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「まずい、、、まずいっ!!!!」
そう言って焦っているのは運営国総統のらっだぁ。何がまずいのかと言えば、簡単に言うと罠に嵌められ運営国幹部が敵国の研究所に捕まってしまったのだ。その国はらっだぁに脅迫文を送り、1人で来なければここに居る幹部全員が苦しんで死ぬことになるという内容を告げたのだ。そしてその研究所に行ったらっだぁは焦り過ぎて周りがよく見えておらず、見事に相手の罠にハマり捕まってしまった。
目の前には4つの円柱のガラス張りの檻と、それに一人一人丁寧に入れられている意識が無い仲間たち。自分自身は鎖が付けられていて身動きが取れない。目の前に居るのに助けられないこの苦しみは、死んでも忘れることは無いだろう。
「やぁ。運営国総統君。ご機嫌如何かね?」
「、、、、あれを見て機嫌が良いとでも?」
「、、、あぁ。あの君の仲間たちか。」
「目的はなんだ。仲間には手を出すな」
「、、、我々の目的は運営国を配下に置くことだ。もしくはこの世界から消すこと。」
「我々の要求に応えてくれれば君の仲間も君も傷1つ付けずに解放してあげよう。」
「だが、国を守ることを選べば、ここにいる君の仲間はここで苦しみながら息絶える事になるだろうな。」
「、、、、、、」
目の前に居るみんなを助けるか、あの国にいる国民を取るか、、、らっだぁは選びたくない選択を迫られた。
「黙っているだけでは何も分からないが、、」
「らっだぁ」
「、、!きょーさん!」
「らっだぁ、国を取れ。」
「、、、でもっ、、」
「らだお君。国を取って。」
「みどり、、、」
「国を守ってよ、らっだぁ」
「レウさん、、」
「諦めないで、頑張って」
「コンちゃん、、」
みんなの笑う顔が、心苦しくて、痛かった。ここで国を選んでしまえば、みんなは助からない。笑いあえたあの日常は、二度と戻って来ない。嫌だ、、そんなの嫌だ、、
らっだぁは彼らの言葉で余計に選択が出来なくなってしまった。失うのが辛いから。国ができた頃から、ずっと助けてくれて、支えてくれていた彼らを、切り捨てたくない。そんな気持ちにかられ、らっだぁは思考がぐちゃぐちゃになって行った。
「らっだぁ、国を守ってくれ。国さえあれば、お前は独りじゃない。」
「嫌だ、、、きょーさん達が居なくなるのは、、、考えたくない」
「らっだぁ、俺たちはいつかは居なくなるんだよ、それが今日だっただけ。国はいつまでもらっだぁのそばに居てくれるし、国民は居なくならない。頼むよ、らっだぁ、俺たちが大きくした、作り上げてきた国を、守ってくれ。」
「コンちゃんっ、、なんで、、そんなこと、、」
「らだお君。怖がらないで、俺たちを失うことよりも、国が、国民が消える方がずっと痛いでしょ」
「みどり、、、俺は、、どっちも失いたくない、、嫌だ、、、」
仲間から国を守る事を催促され、判断が霞む。頭が痛くなってきた。これはもう無理かもしれない。そう思った時だった。
「判断が下せないのなら、仕方が無いな。」
ガチャンッと音がしたと思えば、きょーさん達が入れられているガラス張りの水槽に水が入り始めた。凄い勢いで水が注がれていき、数秒ほどでみんなの膝まで水が溜まってしまった。水槽いっぱい溜まるまで時間の問題となってしまった。水の音が五月蝿く、みんなの声がよく聞こえない。
「っだぁ、、、やく、、、を選べ」
「みんな、、、、やだ、、、失いたくない、、嫌だ嫌だ、、」
どうして、、俺はこんなにも弱いんだ、、、どうして、、、力があれば、、、こんな事にはなっていなかったのに、、、辛い、、嫌いだ、、、こんな自分、、、
「「「「らっだぁ/らだお君」」」」
