鴻伊吹 プロフラにて
私は新しい琴音の住居こと、居酒屋兼インフラ基地のプロフラを琴音に案内していた。今さっき居酒屋の敷地を案内したところで、今からは彼女の部屋へと案内するつもりだ。
「見かけでもかなり内装は大きいと思っていましたがまさか、ここまでとは…。」
琴音は見事に言葉を失っていた。
「まぁ、外からは横の建物とかの兼ね合いでプロフラの全容は見えないからそう思うのも必然っちゃ必然かなぁ。」
私たちは廊下を歩いてゆく。通り過ぎる横の部屋には様々なプロフラのメンバーたちのものだ。琴音もこの規模の居酒屋に驚いてくれているようで何よりである。私はそう思いながら、ボーッと琴音の部屋へと歩いていたのだが。
「伊吹?伊吹?」
私の名前が連呼されるまで、琴音の声が聞こえなかった。いかんいかん、プロフラの一員であるものが、こんなにボーッとしてては。
「聞いてますか、伊吹?」
「う、おぉ、聞いてる聞いてる、んで何?」
「いやぁあの、ここは少人数制のインフラ基地だとは聞いているのですが、具体的に何人の人がここに住んでいるのでしょうか?」
「そうだねぇ、琴音も合わせるとなると現時点でひーふーみー、5人だね。」
「たった5人ですかぁ!?、ってことは私がくる前だったら4人でここを回していたってことになりますけど、、、やばいですね。」
琴音は私のことを心配そうな目で見てくる。
「嗚呼、そんな憐憫の眼差しでこちらをみないでおくれい、琴音ぇ。私は至って普通の生活してるから大丈夫だって!」
「そうですか?お話を聞く限りではこの居酒屋はかなり大きい、だからその分お客さんが入ってくる。それゆえにてっきり仕事量が増えて疲労困憊不可避かと思っていたんですけど..。」
「うぅうん、その逆だね。全然不憫な生活はしておりませんし、私に関して言えばちょいと皆んなよりも贅沢してるようなとこあるし、私は貧乏絶対やだからね。」
私は鼻高々に琴音にそう告げた。そして小声で、
「まぁ、さっきのコンビニの件もあるしね。」
「何か今言いました?」
「いやいやいや、なんでもないよ、まぁ取り敢えず琴音の部屋に行こう?」
そう言って強引にも琴音の話を打ち切って、琴音の部屋に入るのであった。
篠原琴音 プロフラ自室にて
「よっこらしょっと言うわけで、ここが新しい琴音の部屋になりまーす、どうぞお入りくださいぃ。」
伊吹は障子を開けて、入り口前で膝を立てながら、膝を掌をひらひらさせている。珍しい歓迎の仕方である。私は伊吹の行動に若干引き気味になりながら、私の新しい部屋へとお辞儀をして、足を踏み入れた。
「これから、お世話になります!」
「まぁもうその部屋は琴音の部屋だしテキトーに使ってもらっていいよぉ〜、布団はその襖の中にあるから取り出して使ってねぇ。それと今お風呂の準備万端だから、今のうちに入っておいで?、それからは大将のご飯が私たちを待ってるから。そんじゃ、風呂へレッツラゴー!!!」
伊吹はそう言いながら、私にバスタオルと着替えの服を手渡し、自分の部屋に戻っていった。どうやら着替えの服は伊吹のもののようだ。こういうことは初めてなので、もちろん人の服なんて着るのも初めてである。こういうのは素直に着ていいものなのであろうか?まあ、本人も承諾してるし別にいいのかな?
そんなわけで持ってきたキャリーケースを自室に置き、準備を整えた後、私は伊吹に言われた通りの部屋の前まできた。ここが伊吹が言っていた浴室なのだろうか?それにしては随分大きいような……
「まあいいか、風呂に大きさなんて求めてないですし、必要最低限のもので全然おっけーいです。」
私はそのドアを開けて、浴室の中へ入るのであった。
鴻伊吹 脱衣所にて
私が浴室のドアを開けると、お風呂を上がったと思われる琴音の姿がそこにはあった。どうやら今は絶賛お着替え中のようだ。私は静かにドアを閉めた後、琴音を驚かすためにソロリソロリと足跡をたたないようにしながら、琴音の背後に近づいた。そして琴音の肩を叩こうとしたが…
「タブーですよ?」
「えっ、あぁ、気づいてたんだ。」
少し私はその時困惑したような顔をしていた。
「まぁ、一応インフラ生の最高階級、アルファ生ですからね。ここがもし戦場だったら、一瞬で殺されてましたよ?」
そうだ、そういやデルタ生の服を着用してたから気づかなかったけど、琴音ってアルファ生だった。
「お主、なかなかやりおるなぁ?」
「これくらいは当然です、伊吹にだって気配に気付くことなんて簡単でしょう?、それよりも私が1番不可解だと思っているのは伊吹のそのずば抜けた身体能力です。」
琴音は私のことを指差しながらそう言った。そして琴音は私があげた着替えのTシャツを着る。
「伊吹?ちょっといいですか?、私あまりこういう派手な服は着ない主義なんですけど、もうちょっと地味な服はないのですか?」
琴音は心なしか顔を赤らめて私にそう訴えかけてきた。
嗚呼、なんと可愛らしい幼女なのであろうか?まぁ、年に関しては同じなんだけども、琴音の顔の方が若干幼く見えて可愛らしい。だが、この顔を見ることができるのは今わたしだけ!つまり私だけの特権!
