テラーノベル
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最近、ご飯が美味しくない。
何を食べても味がしない。口から伝わってくるのはその食材独特の食感だけで少し気持ち悪い。いつからか、ウィダインゼリーや栄養ドリンクだけで食事を済ませるようになった。
「今日なんか予定あったっけ…」
丁度時計が4の針をさした夕方頃、今日の予定が無かったことを思い出す。せっかくの休日を今からでも充実させたいため、今から何をしようかと思考を巡らせていたところ、机の上のスマホが振動する。いつものメッセージアプリからの通知は、大好きな親友であり、相棒である明那からのものだった。
『ふわっち起きてる〜?』
『今日遊びたい!』
なんとも素晴らしいタイミングの誘いにに心踊らせ、すぐさま承諾の返信を送る。少しどんよりとした天候なため、自分の家でどうかと誘うと、もちろんという返事と共に、もう1人の親友は誘ったものの予定があるため一緒に遊べないと言う知らせもあった。
元々綺麗な部屋を気持ち整えて、お菓子やらゲームやらを準備して彼を待つ。
原因不明の味覚障害であるから、お菓子は明那が食べてくれればいい。だが、これがなにか深刻な病気ではないことは確かである。少し昔、自分の兄も同じようなことを言っていたという記憶があるので、きっと遺伝的な問題であろうと、この話は頭の片隅に片付けておいた。
暫くしないうちに、インターホンがなる
待ち遠しかったドアを開ける瞬間が、自然と口角を上げてくる。
『ふわっち!』
「あきにゃー!」
『いろいろいっぱい買ってきちゃった!』
「も〜気使わんでって言ってるのに〜」
『おれが買いたいからいいの!』
「ンなぁありがと!」
いつも通り優しい明那に感謝を述べつつ、リビングへ誘導する。先に用意しておいたお菓子のラインナップを気に入ってくれたようで、持ち前の尊顔であまりにも可愛い喜びの表情を見せてくれた。
もうここが彼にとって第2の家といえるほどには遊びに来てくれている俺の家で明那は、いつものように遠慮することなく荷物を置きソファに腰掛ける。それを横目にお酒の準備を進める。
『おっ、バーテンダーふわっちきゃ〜!』
「にゃはは、今日は何に致しましょうか?姫」
『ふわっちホスト混ざってる笑』
『まぁ…じゃあマスターいつもので』
「仰せのままに、姫」
きゃーホストふわっちかっこいい〜なんて声を聞きながら、缶を開けてグラスに注ぐだけの作業をする。まだ少し肌寒さが残っているものの、段々と春の優しいあたたかさが近づいてくる気がするこの季節では、少し洒落じみた形のグラスの中の氷が溶けることなく綺麗に形を保ってくれるので丁度いい。
コロンと音を立てた2つのグラスを机まで運び、自分もソファに沈む。
明那の方に目をやると、目の前の魅力的な食べ物達に目を輝かせている。
「とりま、乾杯しますか」
『いぇーいふわっちかんぱーい!』
カンと高く上品な音が部屋に響く。2人だけの、幸せな時間がスタートする合図。
そして相変わらず味のしない食物に首を傾げると、幸せそうにほっぺたをお菓子で膨らませている明那がその手を止め、どこか心配そうにこちらを伺ってきた。
『ふわっちどしたん?』
「んー、明那」
『うん?』
「このお酒なんの味する?」
『えっうそいつもと味違う?』
「んやぁ、そういうわけじゃナイヨッ」
『うーん?お酒味』
「たしかに笑」
「最近味せんのよなぁ〜」
さり気なく味覚障害であることを伝えてみる。
サラッと言えば、真に受けず受け流してくれるだろうと思ったからだ。
『味しないん?』
「そ、全部味しない」
『食べ物全般?』
「そやねぇ」
そっかぁ、なんでやろ〜と考える仕草をする明那が可愛い。しかし、思っていたよりも真剣に悩ませてしまって申し訳なさがある。暫くするとなにか閃いたようで、冷蔵庫から何かを取り出しこちらにそれを差し出してきた。
「ケーキ?」
『そ!これなら味するんじゃない!』
「ケーキは試してないからワンチャン」
『ふわっち先選んでいいよ』
「んや、明那先選び」
『いいん?じゃあこれ』
恐らくこれも無味だろうから、食べる気になれず手に取ったフォークをもう一度皿に置き、明那の方に目をやる。
頂点が低くもちもちのほっぺたが可愛い。
いつの間にか、ちいさな口のよこに控えめにクリームを付けていた
「あきにゃ」
『ん?』
「クリームついてる」
『えっまじどこ?』
「おれがとったげる!」
人差し指で綺麗にとって、それを自分の口に運ぶ。それが恥ずかしかったのか、少し顔を赤くする明那。というか、なぜか……ほんの少し甘い、?