その言葉だけは、ハッキリと聞こえた。顔を上げれば水槽いっぱいまで水が溜まってしまっていて、息が出来なくなってしまっているにも関わらず優しく微笑む仲間たち。今から死ぬかもしれないのはみんなの方なのに、どうしてそんなに笑っているの?その顔を見て、余計に心が痛くなった。目元も熱い。
『大丈夫。怖がるな。お前は強い。』
『取るべき選択を間違えるな。正しき道を行け。』
『恐れている事を考えるな。最善を取れ。』
『笑っていようよ。怖くないよって。大丈夫だよ。らっだぁは強いひとでしょ?』
みんなが口パクでそういうのがわかった。、、、、分かってしまった。
「あ、、、、お、、俺、、は、、、」
俺が選択を言う前に、みんなは目を閉じ、体を宙に浮かせてしまった。もう、ダメかもしれない。みんなは、助からないかもしれない。それならば、、、、最善を、、、
「俺は、国を選ぶ。」
涙を流しながら苦渋の決断を、みんなが望む選択を取ったがやはり事は起こってしまった。
「、、、そうか。賢い選択をしてくれると思っていたのだがな。それならば、ここで死んでもらおう。」
白衣の男がそう言ったかと思うと俺に銃を向けて来た。乾いた音が鳴ったかと思うと、俺の左腕が熱くなった。撃たれたか、、、まぁ、、みんながいない世界なら、もう死んでもいいかなぁ、、、
など考えていると
「なんしてんねん!!!」
という男性にしては少し高めで、女性にしては低い声が聞こえたかと思うと、目の前の白衣の男が血を巻き散らせながら倒れた。背中から大部分を切られているため、白衣が真っ赤に染まっていく。
その後の男の行動は凄まじく速かった。白衣の男を切り捨てたかと思うと直ぐに体を翻し、みんなが入った水槽をナイフを4つ同時に投げて割った。みるみる内に水は外に出て来て、水が完全に抜けたと思うと、水で服が重くなったみんなが割れていないガラスの所に器用に倒れ、濡れた髪を揺らした。
「チッ」
舌打ち音が研究所のこの部屋に響く。
「、、、、誰、、?」
みんなの方を向いていて誰か分からない。その人はフードを被っていて、身長は170前後、ヒールがあるブーツを履いているため少し身長を盛っている様に思える。
「、、、、、あ?」
ぐるりとこちらを向いたかと思うと少し不機嫌そうな声を出しながらこちらに近づいて来た。鎖を器用に銃で打ち、壊してくれたかと思うと、左腕の治療をされた。
「なんでこんな所に運営国の偉い方々が居るんでしょうかねぇ」
不機嫌感満載で話すその人は仕事はとても完璧だった。出来る人なんだろうなぁ、、、、
「んで?んでこんな所にお前らがおんの?」
「、、、、罠に嵌められて、、、」
「へぇ、案外しょうもないことで捕まるんやな。」
「、、、、君にそう言われる権利はない。」
「助けてやったのに礼も無しか。、、、、まぁええわ。」
「はよ帰れ。ここはお前らが居っていい所やない。」
「君は、どこの人なの?」
「、、、あ?ここやけど。」
「、、、、どうして助けてくれたの?」
「、、、、、別にどうだってええやろ。ほら、もうすぐでお前の仲間が来るから。帰って温めて貰え。」
「あそこの奴らもな。」
「みんな、、生きてるのかな、、、」
「、、、、はぁ、、、そう思うなら動けよな、、、」
らっだぁが弱々しくそういったかと思うと彼はため息をつきながら文句を言ってみんなの方へ歩き出した。
「、、、?」
「ほら、起きろよ、生きてるやろ?」
「、、、、う、、、、ゲホッ、、、、、あれ、、なんで、、、」
彼が最初に起こしに行ったのはきょーさんだった。
「よし。生きてるな。ほら、お前もはよ起きぃや。」
「けほっ、、ん、、あ、、れ、、?」
次にみどり、れうさん、コンちゃんと起こしていき、何処からか取り出した大きいバスタオルを渡していた。、、、ほんとに何処から取り出したの?
