TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「…は?」

 五条は青ざめた。それもそのはず。何故なら、白い板に書かれた文字はー

「どちらかが死なないと出られない部屋」



「…ハァ?…んだよ、これ…」


 夏油も文字に気付いた。しかし、五条が思っていたよりも夏油は冷静な反応をした。

「…傑、焦らねぇの?こんな、どっちか死ねって言われてる状況なのに…」

「まぁ、別に怖くもないからね。呪術師こんなことしてる時点で覚悟は随分前にできてたし」

「そういう事じゃねぇだろ!!」


 夏油の肩が揺れた。

「何自分が死ぬみたいなこと言ってんだ!!覚悟だったら俺だってとうの昔にできてる!!なんなら俺がー」

「悟」

「あ”ぁ!?」

「私は、非術師…いや、猿が嫌いだ。だからこそ、あんな馬鹿なことをした。でも、後悔はしていない。」

「あんなことって…なんのことだ…?」

「前も言ってくれたが、私の望む世界は、君になら実現できる。」

「さっきからなんの話だよ!!」

「とぼけないでくれ。君ももうわかっているだろ」


 普段の夏油らしくない、強い言い方。

 

 五条は揺らいだ。現実と夢が混同するような気色悪い感覚に、左胸が包まれた。

「私はもう、君の隣に立てない。今はもう、“二人で最強”ではない」

「君“だけ”が最強なんだよ」

「ーッ!!」


 それは自身も自覚していることだった。最近二人での任務が無い。自分が、傑を置いていっている感覚。ライバルではなく親友。それが傍に居ないことは、五条にとってまさに苦痛だった。

 

 自身の強さに、親友との友情を阻まれていた。


「君は生きてくれ。その方が呪術界の為だろう。」


 夏油は、出口とは反対側の方向に歩いた。

「おい、どこ行くんだよ…!っ待てよ!俺が許さねぇよんなこと!!」

「…」

「俺は!! 傑と、…卒業、したかったのに…!」

「悟」

「!」



「夢の中だけでも、私を“呪術師”のままでいさせてくれてありがとう。」



「すぐる、ーっ!」




 目が覚めると、自身の寮の天井が見えた。先程の質素な白い部屋とは違い、和風建築な高専の一部。あんな地獄から抜け出せたと、安堵することは出来なかった。


 夏油傑の寮は、空室だった。

コンコン

>「五条?」

ガチャッ

「おい五条遅いぞ…って、泣いてんの?」

 

 家入は困惑した。普段弱みを見せない最強の1人が、目の下を腫らしていたからだ。

 「ーっ、しょ、うこ…」

「…ハァー、めんどくさいなぁ…」

わしわし


 家入は、優しく五条の頭を撫でた。

 

 「夏油のことか?今日は休むか?」

 五条は頷くか首を振るだけだった。家入が、YESがNOで答えられる質問にしたからだ。


「あー… 何言えばいいか分かんないけど、夏油は別に、五条のこと嫌いだったな訳じゃないと思うよ」



「…そっか」

五条は少しだけ、安堵したような顔を見せた。


「あ、今日休まない」

「1人で行けるか?」

「ガキ扱いすんな 」


 反転術式で人の心は治せない。 全く、どいつもこいつもめんどくさいな、と家入は思った。

loading

この作品はいかがでしたか?

109

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