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「ちょっとてつや!こんな奴の口車に乗っても絶対ロクな事にならないわ!最後には見限られて捨てられるのがオチよ!それでもいいの!?」
おとねに対して自分の気持ちを宣言した俺に、しらべが怒号を浴びせた。
彼女は彼女なりに俺とあおいを心配してくれている。その気持ちを汲んだ上で俺は言った。
「しらべ、ありがとう。でも、もう決めたんだ。俺とあおいで。それに、あの人を完全に信用した訳じゃない。俺達なりにゆっくり時間をかけて見極めていくさ」
そう言いながらおとねの方を向くと
「あら、厳しいわね。ふふふ」
相変わらず全く感情のこもっていないセリフを吐いた。
そんなおとねを無視して、しらべが声を荒げる。
「ーーもういいわ!!勝手にしなさい!!」
今までで一番強い口調でそう言って、彼女は勢いよく楽屋を出て行った。
「……いいんですか?しらべは出て行きましたよ」
俺がそう言っておとねの方を見ると
「あの子があんな風に誰かの為に怒るなんてね。あなた達、期待してるわ」
おとねは赤いロングヘアを靡かせ、楽屋を後にした。
俺は台風とハリケーンと津波が同時にきていた様な状況からようやく解放され、思わず近くの椅子に座り込みながら気の抜けた声をあげる。
「だー!!疲れたーーー!!」
「はい。てつやちゃん、あおいちゃん、お疲れ様」
思いっきり伸びをして、スライムの様に椅子に全体重を預けていた俺の視界に、いつの間にやら消えていたMIUさんが水の入ったペットボトルをひょいと入れた。
「はい、あおいちゃんも」
「うわー!つめたいっ!ありがとー!」
MIUさんがあおいのほっぺにペットボトルを当てると、あおいは嬉しそうに受け取り、水を飲んだ。
「それにしても、大変な事になったわね。まさか冗談のつもりが、本当にプロデュースする事になっちゃうなんてね」
MIUさんは俺の隣の椅子に座り、自分の水が入った500mlペットボトルをゆっくり回しながら、そう言った。
「本当ですよ。でも、大変なのは俺じゃなくてあおいだと思うんで」
俺がそう言うとあおいもこっちを見て
「うちよおわからんけど、てつやと一緒なら頑張れる!だからワクワクしかないねん!」
そうキラキラとした笑顔で答えた。
「ワタシも、あなた達なら絶対にやれると信じてるわ。何か困った事があったら必ず連絡しなさい」
MIUさんはそう言って立ち上がると、楽屋を出て行った。
「さ、とりあえず最後の最後まで頑張りますか!」
俺は大きく伸びをして肩を回す。
「ん?もうライブ終わったやろ?なに頑張るん?」
不思議そうな顔をするあおいの手を引いて、俺は店長の堀江さんの元へ向かった。
「すいませーん!何か片付け手伝える事ありますかー!?」