「、、、お前は誰や。」
タオルを渡された後にようやく気づいたのかきょーさんがそう言った。
「、、、ここの人。」
「敵ってことか?」
「、、、、さぁ?どう考えるかはお前の勝手や。」
「殺されてもええんか?」
「ええよ?別に。殺したければ殺せばええよ。できるかは知らんけどな。」
「なんやとお前、」
彼の飄々とした態度にきょーさんは不機嫌そうな声をだした。
「きょーさん、その人は助けてくれただけだから、ダメだよ。」
「、、、らっだぁ、、、」
「らだお君、、生きてたんだ、、良かった」
きょーさんが俺の名前を呼び、みどりがそう言いながら走り寄って来たのを目視すると同時に、みんなが俺の方へ走ってきて、抱き着いてきた。冷たかったけどみんなの体温と感触を感じられてほっとした。みんなが口々に生きてて良かったとか、生きてくれてたとか、言っていて、生の有難みを感じた。
「良かったな。失わんで。」
みんなで喜びあっていると中性的な声が響く。声のした方を見れば優しく、けれど悲しそうに微笑む彼の姿が。
「、、、なんで、、そんな顔をしてるの?」
「、、、、別に?良かったなって。」
「良かったなで終わる人がそんな悲しそうな笑い方しないよ。」
「、、、、そうか。ま、はよ帰れや?もうすぐで来ると思うけど、、、、、じゃあな。風邪ひくなよ。」
そう言うとその人は扉の方へ歩みを進めた。そして扉を開けようとした瞬間、
「らっだぁ!!!みどりくん!!こんたみさん!!れうさん!!きょーさん!!!」
声の大きさが特徴のぐちつぼを主導としたら民が入って来た。
「大丈夫か!?」
真っ先に俺たちの方を見たぐちつぼは心配そうに、でも元気な声でそう言った。
「うん。大丈夫だよ。」
俺たちが口々にそう言うとぐちつぼは安堵した声をだした。
「良かったぁ、、、」
張り詰めていたら民の空気が一気に散ったように感じた。
「本当にありがとうございました、ゾムさん。お忙しい中すみません、、無茶ぶりさせてしまって、」
ら民が誰かにお礼と謝罪をしているのを感じ、そちらの方を見る。謝罪の相手は彼だった。
「、、、その人、、、」
「、、あ?らっだぁ知らないの?」
「え、知らないの?」
ら民から口々になんで知らないの的な言葉を言われる。仕方ないじゃん。知らないんだもん。
「この人はゾムさん。現暗殺者世界ランク1位で、世界最高の情報屋の方だよ。」
「ゾムさんにかかれば知らない情報は無いって言われてるし、消せない相手は居ないって言われてるよ。本当に強い人なんだから。この世界で知らないの多分らっだぁ達だけだよ。」
あ、それは知ってる。そんなすごい人居るんだなって思った事あったし、
「まぁ、俺は基本人前には出ないからなぁ。知らんやつがおっても分からんくは無いわ。」
「いやいやいやいやいや、ゾムさんの事知らないのは本当にやばいですよ正直、」
総統、幹部である俺たちを放っておいてその人と楽しそうに喋るら民達。中には話せなくて拗ねてる奴もいて、近づけなくて悲しんでる奴もいた。アイドルかよ。
「ま、それじゃ俺もう行くわ。お腹すいたし」
「え!?もう行っちゃうんですか!?せ、せめて助けていただいたお礼も兼ねてご飯奢らせて下さい!!!!」
「え、いや、悪いわ、、、俺めちゃくちゃ食べるから、、、」
「運営国の所なら腕のいいシェフが沢山いるんで!!!なぁ!!」
