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きくあ
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えんしゅうみかん@静岡限オタぁ
750
When?????
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古の都の夜は、墨を流したように深い。
「……そろそろ、去らねば」
三重は小さく呟いた。
その声は、夜風に解ける羽毛よりも仄暗い。
身に纏うは漆黒の忍装束。宵闇に紛れるための衣は、しかしこの部屋の主の前では、何の目隠しにもならぬことを彼は知っていた。
伊勢の海を思わせる寡黙な瞳は、ただ静かに、帰路を促す時計の針を追っている。
「何をそんなに急ぐことがありましょう」
大和茶の湯気が、妖しく立ち上る。その向こう座に佇む奈良は、薄紅の唇に艶やかな微笑を浮かべた。
長い睫毛の奥に秘められた双眸は、千年の時を吸い込んだ底なしの淵のようであり、見つめられた者はそれだけで、魂を搦め捕られるような錯覚に陥る。
三重は、この妖艶な隣人にだけは、どうしても調子を狂わされるのだ。
普段は誰に対しても油断なく、影のように気配を消しているというのに、奈良の前に引き据えられると、己の四肢の自由がじわじわと奪われてゆくのを感じる。
「……長居は、無用だ」
三重が腰を浮かせ、退室の合図として懐の忍具に手をかけた、その刹那。
「お待ちなさいな」
冷ややかな絹が肌を滑るような、低く、甘い声が鼓膜を打った。
気がついたときには、奈良の細い指先が、三重の装束の襟元を優しく、しかし抗えぬ力で捉えていた。
「ひ、……」
声にならぬ吐息が、三重の唇から零れ落ちる。
その瞬間、男の纏う空気が、鷹揚な陽だまりから、血を吸った古都の歴史そのものへと変貌する。
妖艶な微笑みはそのままに、しかし眼差しだけは獲物を値踏みする蛇のように冷徹であった。
「東海へ帰るのですか? 」
捉えられた手首が、畳の上へと縫い付けられる。無口な忍の抵抗など、最初から見越していたかのような鮮やかな手際であった。
いつもは影に潜む三重の白い項が、行灯の火に照らされて妖しく浮かび上がる。
「あなたは私の隣人
その影も、その命も、私が一番よく知っている……。」
耳元に吹き込まれる、毒のように甘い吐息。三重はただ、その妖艶な支配に抗う術を失い、深く、古都の夜へと沈んでゆくしかなかった。
コメント
2件
いやぁぁぁぁ!ありがとう神!! もう私死んでいいわぁ…!! あの無口な三重さんを奈良さんが… んふふふ(( てぇてぇすぎるッッ!! 三重ちゃんいっつも奈良さんに 味方してたもんねぇぇ!?可愛いぃ… 長文失礼しましたぁ…
うわあ…これめっちゃ好みの世界観すぎる…!!✨ 「古都」と「忍」っていうタイトルからしてエモさ全開だけど、奈良さんの妖艶さと三重くんの無口な抵抗感のギャップがたまらん…😭💕 特に「あなたは私の隣人」って耳元で囁かれるシーン、もうキュン通り越して鳥肌立った…! まだ1話なのにこの空気感、続きが気になりすぎて夜しか眠れない…! 次の更新、心待ちにしてます…!!🌸