人間という生き物には、一つや二つ願いがあるのではないだろうか。
今から俺の願いを話そうと思う。
幼馴染にまた会う。そして前みたいに話す。
その幼馴染は顔も、性格も良くて、優しくて、しかも頭も良くて、みんな仲良くしたがるような性格。
でも、君の仲間の中に俺がいることを忘れず、俺と仲良くしてくれる。
会ったらいつも「おはよう」と話しかけてくれる。
どんなに他の人が俺を嫌ったって、避けたって、君は「俺の親友だから」って言って俺に話しかける。
俺に特別な良いところが無くても、もうとっくに友達。
『仲良くしたい』。その気持ちだけで1番の親友。
いつでも一緒。どんなに虐められたって、一人じゃ無い。
そんな君と喧嘩したまま引っ越した後、ずっと願い続けていた夢。
再会したい。仲直りしたい。また仲良くしたい。
今の俺自身の気持ちは分からない。親友でいたいのか、友達でいいのか、好きなのか。
再会して、仲直りする。また仲良くする。そんな夢が叶ってほしいと願っている。
ーーでも、そんな奇跡は起きないと知っている。
今からするのは、俺と幼馴染の昔の話。
彼…と言ってしまうと大人に感じるかもしれないが、俺たちが12歳…小学6年生の頃の話だ。
彼の名前はチーノ。
個人の意見か分からないが、クラスの中で最も頭がよくて、顔も良くて、背も高くて、運動もできて、音楽とか美術も出来て、女子からモテていた…と思う。
声変わりもしていて、低い声がカッコよくて、俺は好きだったのかもしれない。
それに対して、俺は何もできなくて変わっていた。
そんな俺に話しかけてくれた君。
見逃さないで話しかけてくれて、仲良くしてくれた。
何でも出来る君の1番の友達は何もできない俺。
中1になる時、君は引っ越した。
俺にだけ引っ越しのことを話してくれなかった。
本人曰く、俺に心配をかけたくなかったそう。
でも俺は、その事実を受け止めきれなくて、結局喧嘩したまま別れた。
それから8年。
俺は20歳。きっとチーノも20歳だろう。
中学の時とは俺は変わった。
アイツに簡単に会うには優秀になるしかない。
そう考えた。
高校は、中学の内申点が悪かったが、受験の点数がとてもよかったため、日本全国でも有名な名門校に進むことができた。
大学も、近くでは無く、わざわざ遠くまで、それもチーノの引っ越した県の中で最も頭のいい学校に入った。
大学に行く友達は、みんな夢がある。
俺は夢なんてない。仕事だって、成り行きで取ればいいだろう。
水商売だって何だってやる。
でも、高校も、大学も名門校。
だからきっと何とかなる。
ちゃんとした、稼げる仕事を取れるだろう。
そう自分に言い聞かせ、進む。
進む、進む…。
『何のために努力してるん?』
『8年間も会っていない人にそこまで努力するの?』
『自分のために努力しなよ』
『夢がないんだね』
『そこまでして会おうなんてバカじゃんw現実見なよw』
どんなに悪口を言われたって進んだ。
だって俺はそんなのでへこまない。
へこんでられない。
ある日、電車に乗る。
ぎゅうぎゅうで死にそうだ。
ふと隣を走る電車を見る。
今日もいないよな…というかこんな所で会えるわけないよな。
今日は8時ごろに家を出たから、通勤ラッシュの時間帯だ。
押しつぶされそうになる。
ガタッ
電車が揺れて倒れそうになってしまう。
斜め前に立っていた人にぶつかってしまった。
「大丈夫ですか?」
何億回も聞いた、低くてかっこいい声。
何億回も見た、橙色で真っ直ぐな瞳。
確証は持てなかった。
怖かった。
乙女漫画じゃないし。
こんな上手くいくわけないし。
そんな、再会なんてできる訳ないし。
願いが叶ってハッピーエンド?そんな未来は俺にはない。
俺はただ、人混みの中、小声で言った。
「ありがとうございます。ごめんなさい。」
「ふふ、許したる」
「久しぶり、」
『ショッピ』
その瞬間、世界がひっくりがえったかと思った。
やっぱり、彼のことが好きだった。
ずっと会って無くたって
コメント
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