ら民の1人が声を上げると他のら民達が一斉にもちろん!!!と大きい声で返していた。お前らそんな大きい声出せたんだな、、、、お父さん嬉しいよ、、、、。
「、、、、、美味しいご飯はちょっと気になりはするんやけどな、、、でも予定があんねん、、」
彼のその声でら民達の気が一気に沈んで行くのを感じた。その中には運営国代表のシェフもいて物凄く気を落としていた。なんでシェフがこんな所に来てんだよ。まぁら民だからしたかないけど、、、
「うーん、、、まぁ、ええわ。奢ってもらうのはせんけどご飯は行くわ。美味しいご飯食べたい」
マジすか!?とら民達が湧く。わぁ、そんな顔出来たんだなお前ら、、、、心から嬉しそう
「じゃあ行きましょ!」
1人のら民が元気な声でそう言った。あれ、お前、そんな大声出せたんだな、、、、
その声が研究所のこの部屋に響き渡ると同時に、ら民達がワイワイとゾムさんを連れて出ようとしていた。俺たちは救急班に担がれてモコモコの毛布を貰い、運ばれながら少しながら暖を取っていた。
「あー、、、らっだぁ、、、さん?」
「え、、あ、なに?」
突然名前を呼ばれて焦ってしまった自分が居た。
「、、、、、、、、うーん、、、、、、」
「?」
「、、、、諦めて死のうとするのは良くないで。生きろ、なんとしてでも。抗え、選択肢がひとつだと思うな。お前が生きていないと悲しむやつが、嘘だと信じていたい奴らが何万人、何億人いると思ってる。お前が死んだら、お前に死んで欲しくなくて代わりに死のうとした、死んだヤツらが報われないだろ。生きる希望は目の前にある物だけだと思うなよ。いつだって視野を広く持て。」
「、、、、、分かってるよ。」
分かってるよ、そんなこと。でも、判断が、、、、出来なかったんだもん、、、
「、、、お前らもやで。仲間が捕まったのなら、殺されかけているのなら、全力で助けにいけ。何があっても、歯を食いしばれ。怪我をしていてもだ。多少なりとも死の境目は分かるだろう?少々の怪我で動けないなんてことがあってはならない。目の先で仲間が死ぬさまは見たくないだろ。最後までもがけ。諦めるな、生きる希望を失うな。明日を失うな。わかったか」
はい!!!!っと威勢のいい返事がら民達の方から聞こえた。
「、、、んなら、、、」
「ゾムさん」
「、、なんや、、、、、、み、、どりいろさん?」
「みどりくんでいいよ。なんで、ゾムさんはそんな悲しそうな顔してる?」
「、、、、、あー、、、、別に?」
「別にって顔してないと思うけど、、、、、、どうして俺たちを全力で助けに来てくれたの?」
「、、、、お前らには、、、大事な人を失って欲しくないねん。やから。」
「、、、、、、どうして?俺達は他人でしょ?」
「、、、、、んー、、、それはそうやねんけどな」
「じゃあどうして?」
みどりがそう聞くと、ゾムさんはぽつぽつと話をし出した。
「、、、お前らの国は、、温かかったんよなぁ、、、仲間意識が高くて、国民とも共存してて、笑い声が耐えないいい国やった。戦争も負け無し、黒い部分もない。正当な国。」
「そんな国、、中々ない。、、、、懐かしかってん。お前らを見てたらアイツらを思い出す。明るくて、騒がしいくて、うるさいけど毎日が楽しくて、生きるのが楽しかった。明日が早く来ないかなって言う気持ちとこの日常が続けば良いのになって言う思いがずっと思考にある、いい国だった。真っ白で、黒い部分も一切ない正当な国で、幹部総統、仲間意識が強くて、団結力はピカイチだった。いつだって全力で仲間を助けに行ったし、戦争も最強の国、と言う名を持って負け無しやった。世界最強の国としても他国に恐れられた。国民はいつだって平和を讃えていたし、軍自体もいつだって平和を祈っていた。まぁ、総統は大の戦争好きだったけれど。それでも劣ることなくあり続けていた。」