「あの〜、聞いてますか?、というか、なんでそんな満足げな顔をしてるんですか?」
いかんいかん、こんなにも可愛い幼女が困っているのにすぐに助けないとは一体何事だ。でも、あともうちょっとだけ、私の欲望を!
「いやぁ、別になんでもないよぉ?、ただ別にその服を着ていても違和感はないんじゃないかなぁぁっと思っただけ。ほら、琴音ってか、わ、いい、じゃん?」
「いい加減、揶揄わないでくださいよぉお!!、うぅ、恥ずかしい。」
琴音は若干涙目になりながら私の方をじーっと見つめていた。可愛い、がしかしこれ以上やると嫌われてしまうかもしれない。そして可愛い幼女に嫌われては私のメンタルはヘラる。
「わぁかったって、悪かった悪かった、じゃあ私の着替えと交換しよ?こっちの方が多少にマシになると思うから、さ?」
「わ、わかりました。」
私は琴音に変えの服を渡す。
琴音は私が揶揄った時のことを何持っているのか、少しだけ不服なオーラを醸し出していた。
「それにしても、ここって温泉みたいですよね?」
琴音は当然の疑問を口にした。
「そうだねぇ、それには私も最初は驚かされたよ。」
「敷地がこんなにあるとは思いませんでした。」
「まぁ、外見だけじゃあまり分からないかもしれないね。ここは、元々旅館だったんだ。それから大将がここにインフラの基地を設けて、うまく改良したんだってぇ。これ作ったの、全て大将らしいよ?」
「ま、マジですか?」
「ああ、大マジだよ、こんな大きなところをよく1人で改良したもんだ。」
インフラの幹部的な存在ってやはりとんでもないなとは思わずにはいられない偉業である。大将、インフラよりも建築系統の仕事の方が向いてんじゃない?
すると、
「あの〜、足止めしてしまって悪いんですが、早く息吹もお風呂に入ってきてください、ここのお湯は中々に良いものでしたよ?」
琴音は少し申し訳なさそうに言葉を口にした。
「そんなの毎日入ってるから知ってるっつうのぉ、それとも私に気を遣ってくれてるのか?このこの〜。」
すると、こんな感じでご機嫌に接する私に対して嫌気が差したのか図星だったのか分からないが、琴音は少し怒りを露わにして言った。
「もう知りません!早くお風呂に入ってきてください!」
琴音は足早に私の元を離れて、脱衣所のドアを私に聞こえるぐらいの音を鳴らして閉めた。
「あちゃぁー、これはちょっと怒らしちゃったか?まぁ、でもあれもアリといえばアリだな、にひひぃ。」
自分自身でも思うがつくづく私は救えないやつだと思う、まさかロリコンか?!
「えぇぇええええ?!」
それは衝撃の事実であった。
「まぁ、いいや、私もちゃっちゃとお風呂にはいりますかな。」
私はそう言って服を勢いよく脱ぎ始めた。
篠原琴音 夕食後
私は大将が作ってくれたご飯を食べたあと、みんなの食器の洗っていた。伊吹のお皿を見たところ、所々野菜が残っている。どうやら好き嫌いが激しいようだ。
「琴音、別に食器洗いなんて面倒なことやらなくていいのに。」
「いえ、ここに住まわしてもらってる以上、居住者として当然の義務を全うしているだけです。何も心配には及びません、大将!」
「その言葉を、あの馬鹿に聞かせてやってほしいけどね。」
大将はそういうと同時に、たった今ゲームで遊んでいる伊吹を指差しながら言った。
「アハハハ、アハハ。」
私は苦笑することしかできなかった。
やがて、私は皿洗いを終え、自室に戻るのであった。その理由としては主な支度だ。自分の部屋を改めて確認して、どこに何を置くかなどを本部からの荷物が届く前に決めておきたい。相変わらず、伊吹は店の中でゲームを嗜んでいるようだった。なんだか今日1日で伊吹の人物像がある程度分かったような分からなかったような…。
何はともあれ、私のプロフラ移住1日目はこのようにして幕を閉じるのであった。
【Genius and stupidity are fine lines.】
=【天才と馬鹿は紙一重である。】
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