『ふ、ふわっち恥ずかしいよ!』
「んーー?」
『え、なに』
「なんか甘いぞ明那!」
『え!まじで!!』
久しぶりに感じる味覚に興奮し、すかさず自分のケーキをひとくち食べる。しかし先程の甘味はなかった
『え、ふわっち甘い?』
「甘く〜、、ない!」
『えぇぇ〜?どういう事なん!』
「一旦意味不明か。」
いっそう謎を増した自分の味覚への不思議感は、楽しい時間とともに薄められていった
程よく酔いがまわった20時頃
『ふわっち〜』
「ん〜?」
『んふふ』
「なぁに〜あきにゃぁ〜」
「今日泊まってきなよ〜」
『え〜そうする〜』
お互いに蕩けてしまっている脳で会話を続ける。
眠気に負けてしまいそうになったので、風呂を沸かすことにした。
『てか味覚はどうなったんふわっち〜』
「まじで無味やね」
『無味かぁ〜』
『さっき甘かったのは何やろね〜?』
「うーん……あきにゃかも」
『えへ、おれ?』
「食べちゃうぞー?」
そろそろ何も考えられなくなってしまった自分の頭にされるがままの俺は、何故か美味しそうにみえた明那の首筋に吸い付いた
「んむ……」
『え、ち、ちょふわっち?』
「めっっちゃあまい」
甘い、甘みがする。突然の行動に硬直してしまった彼に構わず、痛くないように歯を立て、吸い付いたりする。先程の甘みの原因は明那だったようだ。
「チュ…」
『……っ、ふわっち、擽ったいよぉ』
もう少しの間吸い付いていると、色っぽい声が聞こえてくる
『ち、ちょっとまって……』
肩を捕まれ、優しく離される
「なぁに?明那」
『い、いや』
「嫌?」
『嫌じゃないけどさぁ…』
「にゃは、甘いわ、明那」
『そ、そっかぁ』
もう一度名前を呼ぼうとした時、お風呂が湧いたメロディが聞こえてきた
『あ、えっとー、おれお風呂入ってこよっかな!』
「んじゃおれも」
「一緒に入ろ」
『一緒に、?』
困惑の表情を浮かべる明那を風呂場まで促す
「あったかいねぇ〜あきにゃ」
『う、うん』
「狭くない?」
『大丈夫だけどぉ……』
「明那今日ずっといい匂いやねぇ」
『そ、そお〜?』
先程のことが余程衝撃だったことと、浴槽の広さの関係上俺の体にすっぽり収まる形で浸かっている今の状況から、彼の話す言葉にに少し照れがみえる。
『え、てか俺甘いってどういう事なん??』
「なんか甘いんだよねアキナ」
『それってさ』
『おれケーキなんじゃない?』
「流石にか」
『流石に笑笑』
「じゃあおれフォークやな」
『え絶対そういうことじゃん!!』
最終的に俺たちの行き着いた答えは、おれがフォークで明那がケーキということ。
そうでなければ辻褄が合わないので確定だろう
「アキナ、こっち向いて?」
『ん?』
大きな瞳がこちらに向く。可愛いなぁ、相変わらず幼い顔。
「ちゅ」
『んふ、ふわっちぃ〜』
「明那口開けて?」
『あぇ、、んむっ』
「もう逃がさんで。」
この先は想像におまかせしてもいいですか、、
皆さんならできますよ!
コメント
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わらやま、さん、こんにちは〜!第1話読了しました🥀 なにこれ……めっちゃ甘い……けどちょっと不穏な空気もあって、すごく好きです。 ふわっちの味覚障害、原因不明ってところが気になる。そして明那にだけ甘みを感じるって、もう完全に「君じゃなきゃダメだ」ってやつじゃないですか……普通にズルい描写でした。 お風呂シーンでの「フォークとケーキ」のたとえ、好きだなあ。それで口づけして「もう逃がさん」って……1話目から飛ばしてくるね! これは続きが気になる……大切に読みます🌙
#メッシャーズ