「、、、、でも、そんなのは過去の栄光や。その国は今はもう無い。」
「みんな死んだんや、、、、、ここでな。」
黙って聞いていたら民達が一斉にザワつく。
「、、、、、らっだぁさん達と全く一緒。国と幹部を天秤にかけられて、どちらをとっても死ぬ選択を取らされて、みんな死んだ。、、、、、最後まで、、苦しそうな、だけど優しい笑顔を浮かべて。」
「、、、、、、どうして、、、俺だけ生きてしまったんやろって何回も考えたよ。俺の目の前でみんな息絶えて行ったし、最後のあの笑顔は一生忘れられない。一生脳に焼き付いてる。死にたいなんて思うのは当たり前だった。苦しかったし、辛かった。今までのあの楽しかった日常が戻ってこないと悟った日、本当に死にたかった。俺がこの研究所に生かされたのは人体実験の被験者にするからだったし、アイツらの死体は適当に埋められて終わりだった。まぁ、それで、その3年後に俺は1回ここを潰してアイツらの死体を埋め直した。いつの間にかまた建ってたけれど、、、まぁんな事はええねん。んで、今は無きあの国の近くの森に墓を立ててその下に彼奴らはいるよ。んでまぁ、心機一転して、俺はまた1から暗殺者として活動して、同時に情報を売っている。」
ゾムさんの話が終わってら民達は動揺を隠せないのかザワついている。昔誰かが言っていた、完璧な人には暗い過去がある。これは間違っていなかったらしい。
「、、、、ゾムさんは、、、失っちゃったんだね」
「、、、、、せやな。俺には、助けてくれる人が居らんかったから。、、、、だからこそ、お前らを助けられて良かったよ。散る前に戻ってこさせられて良かった。」
そう言って悲しそうに微笑むゾムさんは慈愛の感情を漂わせていた。
「、、、ありがとうございました。ゾムさん。」
「んーん、ええで別に。んなら俺もう行くわ。」
「えっ!?ゾムさんご飯は!?」
「、、、あぁ、せやったなw。すまんなぁ、最近物忘れが酷くてな」
「そういえばゾムさんって何歳なんや?」
「俺?、、、俺は、、、、覚えてないや」
「え?」
ゾムさんの言葉によってここにいる皆が驚いた。
「自分の年齢覚えてないとかあるの!?」
「いやだって、、数えてないし、、、」
「えぇ!?」
「あー、、でも11以上ではある」
「まぁそうだろうね!?、、、なんでそこからは数えなかったの?」
「彼奴ら、、祝ってくれる人が居なくなったから、俺じゃなくて皆が数えてくれてたし、、」
「、、、そっか、、、」
俺達は聞いてはいけないことを聞いた気がして、心が苦しくなった。
「まぁ、、、多分?100歳くらいやない?」
「100!?その顔で!?」
俺たちが驚いていると、ら民の情報収集班が声を上げた。
「あ、ゾムさんの居た国ってこれじゃない?」
その声を聞いたら民と俺達の気は一気に情報収集班に集まった。
「え?どれ?見せて見せて」
「これ。」
我々だ国:100年前に滅んだとされる伝説の国。伝説の由来は大きく3つ。
・我々だ国は戦争で負け無しの最強の国であり、幹部全員が武器の扱いや、対人などの何かしらの最強の称号を誇っていた。また、総統幹部全員が戦闘狂で、戦いを好んでいたため、戦場では笑い声が絶えなかった。当時呼ばれていた総称は『戦闘狂国家』または『最凶国家』である。
