テラーノベル
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──────めめさん視点──────
訳の分からぬまま、みぞれさんの猛攻を鎌でさばく。しかし、さすがに粉雪まではさばききれず、肌に触れた粉雪を中心に、私の腕を氷塊へと変えていく。私はすぐさまその腕を切り捨てる。
──────バキッパキンッッ!!
という本来ならば腕からはなるはずのない音が鳴り、そして、私の腕だったものは地面に落ち、氷塊をまき散らす。───落ちたその氷塊すらも一瞬で鋭い形状に変化し、私に牙を剥く。
私の足に思いっきり氷でできた棘が私を拘束する。足が、急速に感覚を失っていく。
──────それに対応している間にもみぞれさんの猛攻は続く。雷が鳴り響き、風が轟々と音を立てる。雫はすぐさま凍りつき、氷柱へと変わり、私に牙を剥く。
地獄のような状態に私は防戦一方を強いられた。
──────その時、だった。
地面が突然真っ赤に染る。しかし、それは血ではなく、鮮やかな赤色の薔薇だった。そのたくさんの薔薇は途端に花弁を散らす。その花びらはまっすぐみぞれさんに迫る。
しかし、みぞれさんは無表情でそれに対応する。
すぐさま自身の周辺を紫色の炎で灯す。ある程度距離の離れている私ですら熱いと感じるほど、それは燃え盛る。
──────しかし、次の瞬間、みぞれさんが膝からガクリと崩れ落ちる。
一瞬、みぞれさんは目を見開く。が、すぐに対処法を思いついたようで、大きな氷柱を作り上げると、それを自身の頭に突き刺した。
「───え?」
思わず、声が漏れた。
もちろん、つららをぶっ刺したみぞれさんの頭は赤い血飛沫を上げ、赤のバラを、さらに赤く彩った。
───状況をすぐさま理解する。
「───この赤の薔薇は、あなたの仕業ですか?バラ。」
私がちらりと振り返れば、先程まで空気のような存在感だったはずのバラが口角を上げながらでてくる。彼の姿に傷一つなかった。
「やっぱりめめはすごいな。すーぐ理解しちゃう。いや、神だからすごいのか?」
「前置きはいらないです。説明を。」
私がそう急かすと、バラはまるでイタズラを説明するかのような笑みで話し始める。
「俺の能力さ、薔薇を操る能力なんだ。で、もちろん知ってると思うが、薔薇には様々な種類、香り、見た目、色がある訳じゃん?で、その一つ一つには効果があるんだよ!」
子供だからしょうがないが、あまりにも拙い説明だった。まあ、つまり薔薇の種類によって様々な能力が使える、という解釈であってるだろう。
「あぁ、それであってる。」
「───心を読む薔薇もあるんですか。」
「そう。このピンクの薔薇でな!他にも青なら頭脳アップだし、緑なら回復。オレンジなら攻撃力アップ!水色なら相手に対するデバフ!で、赤はなー!記憶操作!」
───種類がありすぎる。最初に思ったことだ。なんともまあ、万能で強い能力なのだろうか。しかし、普通、天使や悪魔レベルではなければ能力には代償がある。そして、その代償の重さは能力の強さに比例する。
「───そんなに能力を使って大丈夫なんですな?代償とかは…」
「心配してくれるの?ありがとな。でも、もうないようなもんなんだ。俺、代償寿命が縮むなんだけど不老不死でさ。意味、ないんだ。だけど、な、記憶が、どんどん消えていくんだ。本当の年齢が思い出せない。知能も本当に6歳くらいになっちまって。」
そう言って、バラは悲しげに笑う。
「でも、いいんだ。最後に、死神に会えたんだから。俺を、むか───」
その時、赤い薔薇の上、みぞれさんが目を開く。
───2度目の目覚めだ。
今度は、慎重にみぞれさんに近づく。そして、その瞳を覗き込む。相変わらず美しい瞳だった。
「ぁれ?私、は…ッ!?そうだ!メテヲさんと戦ってて…ッッ!!!…..?あれ、生きて、る?」
「おはようございます。みぞれさん。もう大丈夫ですか?」
「ちゃんと記憶あってる?大丈夫か?」
私とバラがみぞれさんに駆け寄る。みぞれさんは大きな瞳を2度ぱちぱちとさせたあと、手で、口元を抑え、信じられない、と言わんばかりに私を見つめる。
「え!?めめさん!?え、なんで…?だって、さっき居なくな…え!?ここどこですか!?」
みぞれさんがテンパってるのを横目に、私は深いため息をつく。とりあえずみぞれさんは元に戻ったみたいだ。
「そうだろうな!俺がこの人の記憶の時系列を治したんだからな!____あ、でも精霊王ってなんだ?」
「あはは…気にしないでください。私の、、、まあ、肩書きみたいなものですから?」
「とりあえず!みぞれさんは大丈夫ですか?」
「はい…頭がふわふわして、上手く考えられませんが大丈夫です!で、今からどちらに?」
「天界に戻りますよ!鏡の場所に、GO!」
そう言って、半ば無理やりバラとみぞれさんの腕を引っ張って赤色のバラ園から離れる。
ふと、言わなければいけないことを思い出す。慌ただしく、忘れていた。今、言っておこう。次いつ話せるかなんて、もしかしたから最後の会話かもしれないんだから。
「あ、大切なことをいい忘れてました。」
「えぇ!?…なんですか?」
「───クロレ。みぞれさん。あなたが忘れてしまった命の恩人ですよ。一生、覚えててくださいね。」
「…?わかりました。命の恩人のこと。覚えます。」
「お願いしますね。」
そう言って、私たち3人は城の地下へと進んでいく。
ここで切ります!ひっさびさですね!お久しぶりです!仲春です!急遽4日?ほと休暇もらってすみませんでした…。おそらく、この物語の完結は夏頃になると思います。…さらりと222話突破してるんですよねぇ…。やばくね?ありえない、みたいな話を111話の時やった気がしますが…。まあ、それくらいこの小説が長編だったということで!これ、途中から見始めた人大変そう(他人事)。
それでは!おつはる!
コメント
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途中からって…100話位から見てる人っていみですか?それとも2024位から見始めた人とかですか?すいませんわからん()
途中から見始めた人ほんとに気の毒ね…最近だと特に