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あおいです🌷 第5話、読み終わりました。 「生涯忘れることはないよ」——その言葉、胸にぐっときました。たっつんの背が伸びて、見上げる距離になったこと。差し出された手が子どもの頃よりごつごつしていて、どきっとする。そういう“変化”への気づきが、本当に丁寧に描かれていて、切なくて甘酸っぱい気持ちになりました。 おでこを耳元に寄せるシーン、可愛すぎて声が出ました。あと少しの距離がもどかしいのに、それも愛おしいと思える——そんな繊細な感情の揺れが、夏の風鈴の音と重なって、ずっと心に残りそうです🍃
「 かぶとむし - aiko 」
⚡️ ✖️ 🍫
夏休み。
蝉の声が響く帰り道。
小さい頃から何度も歩いたこの道を、
今日も幼馴染のたっつんと並んで歩く。
tt「暑いなぁ。
et「ほんと。
昔は同じ目線だった。
むしろ、
小学生の頃は私の方が少しだけ背が高くて。
「えとちゃんの方がお姉ちゃんみたいだね。
なんて、親達によく言われていた。
でも。
高校生になった今。
気づけば、
その立場はすっかり逆になっていた。
et「……。
隣を歩く彼をちらりと見る。
いつの間にか、
見上げないと目が合わない。
tt「どないしたん。
et「……大きくなったなぁって。
tt「なんやそれ、笑
照れくさそうに笑う。
その横顔が少し大人びて見えて、
胸がきゅっと締めつけられた。
神社の石段に腰を下ろす。
風鈴の音が、夏風に揺れている。
tt「そういや、小学生の時さ。
et「うん?
tt「毎年ここ来て、
tt「かぶとむし探しとったよな、笑
et「あったね!!
tt「結局、捕まえられんかったけどね。
二人で笑う。
思い出は、少しも色褪せていなかった。
tt「えとさん、忘れてるんかと思った。
tt「だってちっちゃい頃のことやん?
と寂しい顔をしたたっつんに
何も言えなかった。
少しして、夕焼けのチャイムが鳴る。
それを聞いて立ち上がった彼が、
tt「ほら、帰るぞ。
と手を差し出す。
その手を取ると、
昔より少し大きくて、ごつごつしていて。
男の子の手になっていた。
どきり、と胸が鳴る。
気づかれないように歩き出した。
坂道をゆっくり歩く。
ふと、前髪が風で乱れた。
tt「動くな。
et「え?
一歩近づいてきた彼が、
私の前髪をそっと直す。
近い。
思わず息を止める。
見上げた先には、
少し高くなった彼の顔。
あと少し背伸びをしたら届きそうな距離。
私はほんの少しだけ背伸びをして、
おでこを彼の耳のあたりへ寄せる。
tt「……ど、どうした??
慌てた声。
私はくすっと笑った。
et「背、抜かされちゃったなぁって。
tt「……今さら?
et「なんか、悔しい。
そう言うと、
彼は照れたように頭をかいた。
tt「しょうがないだろ!
tt「俺だって、こんな伸びる思てへんかったし。
その笑い声が、
夏の風に溶けていく。
小さい頃は、
手を伸ばせば簡単に届いた。
隣にいることも、
同じ目線で笑うことも、
全部当たり前だった。
でも今は。
少し背の高くなったあなたを見上げるたび、
胸が苦しくなる。
あとほんの少しだけ近づけば、
肩にもたれられるのに。
あとほんの少しだけ勇気があれば、
「好き」の一言を伝えられるのに。
et「あのさ、私ね。
tt「……ん?
et「たっつんのこと、生涯忘れることはないよ。
そう、震えた声で笑いながら言うと、
たっつんが微笑んだ。
並んで歩く影は、
昔より少しだけ違う形。
それでも、
肩が触れそうになるたび、
この距離が愛おしいと思ってしまう。
きっと私はこれからも、
少し背の高くなった幼馴染を見上げながら、
何度でも恋に落ちてしまう。