葵
27
「お…お兄さん逃げるよ!!!」
「う…うん!」
「待ちなさい!」
「…え?…叔母様?」
「なんであんたが外に出て…しかも末の姫様といるのよ!!!」
少女は人魚の国のお姫様でした、二人はつかまってしまい家に連れ戻されました。
それから少年は幾度か家を抜け出しましたが少女と会うことはできませんでした。
それから数年の月日が流れました、
少年が青年になったころ、一族の仕事をあたえられていました。
魔女の一族の本業は王家に仕えること、ですがもう一つ秘密の仕事がありました。
町を出て奇妙な海の植物が生えた不気味な森の奥にある家、そこで叶わぬ願いを抱くものを待ち、その願いをかなえる。
ただし、大きな対価を要求する。
一族の誰もが拒むその仕事を母と一緒に青年はすることになりました。
「いいかい、坊や」
「この仕事をするうえで忘れてはいけない大切なことがある、それは取引を持ち掛けたものの差し出す対価が取引を受けたものの払う対価より大きいこと、つまり私たちは依頼人が求める結果以上の価値があるものを要求しなくてはならないのです。いまは王族に使える身ではありますが私たちの本質はだますことなのだから。」
青年は母の教えの元多くの魔術を身に着けました、一族で最も優れた魔女の息子が最も優れた魔女の教えを受けるのですから彼の魔術は本当に素晴らしいものでした、
数年がたち教えることがなくなり青年一人でこの仕事をやっていけるようになったころ、王国のお姫様は15歳となり、いままでお姉さまとおばあ様から話を聞くことしかできず、ずっとあこがれていた地上を見ることを許されました。
そこで、助けた人間の王子に一目ぼれをします。
それからというもの頭の中は王子様の事でいっぱいです。
「おばあ様、人はおぼれさえしなければ私たちのようには死なないのでしょうか」
「いいや、人も死ぬのだよ、そして私たちの人生よりもうんと短いのです。私たちは300年もいきれるのですからね、その代わり私たちはこの一生が終われば海の泡となります。しかし人には滅ぶことない永遠の魂があるのですよ」
「私たちが魂を手に入れることはできないのでしょうか?」
「そんな事を考えるのはよしなさい、たとえ永遠の魂があり幾星霜も生まれ変われたとしても、どうせ記憶なんてないのだから意味もない、それなら300年を楽しく生きる方がいいのですよ」
「それに…だだ一つある魂を手に入れる方法は不可能のようなもの」
「…その方法を教えてください」
「…人間のうち誰かに心から愛してもらうこと、そうすればその人から魂を分けてもらうことができるのだよ、けれどそんなことは起こることは無いのさ、私たちのこの美しい魚の尻尾も陸では醜いのです」
しかしお姫様はどうしても王子様の事、そして魂へのあこがれを忘れることができませんでした。
そして…お姫様は町外れのに住むという願いをかなえてくれる魔女と取引をしようと決意しました。
「…魔女様は…いらっしゃいますか…?」
フードを深くかぶりなおした、
あぁ…彼女が来る前に使い魔からの報告があってよかった
お姫様がこちらに来るのを使い魔から聞いた時、青年はひどく驚いた。
…噂には聞いていた…姫が人の王子に恋をしたことを…
彼女は覚えているのだろうか、自分の事を
大きくなってやっと気づいた恋心、もう会うことは無いと思ってた君と再会できる
なのに…こんな形なんて…
…いいや、自分は仕事を果たさなくてはいけない
今はあの時の少年と少女ではない、魔女と姫なのだ
「いらっしゃい、お姫さん」
「…願いをかなえてくれると聞きました…どうか私を人にしてください」
「いいだろう、しかしそれ相応の代償が必要だ、そうだなぁ…お姫さんのその美しい声をいただこう」
「声を…ですか…?」
「あぁ、そしてその美しい尾をすて足を得て人になれたとしても歩くたびに剣が突き刺さるような激痛を伴うだろう、…それでも人になりたいと願うのかい?」
「…はい、それであの人のそばにいられるのであれば…」
「…そんなにも…人間の男が気に入ったのかい…?」
「えぇ…笑われてしまうかもしれないけど、初恋の人にそっくりなの」
「…そうかい」
今にもあふれ出そうな気持ちを抑え込み魔女は薬を渡した
「いいかい?もしも王子から愛されなければ…あんたは海の泡になって消えるのだよ?」
「えぇ…いいのです、ありがとう魔女様」
「…うまくやりなよ」
姫が去ったのを見送った後、魔女は…いいえ青年は泣き出してしまいました
ずっと好きだった人、やっと会えたのに自分に気づかず、別の男を好きになっていた。誰よりも美しいその足も尻尾も失ってしまうのに、もしも愛されなければ海の泡となり消えてしまうのに、それでもまっすぐな、あの頃のまなざしのままそれを選んだ。引き留めることすらもできなかった。
どうか、彼女が幸せになれますように
…しかしその祈りも虚しく砕けた
王子は別の女性と結婚することになったのだ
あぁ…彼女は死んでしまう、海の泡となり死んでしまう!
