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和風名月
花魁パロ
張見世の冷たい床に座り込んで
囲われた牢屋のような格子の間から
ぼんやりと浮かぶ三日月。
手を伸ばしてもここから逃れることは
できない。
星がひとつも無い空が
一人ぼっちの俺みたいで、
嫌いやった。
余計なことを考えてまうから。
「まあ、 くん 。」
太陽を見るのが嫌いやった。
別れを告げたあの朝を
おもいだしてまうから。
煌めく太陽のような笑顔で
『また明日!』なんて
いった彼にもう会えないなんて。
陽の光は俺たちを分断しようと
燦々を光を出して。
この牢屋の向こう側。
彼は生きている
この世界は残酷だ。
きっとこんな醜い感情を抱えてる俺は
醜くて、穢らわしい。
それでも毎晩月を見上げていた。
月が離れている俺たちを
繋げてくれているみたいやったから。
「ようそこ、おいでおくんなまし」
今日も今日とて
「わっちの一夜を買っておくんなまし」
冷たくて硬い床で。
あの人に思いをはせながら。
有象無象に躰を奪われて。