・我々だ国は異種族国家で、どんな種族でも仲間意識を絶対として作り上げられた国家で、国民は平和を誇る国であった。我々だ国は戦争をしてない時は誰しもが驚く程に平和そのもので、明るい笑い声や、子供たちの楽しそうな声が絶えなかった。その為、我々だ国は『平和の象徴』と呼ばれていた。
・他国との関係性も高く、世界国家ランク上位5カ国と同盟を組んでいて、交友国であった。6位、限界国、5位、ワイテルズ国、4位日常国、3位ドズル社共和国、2位運営国、の5カ国と組んでいた。我々だ国は同盟国には異常に優しく、仲間意識を持っていたのか、交友国が吹っかけられた戦争には必ず参加し、勝利を収めていた。それにより、我々だ国含め6カ国は他国に戦争を掛けられる確率が著しく低下した。
この大きくまとめた3つの出来事が、我々だ国を伝説として語り継がせられる由縁である。
「異種族国家、、、、」
らっだぁはこの文字に意識を寄せていたが、他の人達は我々だ国伝説に出てきた運営国について考えているらしい。
「ゾムさん、運営国って、、」
「んー?、、、、、あぁ、それお前らの前世やで。」
「え、、?」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
ゾムさんの想定外すぎる発言で普段騒がないら民達の大声はこの大きな部屋に響き渡った。
「嘘。」
「え」
さらっとゾムさんはそう言い、少しだけ、ほんの少しだけ悲しそうな顔をした。
「なぁ、らっだぁ。」
「?なに?ゾムさん」
「お前らは、消えんといてな。」
吹くはずの無い風が俺たちに吹いて髪や服を揺らす。目線の先には苦しそうに微笑むゾムさんが。
「なんで、そんなこと言うの?ゾムさん。」
「、、、んーん。なんでもないわ!お前らは強そうやから死んだらおもんないからな!」
「はぁー?強そうじゃなくて強いんですー!!」
「ははっwはいはい。強い強い」
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あの後俺達はら民達の手によって安全に運営国に着き、ら民の中で運営国1の腕利きのシェフにご飯を作って貰っていた。
「ねぇゾムさん。」
「んー?なんや?」
「美味しいでしょ!」
「、、、、せやな。美味いな。」
「ふふーん!でしょ〜??」
「なんでお前が自慢げやねん。ゾムさんも困ってるやろやめぇや。」
「え〜?そりゃあうちのら民だからね!代表の俺がイキるべきなのよ!」
「はぁ?何言うてんねんらっだぁ。ゾムさんすんませんほんまうちの馬鹿が。」
「おもろいからええよ。そのまま喋らしといてくれや。」
「いいんすかぁ?ほんまに、、言ってくれたら何時でも黙らせにかかりますからね。」
「ははっwあざーすw」
「ちょっと〜?俺がゾムさんと話してるんだからきょーさんは入ってこないでくれるぅ?」
「うわっ、めんどくさい彼女すんなや」
「ほらどいたどいたぁ!」
「はいはい。」
「ねぇ、ゾムさん。もし、俺が前世を知ってるって言ったらどうする?」
「、、、、、、、、、、、、、、、忘れて欲しい。」
「どうして?」
「あんな惨たらしくて苦しい記憶なんてお前らには必要ない。」
「そっか、、」
そっか、、、そっか、、、俺達は、いつから人間だと勘違いしていた?忘れていた?
