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楽屋、出番前
ハルが後ろからタクヤに抱きついている。
ハル ( タクヤくーん、今日めっちゃいい匂いするー
タクヤ ( ちょ、ハル、離せって。暑苦しいわ
ハル ( えー、いいじゃないですか。減るもんじゃないし 笑笑
ハルはタクヤの肩に顎を乗せてる
タクヤ ( …たくっ、お前は距離が近すぎんだよ笑
ふと、視線を感じてタクヤが顔を上げる。
部屋の隅で、タカシがこっちを無言で見つめていた。
タカシ ( ………… )
目が合った瞬間、タカシの口角がわずかに上がる。
でも、目は全く笑っていない。
タクヤ ( ( ……あ、ヤバい )
背筋に冷たいものが走る。
ハルがさらに腕に力を込めて、タクヤの首元に鼻を寄せた。
ハル ( タクヤくん、今日終わったら飯行こう?
タクヤ ( あー、予定、空いてれば……
タカシ ( ………… )
タカシは何も言わず、ただゆっくりと、二人の方へ近づいてくる。
そして、タクヤの横を通り過ぎる時、耳元で低く呟いた。
タカシ ( 後で、ちょっと…ええな?
その声の冷たさに、タクヤの心臓が大きく跳ねた。
⸻
帰り道、夜。
人通りは完全に途絶えている 。
タカシ ( タクヤ、ちょっとええ?
タクヤ ( なに
タカシ ( こっち来て
強引に腕を引かれ、暗い壁際に押し込まれる。
タクヤ ( ちょ、…痛ぇよ、引っ張んなって
タカシ ( ええから。黙って付いてきて
逃げ道を塞ぐように、タカシが目の前に立った。
タクヤ ( …で、何だよ
タカシ ( 今日さ
タクヤ ( うん
タカシ ( ハルと楽しそうやったな
タクヤ ( …は? 普通だろ
タカシ ( 俺、反吐が出るほど嫌やった
タカシの手が、タクヤの細い首筋に伸びる。
そのまま、じわじわと指先に力が込められた。
タクヤ ( くっ、カシ…苦し…ッ
タカシ ( タクヤが誰にでも愛想振りまくから俺、頭おかしなりそうや
タクヤ ( そんなこと、…してねー、しッ
タカシ ( あるで。自覚ないんが一番タチ悪いわ
一歩近づき、さらに首を絞める手に力がこもる。
タクヤ ( んっ、く……
タカシ ( なあ。俺のこと、ちゃんと見てる? 脳みその中まで、俺だけで埋まってへんの?
タクヤ ( ……見てる、からツ
タカシ ( 足りひん。もっと見てほしい。俺だけを見て、俺の声だけ聞いて、俺のことだけ考えてや
タクヤ ( ( なんだよこれ…目、マジじゃん… ) )
タカシ ( 俺だけのタクヤにしたい。……壊してでも、閉じ込めておきたいわ )
タクヤ ( ……無理……だろ……っ
タカシ ( 無理でもええ。俺がそう決めたら、一生逃がさへんから
タクヤ ( タカシ苦しッ
トントンッ タクヤがタカシの背中を叩く
首を掴んでいた手が少しだけ緩み、そのまま熱い吐息が耳元にかかる。
タクヤ ( ほんと、近いって…
タカシ ( 逃げる? 今ならまだ逃げれるで
タクヤ ( …逃げねーよ
タカシ ( せやろな。タクヤも、こういうの嫌いじゃないもんな
腕を強く掴まれ、逃げ場を完全に奪われる。
タクヤ ( …なに
タカシ ( 逃がさへんため。…タクヤ、好きやで。愛してる。
タクヤ ( …っ、急に言うなって///
タクヤ ( ( 心臓うるさすぎ…ヤバい )
顔が熱く、視界が熱っぽく潤んでいく。
タカシ ( タクヤは? 返事は?
タクヤ ( …言わせんな
タカシ ( 言って
タクヤ ( …好き。…タカシだけだよ
かすれた声で、やっと絞り出す。
タカシ ( もう一回
タクヤ ( 言わねーよ!
タカシ ( 意地悪やな笑ほな、体で教えてもらうわ
タカシの顔が、唇が触れる寸前まで近づく。
タクヤ ( …ッ
タクヤ ( ( やばい……本気で食われる…… )
タカシ ( 逃げへんのやろ?
タクヤ ( …逃げねーよ )
タカシ ( かわいいなあ。ほんま、俺だけのタクヤにしたいわ 笑
タクヤ ( 重すぎ……
タカシ ( せやな。でも、一生このままやで
────
タカシの腕が、折れそうなほど強くタクヤを抱きしめる。
そのまま、誰にも邪魔されない暗闇の中へ、二人は深く沈んでいった。
彩っさん
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