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「ふろでかー!」
先に入って行ったウェンとカゲツの声が聞こえる。中からは走るなと注意するリトの声や何故か慌てふためくイッテツの声と笑っているマナとライの声が聞こえる。そんな声を聞いてムズムズしているのか先に服を脱ぎ終わっている小柳くんが早くしろと言わんばかりにこちらを見てくる。食事の時邪魔で強く結んでいた髪を解く。思っていたよりも髪が絡まってしまっており櫛で解いているとさらに早くしてほしそうにしてきた。一人で行けばと言えばそれは違うからと言われる。何が違うのかはよく分からない。まぁそれが小柳くんの魅力だ。どんなに自分が待たされようが時間をかけようか待ってくれる。でも待つ代わりに早くしろと言ってくるので急いで服を脱ぐ。シャンプーは持参したい派なので少量入れたケースを持ち大浴場へと入る。時間も時間なのもあり実質貸切状態と化した此処は自由気ままだった。みんなからはある程度距離があり、でも近しい場所に座り頭を洗う。小柳くんも隣に座ってきた。シャンプーの途中、勝手にシャンプーを使われて怒りそうになったが俺も今日は小柳くんの香水を無断で使用したので何も言えない。髪が長い分時間がかかってしまい小柳くんをまた待たせる羽目になってしまった。軽く謝罪をして髪を上で括りみんなのいる湯へ向かう。
「俺電気風呂入ってみたい!」
イッテツがそういうとリトが
「じゃお前俺と勝負な?」
と言い電気風呂のある所へ向かう。監督?としてマナとウェンも行く。よーいスタート!とウェンが言うと電気の流れている湯へふたりが同時に入る。
「イッテェェ!!?」
イッテツの風呂だけ電気が強かったのかリトが強いのかイッテツだけが痛がっている。なんならリトはそれを見て笑っているくらいだ。バケモンすぎだろ、とライが軽く呟いた。もっともっと強くするよー!と悪魔的セリフを言うウェンにマナが吹き出す。
「あいつ悪魔すぎ」 「向こう変なやつしかいねーな」
カゲツも変なツボにハマったのか笑っている。ふと小柳くんの方を見るとタオルまみれになっていた。なんで?と思い先程のことを思い出す。そういえばウェン達向こう行く時にタオル投げてたな、と思い出す。それが全部当たったのか。それに気がついたライが「え、なんでお前タオルそんなあんの」と言い経緯を話すと爆笑していた。そして痛みに耐えられなかったイッテツが出てくる。イッテツが出たのでリトも湯から出てきた。イッテツがリトの入っていた湯へ入ると電気が弱かったらしく
「おめーこれよえーじゃねーか!!」
とバチギレていた。それを聞き「おま、ふざけんな!」とウェンが爆笑していた。マナは腹痛いと笑いながらこちらへ帰ってくると小柳くんの頭にあるタオルをひとつ取り自分の頭に乗せる。
続いて笑いながらウェン達もこちらへ戻ってくる。3人ともタオルを取ると頭に乗せる。ウェンは何故か湯に入らずタオルを広げている。上がるのかと思いきや睡蓮花を踊り出した。瞬間にみんなが笑い出す。俺はこの曲は元々知らなかったがマナ達がカラオケで歌っていたので覚えていた。本当にウェンはこの曲がうまい。みんなが爆笑している時にウェンは湯へ入ってきた。暫くツボから抜け出せずにいたマナに笑いすぎじゃない?とツッコミが入る。確かに面白かった。ぜひ想像してみてほしい。真裸の男がいきなり目の前で睡蓮花、字面だけでもう面白い。それにちゃんと歌詞通りだ
風呂を上がるとみんながひとつの部屋に集合した。マナとライの部屋で2人らしく綺麗清潔な状態だった。リトとイッテツの部屋は何故かもう散らかっているらしく「綺麗すぎね!?」と謎に驚いていた。少し関係ないことにはなるがみんな袴姿が似合っている。この和風の旅館にもあった雰囲気でカゲツなんかは特に似合っている。俺は自分に似合っているとは思わないが先程部屋に戻った時散々小柳くんからかわいいと言われた。
8人集まっても何もすることはない。布団は2つしか用意していないので6人が床に寝そべり話し出す。季節とは少し外れているかもしれないが残暑が続く季節には丁度いい怪談をしたり意味もなく恋バナをしたり。枕投げをしようとも思ったが障子だったり枕が足りなくてやめた。怪談と言っても王道の話ばかり。学校の七不思議、メリーさん、心霊スポット、身近で起きた事件など。夜も深くなりいい時間、ライの話が盛り上がった。昔、山に住んでいた友達の家で捨てたものが洗濯機に入っていたと言う。気づいたのは自分ではなく、家の周りにいた大量の野良猫。その日だけ異様に鳴いていたらしい。それから異変を感じ始めたと言う。その出来事から数週間後、制服へ着替えようと思いクローゼットに近づくとクローゼットからから嫌な気配がした。それでも気にせず近づくと…
