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⚠注意⚠
注意書きは一話にあります。
チーノ:いってきま〜す!!!
朝食を終え、靴を履いて家を出た。外は肌寒いぐらいの冷たい風が吹いていた。この街はいつも変わらない。家があり、じいちゃん、ばあちゃんが『おはよー、元気やね』と声をかける。その声はいつだって柔らかい。
返事もそこそこにいつものあの場所に向かう。あそこになら彼がいるはずだ。
チーノ:トント〜ン!!!
トントン:お前、人を呼び出したくせに遅刻すんな〜!!
チーノ:あははは、ごめんごめん
トントン:んで?今日は何すんねん。今日、お前の誕生日やろ?
チーノ:じゃあ、かくれんぼしようや!!鬼はトントンな〜!!!
トントン:はぁ!?!
チーノ:ちゃんと一分数えてからやで?
そう吐き捨てて、走って逃げ出す。何か言っていたが、フル無視しておこう。
この村はそう広くない。しかし、隠れる場所は多い。頑張れば一日中隠れられる。
『鬼ごっこでもいいのでは?』と、思った人もいただろう。しかし、俺には喘息持ちで走り続ける鬼ごっこは出来ない。
そもそも俺がかくれんぼしようといったのは情報収集のためである。トントンには悪いが俺はお前も救わなきゃあかんねん。少しでも有利なものがほしいねん。これは今しか出来へんから。
あいつの家にやってきた。おっと、失礼。あいつというのは、この国の軍隊長兼総統、エビル軍隊長。こいつは国王と手を組み貧乏人に面倒事を押し付け、金は払わずこき使わせた。
そのせいで、父さんも母さんも…………
………少しでも、特のある話を聞ければいいのだが。なんせ、俺とトントンはかくれんぼをしている。そして鬼はトントン。あいつは何がなんでも絶対に見つけ出すから怖いねん。
あ、部屋に入ってきた。俺は外から小さな冊子から覗き込む。エビル軍隊長と国王のカルマ王。
一つ疑問を持つとするならば、エビル軍隊長はこの村出身であるということ。こんな僻地なのになぜこんな政策をするのか。
こんな場所だからこそ、より良い方向へと考えるのが普通なのではないか。俺の普通と彼らの普通が異なっているのならば仕方がないが…
エビル:いらっしゃいませ、カルマ王。
カルマ:いやいや、そんなにかしこまらないでくれ。早速本題に入ろうか。この間出した令はうまく行ったようじゃの?
エビル:はい。あなた様の助言があったからでございます。王様、件の話はお考え頂けましたか?
カルマ:う〜ん、次の働き次第だな。
エビル:次の働き次第というのは…?
カルマ:いまこの国は隣国との貿易で少々問題があってな?そろそろ向こうから戦争を仕掛けて来そうなのだ。今のままでは負けてしまうのが目に見えているのだ。
そこでだ。若者を集め、軍人とし、この国の軍事力を上げるのだ。その指示役として君にお願いしたいのだ。どうだ?悪い話ではないだろ?
カルマ王はニヤニヤと問いかける。悪い話ではないのは分かるが、『指示役』というのは「私(王)のやり方を皆に伝えよ」ということ。
つまり、あの地獄のようなメニューはエビル軍隊長の考えではなく、カルマ王の指示。そういえば、エビル軍隊長は気難しく、誰に対しても厳しい人だ。そんな中でも、たまに見せるあれは彼なりの優しさだったようだ。
王は腐っている。誰がなんと言おうが、俺はあいつに復讐をする。反逆者として殺されてもいい。みんなを助けれられるのであれば、罪人にだってなってやる。
数日後、トントンは姿を消した。