そんなとき
「魔女様はいらっしゃいますか!?」
…誰より美しく優しい彼女の死を変えたいと願うものは魔女だけではなかった
姫の姉たちが姫を助けるため助けを求めに来た
魔女は姉たちの美しい髪を代償に短剣を渡した、この剣で王子の胸を突けば姫は海の泡とならず人魚に戻るだろうと
「あぁ王子様、わたしはあなたを殺すことはできない」
そういい王子の額に口づけをした後、姫は短剣を海に投げ捨てた
姫が去った王子の部屋に魔女は現れた
「…わかっていたよ君が彼を殺すことができないのは…」
「ならば僕が…ッ!…君のために…君の愛したものを殺そう…たとえそれが…君の望むことに反しているとしても…」
姫が捨てたはずの短剣を手に魔女は王子に近づいた
王子の胸をめがけ短剣を振りあげて―
…その時月の光が射しこんだ…暗闇で見えなかった王子の顔が目に入った
王子の顔は…魔女の顔にそっくりだった…
その時思い出した
姫の言葉を、初恋の人にそっくりなのだと微笑んだあの顔を…
「…そうか…君は…」
もうすぐ日が昇る、時間が近づいてくる
魔女は自分の胸にナイフを突き刺した
とても幸せそうな顔をして海へ落ちていった
「海の泡になるのは…僕で良い…」
「あの子は…どうしてるのかな…」
そんなの考えたってもう無駄だ、こころから愛した人は答えてくれなかった、永遠の魂は得られなかったもう泡となり消えるのだ
いつしか視界は暗くなった
「いいや…まだ消えないよ」
「え?」
確かに光を失った視界がまた光をつかむ
「やぁ人魚の王国の末子のお姫様、僕たちは空気の精」
「君を迎えに来たよ」
「私は…海の泡となり消えるのでは…?」
「ん~それが特例でね!」
「君たちは僕たちと徳をつめば神に認められ魂を得ることを許されたんだ!」
「魔女が自らを犠牲にするだなんて…だめね…」
大魔女はつぶやいた
「それは君の息子に行ってるのかい?それとも自分に向けて?」
誰もが恐れ敬う大魔女は今、空気の精霊たちと取引をしていた
「せっかくの永遠の魂を手放してまで僕たちと取引するなんて」
「しかも息子だけじゃなくて息子の思い人まで助けようとするんだもんね!」
「魔女のくせに不思議だね!」
「はぁ…精霊ってのはホント一言も二言も余分なこと言うね…」
「でも怖い怖い大魔女様らしくないじゃんね!」
「そうそう!」
「私は…確かに大魔女だ…私に魔術で勝てる奴はいない」
「…だけど母親としてはダメだった…あの子を守るために自分の地位を力を誇示するために必死に働いたさ、それがあの子を守るためになると思って、…だけど…それはあの子を孤独にすることだった…」
「…最後くらい母親らしいこと…しなくちゃね…」
「…そうかい」
「とりあえず安心しな僕らと一緒に徳を積めば神様から認められる」
「そうすれば永遠の魂をもらい人として生まられる」
「じゃあね人との愛を実らせたのに魂を捨てた愚か者」
【(いらないかもだけど)補足~】
・王子と魔女はそっくりだった、そして初恋の人とそっくりなのだと姫は言っていた、そう姫は魔女の事覚えていて好きだったのです
・せっかく永遠の魂を手に入れたのに手放した、愛を実らせたのに魂を捨てた愚か者、魔女の母は昔人と恋をした、そして愛され永遠の魂をえた、なのにそれを代償に息子と姫をたすけた、
ちなみに…書いてませんが母を愛した人間は人間の国の前国王…つまり王子のお父さん、そして前国王と大魔女の間に生まれたのが魔女君、つまり王子様と魔女君は異母兄弟だったんですね~、あと人間との間に子供を作ったことによりバグ?みたいな感じで男の子が生まれたのですね
ちなみに…
絵本だと省かれることが多いですが
・人魚姫は300年生きれるが魂がない、人間は短命だが魂がある
・人魚姫は亡くなった後、空気の精につれられ、精から私たちと徳を積むことで魂を貰えると言われた
ってのは原作にあったのです
私はこれを書くため原作(アンデルセン童話集翻訳)を読み直しました
コメント
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おお…すごかったです…最後まで一気に読んじゃいました。 タイトルの意味が、全部読み終わった後に重くて切なくて胸に刺さりました。魔女くんがずっと姫のこと好きだったのに、姫の初恋の相手が魔女くんだったっていう補足読んで、もう一回読み返したくなりました。 お母さんも人間を愛して魂を手放してたんですね…親子で同じ選択をする切なさ。 「海の泡になるのは僕で良い」って台詞が本当に忘れられないです。