「開けるな!!」
と、ライが自慢の演技で盛り上げる。イッテツはガチビビりしたようで短い叫び声を上げて縮こまってしまった。みんなが笑う。ライが笑いが収まると続けて話をする。
クローゼットを開けようと近づいた瞬間、その子のお父さんが「開けるな!」と叫んだ。お父さんは霊感があるらしく、悪い霊がいたとの事。その子は霊感がなくても何となく嫌な予感だけは察知していた。開けていたらどうなっていたのか
とここで話は終わった。ライも気を使ってくれたのか話を巻いてくれた。怖いね、とみんなが言う。
「ちょ怖すぎ、、違う話しよーぜ」
イッテツが恐る恐る言う。みんなで仕方ないと笑いながら恋バナに切り替える。恋バナ、と言ってもいつもと変わらない。散々学校で常日頃からイチャイチャしているのだから何もない。かと思えばみんな意外とあるらしい。例えば、ライはあんなイケイケなのに実は2人の時は甘えてくる、とか。下ネタが苦手なカゲツは実はテクニシャンだとか。強引そうなリトは実は強引じゃなければ控えめだという。俺は何かあるかと思い返してみても何もない。考えているうちにどんどん話はアッチの方向へ進んでいく。
「セックスをすると体があったまるってほんとだよ!!」
唐突にイッテツがそんなことを言うので吹き出してしまう。
「小柳とるべはなんかないの?」
そんなこと言われても特にない。小柳くんは家でも学校でもそのままだ。強いていえば格好良さは増すぐらいだ。
「ん〜〜〜、、まぁ、自分ができないことも積極的に手伝ってくれたりしてくれるのはカッコよくて好きかな」
パッと思いついたことを言うと
「なんだよ惚れ話じゃん」
と言われる。実際この位しか話がない。
ふと、誰かが
「お前らってどっちが告白した?好きなところ語り合お」
と言った。順番なんて無いがイッテツが1番に手を挙げたのでイッテツとリトの2人からになった。告白は意外とイッテツからみたいで1年からの付き合いだそうだ。2人とも普段は殴り合いをしがちだがお互いのことを思いあっている。不満としてはイッテツの寝相が悪すぎるのとリトのいびきがでかい事らしい。お互い初めて知る事実に爆笑していた。次にマナとライ。2人は学年は違うが小学校の時に家が近所だったこともありライが入学前から付き合っており新入生が来たと思えば一個上にずっと一緒にいるしタメ口でたまに命令もしていたのでビビったそうだ。ライはあんだけ日々惚れ話をしているのにまだあるそうだ。マナも引いていた。カゲツとウェンは普段から友達のように接しているのは2人きりの時も変わらないらしい。そういう事をするのはお互いの欲が溜まった時や嫉妬した時だけ。普段から双子のように同じことを考えているのは本人たちもよく分からないらしい。2人ともThe恋人という関係が苦手らしく今みたいな友達のような空気感が好きだと言う。みんなの話は面白かった。意外な事や内緒話がたくさんあって共感できることも沢山あった。しかし自分たちの番となると何も出てこない。先程も言ったが家でもなんも変わってないはず。強いていえば、
「小柳くんって料理本当に下手なんだよな〜」
「初めて料理一緒作った時卵焼き作ったけど味なかったし」
そんなことを思い出して言葉にすると小柳くんは驚き周りは爆笑していた。料理が得意なウェンからしたら意味がわからないし面白すぎる話だ。せっかく卵焼き用のフライパンを買ったのに味がなくて困惑した。
「でも最近は上手になってて味も普通にあるし。弁当のセンスは皆無だけど」
そういうとみんなが褒める。するとウェンが
「最近僕と練習してたもんね〜」
と言う。小柳くんが恥ずかしそうにしている。初めて知る事で俺のために頑張ってくれたのではないかと嬉しくなる。小柳くんから俺の話はないのかと聞けば考え始める。暫くすると思いついたように
「こいつ癖っ毛すぎるから寝起きの俺見て『髪サラサラでいいな〜頂戴』とか言って髪引きちぎろうとしたのは怖かった」
と言った。俺、そんなことした覚えないんですけど。虚言か?
「俺そんなことしてないと思うんだけど」
「前遅刻寸前の時に叩き起したら言ってきただろ。だからもう叩き起すのやめてるわけ」
と言ってきて妙に納得してしまった。寝ぼけと起こされたことによる不機嫌で言ったのだろう。嘘ですけど。そんなこと言ってないし。
そんな風に話していると気がついたら2時になっていた。イッテツがすごく眠そうに聞いていてカゲツに至っては寝ている。朝からまた観光に行くので今日はお開きにしようと各自部屋に戻る。笑い疲れ眠気が襲ってきたので部屋に戻るとすぐに寝てしまった。