慧side
『 さーて…、どうしようかな…。 』
誰も居ない部屋で一人声を漏らす。
いつもならカエデが帰ってくる時間だけど、今日はなかなか帰ってこない。
挙句の果てに、連絡もつかないとなった。
『( 料理でも作っておこうかな…。 )』
少しでも不安を紛らわす為に料理をしようかと思ったが、火がつかないことに気がついた。
『 噓!?故障かなぁ? 』
家のコンロはIHクッキングヒーターだからガス漏れではないし、となると故障しかない。
流石に料理が出来ないとなると、カエデも私も困るので、私は修理会社に連絡をした。
否、しようとした。
繋がらないのだ。
カエデといい修理会社といい、誰一人と連絡が取れない。
ここで元クラスメイト、不破優月ちゃんに聞いた話を思い出した。
不破ちゃんは少年漫画好きなため、ファンタジーのような話はよく聞かされていた。
その話の内容はこうだ。
とある世界に、一人の少年がいた。
その少年は朝起きて学校に行って寝て…と、いわゆる普通の生活をしていた。
だが、ある日彼は家族と連絡が取れなくなってしまった。
家族だけではない。友人や警察など、全ての人物と連絡が取れないのだ。
不思議に思った少年は外に出た。
そこは人通りが多い場所なのに、誰も居なかった。
そこから街を探索するが、人がいる様子は無し…。
という話だ。
それが実話になっているならなかなかの恐怖だろう。
それを確認するためにも、私は一度外に出てみることにした。