そうだ、そうだよ。俺達は第二異種族国家、共存の象徴、『運営』じゃないか。
あぁ、、なんで、忘れてたんだろうなぁ、、、馬鹿だなぁ、、俺。
良かった、俺は思い出せた。ゾムさんに言われて曖昧だった記憶が鮮明になれちゃった。
俺は運営国総統、らっだぁ。100年前、世界国家ランク上位の2位を陣取っていた世界で二番目に最強の国家。ら民達も戦争経験者で、元暗殺者の集まりだ。俺達は異種族で、運営国は2番目の異種族国家だった。俺は青鬼、きょーさんは大天使、みどりは幽霊、コンちゃんは大精霊、レウさんはガスト。ら民達は獣人や、人間も居て種族が多種多様だった。だが、決して仲間割れや殺し合いなどは無く、平和そのものだった。だけど、、、、
俺達は散ってしまった。我々だ国との連絡が取れなくなってしまった2日後に5カ国が同時に宣戦布告して来て俺達は惨たらしい終わりを迎えた。散り方は言ってしまえば吐き気と頭痛止まなくなってしまうだろうから言葉には出さない。絶対に。、、、、、でも、、俺が目を閉じる瞬間、目の前の敵が次々に倒れていって、少し遠くに、緑色の影が見えた気がしたんだ。
「ねぇ、ゾム、もしかして、最後に助けに来てくれてたのは、、、ゾム?」
「、、、、、さぁ。知らんわそんなの」
「ねぇ、ゾミー」
「、、、え、、?あ、、なんや?みどりさん。」
「前みたいにみどりくんって呼んでよ。」
「あ、、いや、、」
「ゾミーはさ、助けに来てくれてたよね、最後まで、助けようとしてくれてたよね」
「、、、、、さぁ、なんの事やろ」
「ねぇ、ゾミー。もしかしてさ、俺達が戦争を吹っかけられる1日前に、我々だ国のみんなは死んだんじゃない?」
「、、、、、、、、せやね、みどりくんの言う通りや。運営国が戦争を掛けられる1日前に、彼奴らは死んだ。そんで、運営国が戦争を掛けられたって聞いたから参加しに行ったけれど行った時にはもう既にみんなは死ぬ直前で、遅かった。運営国に居た敵は全員殺ったけれど、その日、国までは潰せなかった。加えてな、その次の日から一日ごとに、限界国、日常国、ワイテルズ国、ドズル社共和国が戦争を掛けられて国は無くなった。ドズル社共和国と、ワイテルズ国はその戦争には勝ったけれど戦争で使われた体内に入ると死に至る毒ガスのせいで1週間経たずにみんな死んで、国は地図から消えた。」
「結局、誰も助けられんかったんや、みんな失った。みんなの墓を建てたけれど、寂しくなるから翌年から行かなくなったし、、、、まぁ、仕方ない事やと思うけどな。みんないつかは死んでいくし、ずっと一緒におってくれるわけちゃうし、、、、、いつかは命枯れるのが人間の儚く美しい所でもあるからな。不死身の俺は人では無いからそんなん分からんけど。」
最後にサラッと爆弾発言をかますゾムさんエグ。
「え、、?、、、、はぁぁぁぁぁぁああ!?」
珍しくきょーさんが騒ぐ。
「ちょっときょーさん五月蝿いよ。」
みどりが顔を顰め、耳を塞ぎながらきょーさんに言う。
「あ、でもそれで言うたら彼奴らも生きてたはずやねんけどなぁ、、、なんで死んだんやろ、、、?」
「どういうこと?ゾミー」
「、、、、彼奴らも、お前らも、簡単に死ぬ種族や無かったやん。」
「トントンと大先生は天狼、マンちゃんとひとらんは白虎、シッマとシャオロンはケルベロス、ロボロとペ神は天狐、ショッピと兄さんは大天狗、エミさんは精霊、んで、グルッペンはアザトースやし、」
「「「ん?グルッペンさんなんて?」」」
らっだぁやレウさん、きょーさんはその言葉で驚いていた。
「グルッペンさんは規格外だけどグルッペンさん以外も規格外じゃない???」
ら民達はグルッペンの規格外さに驚き、他皆の種族の規格外さにも驚いていた。
