ザーーーーーーー
地面を強く打ち付けるような雨
周りに人がいない分強い雨の音だけが私の周りで響いている
「やっちゃったなー」
学校に残って委員会の仕事をしていた私は下駄箱に着くまで傘を家に忘れていたことを気づいてなかった
「流石にこの雨じゃ走って帰れないな…どうしようか」
学校で借りれる傘ももう全て無くなってしまっていて帰るに帰れない状態
「……しょうがない走るか」
1歩足を踏み出した時後ろから誰かに話しかけられた
「何してんだよ桐谷」
「松本くん」
まさかこんな酷い雨の中走って帰る気か?と引き気味の目で言われてしまう
「…傘忘れちゃって走って帰るしか選択肢がないんだよね」
そう訴えると松本くんは少し下を向いて何かを考え込んでいるようだ
どうしたのかと声をかけようとすると
「入れよ」
「え?」
「傘。おまえの家まで送るから」
そう言うと松本くんは傘を開いて私のところまで来た
傘に入れてくれるのは有難いが2人で1つの傘に入って帰っているところを誰かにみられて誤解をされては松本くんに迷惑がかかってしまう。そう思い断ろうとする
「い、いいよ私は走って帰るから!」
「余計なこと考えて遠慮してんじゃねーよ」
松本くんは無理やり私の手を引いて傘にいれると歩き出した
手を繋がれてしまっているため私も一緒に歩くしかない
「…誰かにこんな所みられて勘違いされたらごめんね」
私が申し訳なさそうに謝ると彼は一瞬だけこちらを見てすぐにそっぽ向いた
「俺は桐谷なら勘違いされてもいいよ」
そう彼は言った
「……そっか」
松本くんの耳が赤いのは気の所為だろうか?
少なくとも私の顔が真っ赤に染っていたり胸がドキドキするのは気の所為ではない
そして
私の手優しく握っている彼の手が熱いのは気の所為じゃないといいな____
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