「らっだぁは獄界の長、混沌を極めし王青鬼。みどりくんは地獄の長、鮮血の裁判官ゴースト。きょーさんは天界の長、神聖な祝福の裁判官熾天使。レウさんはネザー界の長、断罪の執行人ガスト。コンタミさんは深淵の邪神、グルッペンの双子の兄、純血の混沌王ウボ=サスラやしな。」
「こうやって聞くとらっだぁ1番しょぼくね?」
「コンタミさんガチ系の神だったんだ、、、凄、、、というかグルッペンさんの兄だったの!?」
らっだぁを煽り、コンタミさんを尊敬しつつ、コンタミさんがグルッペンの双子の兄だったという事実をこれまでに無いくらい驚くら民達。
「ワイテの皆も魔界で知らんやつは居らんってくらい有名な上位ランク1~6の大悪魔達やし、日常の皆も天界ではきょーさんの次に位の高い智天使達やし、ドズル社の皆もその次に高い地位の座天使達やし、限界はそれぞれ彼奴らとかお前らの部下やしな、、」
「、、、、お前らほんとになんで死んだん?意味わからんねんけど、、、いや、、待てよ、、?、、ほんとに死んだんか?、、、ただただ眠って居ただけなのでは?そもそもとして死んでいるという仮定から間違っていた、、?、、、神話の生物が人間ごときに負けて死ぬわけないもんな、、、というか負けるとか死ぬという概念すら無いのでは、、、?、、、ら民達も大体が神話生物で、この世界では最強を誇っていたし、彼奴らも、、、、、」
らっだぁ達に疑問をぶつけた後、独り言を呟き初め、ゾムは1人で思考を巡らせ、自問自答を繰り返した。
「あの〜、、、ゾムさぁーん?」
「、、、、、ん?あぁ、帰ってええで?冷えるやろ。」
「いや、、ご飯は?途中でしょ?」
「、、、あぁ、、、せやったな。すまんな」
ねぇゾムさん。俺達本当は死んでなかったんだよね。記憶が曖昧だった時は生まれるのはこれが普通なんだと思ってたけれど、あれゾムさんが作ってくれたお墓だったんだね。いや〜びっくりびっくり。というかゾムさん生存確認ぐらいしてよー酷いよー、まったくー、俺達寝てただけなのにー。まぁ俺たちに死ぬっていう概念は無いけど、ゾムさん相当焦ってたんだろうねぇ。だってゾムさんも神話生物だけど他の種族の事あんまり知らなかったもんね。ゾム孤高の存在だったし、ん?ゾムはなんの神話生物だって?破壊と創造を司る神だよ。まぁ神話って言うよりはこの世界の頂点に君臨してる紛うことなき絶対王なんだけどね。俺達は完全神話の存在だったんだけどまぁこちらとこの世界が繋がったりして出てきたんだよね俺ら。まぁ俺達が繋げたんだけどさぁ?俺達はそうだけどまぁ他所もそうなんじゃない?きょーさん達は俺が無理やりその界に行って勧誘して連れてきたんだけどね。日常とかワイテとかも俺にはわかんないし。まぁ俺みたいに好奇心旺盛な奴らが沢山いるんでしょ。うんうん。
と言うか、思ったんだけどさ、、、、事があまりにも物語ちっく過ぎない!?どういう事!?
まず俺の仲間達が捕まるでしょ?で、俺まで捕まっちゃうでしょ?そしたら死ぬ間際にゾムがかっこよく助けてくれるでしょ?(何も知らない状態で)それでなんか説教食らうでしょ?かっこいい感じの奴。それでなんか皆が迎えに来てくれるでしょ?で、ら民達は皆ゾムにキャッキャするでしょ?それでなんかゾムの悲しい過去を知るでしょ?でサラッと(?)ゾムに俺達の衝撃の過去を話されるでしょ?(まさかの俺たち人間じゃありませんでした。)で、なんか他に国が存在してるけど俺達と交流があった皆過去があってなんなら皆死んでなくて深い眠りについただけでしたオチがあって?俺達(俺だけ?)が過去の記憶取り戻すでしょ?で、ゾムもその時のことに疑問を持ち始めて?なんでこの100年間くらい疑問を持たなかったかも疑問になり始めて?自問自答を繰り返して?
??????何この話。こんなの本でしか読んだことないんだけど。本の世界ならこんな話有り得るけどさぁ、、、、、いや、もしかしたら、俺たちが生きてるこの世界も、もしかしたら、、俺達やゾム以上の、何かが、存在するのかもしれないね。